「人事部の業務効率化が求められているのに、どう進めればいいかわからない」
「採用担当者の負担を減らしつつ、優秀な人材を確保する方法はないだろうか」
このように悩んでいませんか?
AI採用は、人工知能を活用して採用業務を効率化する手法です。世界のAI採用市場は2030年までに約1,600億円を超える規模に成長すると予測され、すでに5社に1社が導入を始めています。
本記事では、AI採用の基礎知識から具体的な活用方法、導入手順まで詳しく解説します。また、リクルートやソフトバンクなど、大手企業のAI採用の活用事例も紹介するため、自社での導入イメージが明確になるでしょう。
AI採用の特徴やメリット・デメリットを理解し、採用活動の効率化と質の向上を実現しましょう。
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AIを使い採用活動を効率化するだけでなく、優秀な人材を採用するためのノウハウまで伝えられるため、採用に知見がない企業でも役立つでしょう。
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【新卒・中途】AI採用とは、AIを活用して採用業務を行う手法
AI採用は、人工知能(AI)を採用活動に活用した選考手法を指します。求人情報の作成から書類選考、面接試験まで、採用活動に関わる業務の一部をAIに代行させる手法です。
AIによる採用手法は従来型の採用方法と比べて、人的なミスを減らし効率を向上させながら、トータルコストを削減できる点がメリットです。現在では新卒採用から中途採用まで幅広く利用されています。
市場規模や活用率
世界のAI採用市場は2022年に約1,027億円(6億540万米ドル)まで成長しました。さらに2023年から2030年にかけて年平均成長率6.7%で拡大し、2030年には約1,600億円(10億1,910万米ドル)に達すると予測されています。世界において市場規模が拡大しており、今後も多くの企業での導入が推測されているため、日本においても活用が広がるでしょう。
また、企業の中途採用担当者への調査によると「採用活動でAIツールをすでに活用している」との回答は19.6%に上り、5人に1人がAIツールを導入済みであると報告されました。加えて約8割の企業が採用活動へのAIツール活用に前向きな姿勢を示しています。
出典:AI採用の世界市場|株式会社グローバルインフォメーション
出典:「中途採用・転職活動の定点調査(2024年7月-9月)」を発表|株式会社マイナビ
注目される理由
AI採用が注目される背景には、AI技術の飛躍的な進歩と深刻な人手不足という2つの大きな要因があります。
近年のAI技術は実用レベルまで発展し、採用プロセスにおいて品質を維持・向上させながら効率化と自動化を同時に実現できるようになりました。従来は人事担当者が手作業で行っていた書類選考などの評価をAIが代替することで、戦略的な業務や人間的な判断が必要な業務に集中できるようになっています。
労働人口の減少による人材獲得競争の激化も、AI採用普及の重要な要因です。人手不足が深刻化する中、採用活動に十分な人的リソースを割り当てられない企業が増加しています。AIを活用することで、採用業務の効率化と採用活動の強化という2つの課題を同時に解決できることから、多くの企業がAI採用の導入を進めています。
このように、技術的な進歩による実用性の向上と、社会的な課題解決のニーズが合致したことで、AI採用は注目を集めていると言えるでしょう。
AI採用でできること・活用方法5選
AI採用は下記のように採用プロセスのさまざまな場面で活用できます。
- 母集団形成の効率化
- 応募者の適性の分析
- 書類選考のサポート
- オンライン面接の代行
- 採用戦略の立案
以下では代表的な活用方法を順に解説していきます。
1.母集団形成の効率化
AI技術の導入により、効果的な母集団形成(企業が自社の求人に興味を持つ求職者を集めるプロセス)が可能になっています。機械学習などのAI技術を活用した求人広告配信では、自社にマッチする人材に効率的な広告を表示させることが可能です。
