「役員を採用したいが、どのような手順で進めればいいのかわからない」
「優秀な役員候補者を見つける方法を知りたい」
「役員採用で失敗しないポイントを押さえたい」
事業拡大や組織力の強化のために、役員採用を検討している人事担当者の方は、このような悩みを抱えていませんか?
役員採用は一般的な中途採用とは異なり、特殊な手順や注意点があります。候補者の選定から法定手続きまで、複雑なプロセスを踏む必要があるため、事前の準備と正しい知識が不可欠です。
本記事では、役員採用の流れから、採用すべき人材の特徴、よくある失敗例まで詳しく解説します。また、役員採用を成功させるポイントも紹介するため、初めて役員採用を行う方にも役立つでしょう。
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役員を採用するには?選定の流れを解説
ここでは、役員採用を進める際のステップを3つに分けて解説します。
- 採用したい人材像・採用要件・報酬を決める
- 役員候補者を見つける
- 書類選考や面接・条件交渉を行う
以下の項で詳しく解説します。
1.採用したい人材像・採用要件・報酬を決める
役員採用を始める前に、まず「どのような人材が必要か」を明確にすることが重要です。現在の役員の業務やスキルを洗い出し、不足している分野を把握しましょう。
たとえば、社内に法務の知見がない場合は、弁護士資格を持つ社外取締役を採用するなど、具体的な要件を設定します。条件が明確になれば、適切な採用方法も自然と見えてくるでしょう。
また、役員採用では報酬水準もあらかじめ決めておく必要があります。
経済産業省の調査によると、社外取締役の報酬相場は600万〜800万円未満が最多で、次いで400万〜600万円未満、200万〜400万円未満とされました。自社の予算に応じて、現実的な報酬設計を行いましょう。
2.役員候補者を見つける
役員候補者を探す際は、信頼できるネットワークを活用することが大切です。
ここでは、役員採用で使われる代表的な3つの方法を紹介します。
方法 | メリット | 注意点 |
①既存社員からの紹介 | ・紹介者が候補者の性格や経歴を把握しているため、ミスマッチを防ぎやすい ・採用コストを抑えられる | ・紹介者の主観が入りやすいため、スキルや適性を客観的に評価する仕組みが必要 |
②ベンチャーキャピタルや証券会社からの紹介 | ・取引先を通じて、投資先や業界に精通した人物を紹介してもらえる ・自社の経営状況に適した人材を紹介してくれる可能性が高い | ・取引先との信頼関係が前提 ・紹介数が限られる場合がある |
③日本弁護士連合会・日本公認会計士協会などのデータベース | ・法務・会計の専門家を対象にした名簿から選べる ・社外役員希望者の情報が整理されている | ・候補者との交渉・条件調整を自社で行う必要がある |
既存社員やVC・士業団体など、信頼性の高いネットワークを使うことで、候補者の質を担保しつつ、採用プロセスを効率化できます。
自社の課題や目的に応じて、複数の方法を組み合わせて検討しましょう。
3.書類選考や面接・条件交渉を行う
役員採用では、早い段階から経営層が面談に参加するのが一般的です。役員は経営に深く関与するため、スキルや経験の確認だけでなく、経営陣との相性や信頼関係が必要なためです。
面談では、候補者の経歴や実績を確認し、求めるスキルと一致しているかを判断します。そのうえで、コミュニケーション能力や意思決定のスタイルなど、書類だけではわからない点を評価します。
対面評価を丁寧に行うと、選任後のトラブルを防げます。
役員を採用するには?選任・法定手続き・就任の流れを紹介
役員を採用する前に、選定だけでなく、法定手続きや就任までの流れを正しく理解しておきましょう。
手続きに不備があると、株主総会の決議が無効になるリスクや、登記手続きの遅れによる法的トラブルが発生する可能性があります。ここでは、役員選任から就任までの手順を紹介します。
- 監査役を選任する場合は監査役会の同意を得る
- 任意諮問機関の決議等を行う