例えば、事前に入力した企業の特性や優先順位、関連キーワードなどに基づき、AIが自動的にマッチングを行います。広告を配信する場所やターゲットユーザーを的確に絞り込むことで、求職者を探す手間が省けます。
2.応募者の適性の分析
専門的なAIツールの導入により、応募者の特性を客観的かつ科学的に判断できます。例えば、営業職の採用では「外向性」「粘り強さ」「コミュニケーション力」などの特性が重要視されます。しかし、AIは過去の成功事例と照らし合わせながら、応募者が特性をどの程度備えているかを数値化して評価できます。
またエンジニア職では「論理的思考力」「問題解決能力」に着目し、技術的な適性判断も可能です。
3.書類選考のサポート
AIは大量の履歴書や職務経歴書を瞬時にスキャンし、企業が求めるスキルや経験を持つ応募者を迅速に特定可能です。エントリーシートの自由記述欄を解析し、応募者のパーソナリティや適性を評価する機能も備えています。
AI解析により応募者の深層的な特性や価値観を把握でき、企業文化にマッチする人材の発掘がスムーズになります。これまで大量の書類を一つひとつ確認して選考を行っていた手間が省け、面接での求職者の選定などに時間を使えるでしょう。
4.オンライン面接の代行
AIが24時間体制で面接官として質問やヒアリングを実施し、面接評価レポートの自動生成が可能です。オンライン面接の応募者の発言内容や表現から情報を抽出し、スキルや適性を自動評価します。
過去のデータや傾向の分析をもとに、AIが最適な質問パターンを提案し、面接の効果を引き出すサポートを行います。注意点として、人にしかわからない言葉のニュアンスの違いなどはAIが把握できないため、人間とAIの両方の目で判断する必要があります。
5.採用戦略の立案
過去の採用データや自社の社員データをAIで分析して、成功した採用のパターンやトレンドを見出せます。それに伴い、過去のデータから、将来の採用活動の戦略策定に活用できます。
成功した戦略のデータに基づいた採用戦略の構築により、リスクを抑えた意思決定を実現できます。
AI採用を導入する3つのメリット・効果
AI採用を導入するとさまざまなメリットが得られます。
実際に、採用活動でのAI活用は、企業への調査では導入企業の82%が「AIの活用で採用の質が高まった」と回答しました。さらに64%の企業が「AIでの判定」に有効性を感じており、86.5%の学生が「AIでの判定」の活用を許容すると答えています。このように、AI採用の効果を感じている人は多いため、具体的なメリットを確認しておきましょう。
本項では、AI採用を導入する3つのメリットや効果を解説します。
- 費用や工数を削減できる
- 今までよりも企業にマッチした人材を採用できる
- バイアスを排除でき公平な採用が可能になる
以下の項で詳しく解説します。
出典:採用でのAI活用、実施した64%の企業が「AIでの判定」に有効性を感じている86.5%の学生が「AIでの判定」を活用することを許容|Thinkings株式会社
1.費用や工数を削減できる
AIはマッチ度の高い求職者への広告配信から選考面接まで、採用プロセスの主要な工程を代行します。選考過程の一部にAIを導入するだけでも、採用担当者の負担を大幅に軽減でき、人件費の削減につながります。
採用担当者の作業工数に余裕が生まれれば、戦略的な業務により多くの時間を割けるでしょう。特に大量採用を行う企業では、AIの導入によってコストを大きく抑制できる点も魅力です。
2.今までよりも企業にマッチした人材を採用できる
人による選考では見落としがちな特性も、AIは網羅的に評価できるため、自社により適した人材の判定が可能になります。
AIの判定結果は面接官や採用担当者の判断材料として有益であり、心理的・時間的な負担も軽減されます。
3.バイアスを排除でき公平な採用が可能になる
採用活動では採用担当者の価値観や経験によって、判断にばらつきが生じるリスクを避けられません。AIを活用した採用では、事前に設定した客観的な判断基準に基づいて評価を行うため、公平性の高い採用を実現できます。
ただし過去のデータに基づく判定により、女性が採用されにくくなった事例も報告されています。そのため、偏りがないように、人による適切なチェックも必要です。
AI採用を導入する2つのデメリット
AI採用には優れた利点がある一方で、注意すべき課題も存在します。本項では、AI採用を導入するデメリットを紹介します。
- AIだけでは潜在的な能力・スキルを判断できない
- 組織の多様性が失われる可能性がある
デメリットを理解し、適切な対策を講じることで、より効果的な採用活動が実現できます。
1.AIだけでは潜在的な能力・スキルを判断できない
AI採用システムは書類や質疑応答の結果だけでなく、表情や声からも企業とのマッチ度を評価します。ただし評価結果は蓄積データに基づくものであり、応募者の潜在能力やポテンシャル、熱意などを正確に判断するには限界があります。
したがって、最終的な判断は採用担当者が行うなど、AIと人材の役割分担を明確にしましょう。
2.組織の多様性が失われる可能性がある
人間的な要素や情報を十分に考慮できないAIの判定により、独自の才能を持つ候補者が書類選考で除外される可能性があります。結果として組織の多様性が損なわれ、創造性の発揮が困難になるケースも懸念されます。
多様な人材の特徴をAIに学習させるなど工夫を重ねて、画一的な採用を防ぐことが望ましいでしょう。
AI採用を取り入れる際の2つの注意点
AI採用を成功させるためには、以下のようにいくつかの重要な注意点があります。
- 人によるチェックも取り入れる
- 個人情報が流出しない対策を取る
失敗しないためにも適切な運用方法を把握し、効果的な活用を目指しましょう。
1.人によるチェックも取り入れる
AIによる判断だけでなく、人間による評価も組み合わせた選考が大切です。AIは設定されたルールやデータパターンに依存するため、微妙なニュアンスの読み取りは困難な場合が多いでしょう。
声のトーンやボディーランゲージなど、候補者の非言語的なコミュニケーションを正確に判定するには人間の判断が必要です。
2.個人情報が流出しない対策を取る
求職者のデータを同意なしに活用すると問題を引き起こす場合があります。個人情報は利用目的や方法を明示し、定められた用途以外での使用を制限する必要があるでしょう。
AIは採用の精度向上に効果が期待できますが、あくまでも採用活動の手段の一つととらえることが大切です。
【新卒・中途】AI採用の企業事例2選
AI採用はさまざまな企業で活用され始めており、具体的な成果も報告されています。実際の導入事例から、効果的な活用方法を学んでください。
- 株式会社リクルート
- ソフトバンク株式会社
以下の項で詳しく解説します。
1.株式会社リクルート
株式会社リクルートは、AIを活用したリクルートダイレクトスカウトサービスを展開しています。そのなかで、求人の募集要件と求職者の希望条件をAIで詳細に分析し、企業に最適なスカウト候補者を推薦するサービスを提供してきました。
求職者と企業の双方にAIがレコメンドを行うことで、マッチする可能性の高いスカウトが増加します。利用を重ねるごとに精度が向上し、自社に適した求職者を発見しやすくなる点が特徴です。
参考:『リクルートダイレクトスカウト』リニューアル 求職者と企業双方のより良いマッチングへ|株式会社リクルート
2.ソフトバンク株式会社
通信サービス大手のソフトバンク株式会社は、新卒採用の選考で応募者を客観的かつ公平に評価するため、動画面接の評価が可能なAIシステムを独自に開発しました。
応募者の負担軽減を目指し、グループディスカッションや集団面接を廃止して動画面接へ移行しました。過去のインターンシップ選考での動画面接データと熟練採用担当者による評価を、動画解析モデルで学習させています。新規の動画面接評価を自動算出する仕組みにより、選考作業の時間を約70%削減できる見込みとなりました。
参考:「あなたの面接官はAIです」 ベテラン人事の評価ノウハウをAI化した、AI動画面接の仕組みをギリギリまで聞いてみた|ソフトバンクニュース
AI採用の導入手順5Step
AI採用の効果を引き出すには、段階的な導入プロセスが欠かせません。企業が導入に失敗する原因は、準備不足や体制が整っていない状態での導入にあるためです。下記の各ステップを段階的に実行すると、失敗を避けてスムーズな運用ができるでしょう。
- 活用方針を立てる
- 求める人物像を明確にする
- 目的に合ったサービスを選ぶ
- 試験導入する
- 本格導入し運用と改善を繰り返す
以下の項で詳しく解説します。
1.活用方針を立てる
AI採用の導入では、採用プロセス全体をAIに任せる必要はありません。企業の採用課題や人員体制を踏まえ、書類選考のみにAIを活用するのか、面接まで活用するのかなど、部分的な導入計画を立てましょう。
実際の導入事例では、書類選考やエントリーシートの評価にAIを導入し、面接評価に拡大するアプローチを取る企業が見られます。組織やリーダーの意向に合わせて、優先順位の高い領域から着手しましょう。
2.求める人物像を明確にする
明確な採用基準がなければ、次の選考フェーズに進める候補者を適切に見出すことは困難です。3〜5年後の中長期計画から自社の将来を見据え、求める人材像を詳細に定義しましょう。
例えば「主体性」「コミュニケーション力」「論理的思考力」などの要件を「自ら課題を見つけ解決に向けて行動できる」「相手の立場に立ってわかりやすく説明できる」など、具体的な行動レベルまで落とし込みます。さらに、能力をどのように評価するのか、合否判定の基準も明確にしておく必要があります。
3.目的に合ったサービスを選ぶ
AIサービスを選ぶ際には、導入目的や達成に必要なシステム要件、複数の候補から選定する際の重視ポイントなどを整理します。例えば「応募者の適性を評価したい」「採用コストを削減したい」など、具体的な目的を定めましょう。
サービス選定では、下記のように複数の観点からの比較検討がおすすめです。
- 判定根拠の説明が表示可能
- 過去の導入実績が豊富
- カスタマイズ性がある
- 手厚いサポート体制
判定根拠の説明が表示可能かどうかは、応募者への適切なフィードバックをするうえで重要な要素です。
4.試験導入する
小規模な範囲で試験的に導入し、実際の効果を確認していきます。具体的には特定の職種や部署に限定して導入したり、過去の採用データを使って精度を検証したりするアプローチが有効です。
試験導入では、AIの判定と人事担当者の評価の一致度や応募者の反応、運用上の課題など、さまざまな観点からデータを収集します。特にAIの判定精度は、過去の採用実績と照らし合わせながら、基準値の調整が必要です。
5.本格導入し運用と改善を繰り返す
テスト結果をもとにシステムを改善し、全社的な導入へと移行します。導入後は定期的に効果測定を行い、判定精度や運用効率の向上を図りましょう。
具体的な効果測定の指標としては、下記のように定量的な数値を設定します。
- 採用工数の削減率
- 採用コストの削減額
- 選考通過者の入社後の活躍度など
また、応募者や採用担当者の満足度調査も実施し、改善点を洗い出すことで、より効果的な運用を実現できます。
AI採用を取り入れて採用活動をスムーズにしよう
AI採用とは、採用活動のさまざまなプロセスにAIを活用し、業務効率化と採用の質を向上させる手法です。母集団形成やオンライン面接など、さまざまな採用プロセスに活用できます。
本記事で解説した通り、AI採用は母集団形成の効率化から応募者の適性分析、書類選考の自動化まで、幅広い活用が可能です。採用コストの削減や公平な評価の実現など、多くのメリットが期待できます。
ただし、AI採用を成功させるには、人間による適切なチェックや個人情報の保護など、重要な注意点にも目を向ける必要があります。リクルートやソフトバンクなどの企業の事例を参考に、自社に合った導入方法を検討しましょう。
なお、AI採用の戦略立案や導入をサポートする「coachee人事シェア」のサービスもおすすめです。数百名規模の採用経験を持つ即戦力人材が、AI採用も含めた採用戦略を提案します。
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