- 株主総会の日時・場所・目的の事項等を決定する
- 株主へ通知する
- 株主総会で可決する
- 就任する
以下の項で詳しく解説します。
1.監査役を選任する場合は監査役会の同意を得る
監査役を選任する際は、取締役や会計参与の選任と異なり、現在の監査役(監査役が2人以上いる場合はその過半数、監査役会設置会社の場合は監査役会)の同意が必要です(会社法343条1項、同条3項)。
同意を得ないまま選任を進めると、株主総会での決議が取り消される可能性があります。実際に、東京地方裁判所の判例(平成24年9月11日)では、同意を欠いたことを理由に決議の効力が争われました。
したがって、選任時には必ず同意を確認し、手続きを適切に進めることが重要です。
2.任意諮問機関の決議等を行う
任意で設置される指名・報酬委員会(企業の取締役の選任や報酬に関する事項を審議・検討し、取締役会に答申する委員会)などの諮問機関がある会社では、役員選任に関して「諮問(特定の事項について意見や判断を求めること)」や決議を経る必要がある場合があります。
諮問や決議が必要かどうかは会社の定款や社内規定によって異なるため、事前にどのような手続きが定められているかを必ず確認しましょう。
3.株主総会の日時・場所・目的の事項等を決定する
株主総会の開催にあたっては「いつ」「どこで」「どの議題を扱うのか」を取締役会で決定する必要があります(会社法第298条第1項第1号、第2号)。
たとえば、取締役を選任する場合は、選任する人数や候補者を明確にし、取締役会で承認を得ることが求められます。
4.株主へ通知する
株主総会の開催を決定したら、日時や議題などを総会の2週間前までに書面で株主へ通知することが必要です(会社法第299条)。
期限を守らないと、招集手続きが法令違反とされ、総会決議が取り消される可能性があります(会社法第831条第1項第1号)。実際、通知が2日遅れただけで重大な瑕疵(かし)があると判断された最高裁判例もあります。
したがって、通知期限は絶対に守るようにしましょう。
参考:最高裁判所判例集|裁判所
5.株主総会で可決する
招集手続きが完了したら、次は株主総会で取締役の選任議案を可決する段階です。
議案によって可決の条件は異なりますが、取締役の選任の場合、定款で特別な規定がない限り、過半数の株主が出席し、過半数の賛成を得ることで承認されます(会社法第309条第1項)。
6.就任する
株主総会で選任されたら、本人に就任の意思を確認します。
その後、役員の氏名などは登記事項に含まれるため、就任後は必ず登記手続きを行う必要があります(会社法第911条第3項13号、同条項17号、同条項19号、会社法第915条)。
登記は株主総会の日から2週間以内に完了させることが義務付けられているため、期限に注意してください。
※社外取締役や社外監査役を採用する場合は、会社法上の定義や条件に注意が必要です。選任手続きや同意の取り方も異なるため、事前に専門家への確認をおすすめします。
参考:e-GOV「会社法」
役員として採用すべき人の3つの特徴
本項では、役員として採用すべき人の特徴を3つ紹介します。
特徴 | 内容 | 具体例 |
①会社が求めているスキルがある人 | 自社に不足しているスキルを補える人材を採用することで、経営の幅が広がる | 法務スキルが不足している場合は、弁護士やコンプライアンスに詳しい人材 |
②同業他社での経営者経験がある人 | 同業種で経営経験を持つ人なら、業界の慣習やネットワークを活かして課題解決を図れる | 同業の大手企業で役員経験がある人なら、業界内のコネクションを活かし、取引先拡大や課題解決を迅速に進められる |
③コーポレートガバナンスに関する知見がある人 | 公正で透明性のある意思決定を行い、企業の信頼性を高める | 報酬や人事を客観的に判断し、組織のガバナンスを強化できる人材 |
役員に求める要件は企業によって異なりますが、共通するのは「現経営陣にない強みを持っているか」という視点です。
こうした人材を迎えることで、経営判断の幅が広がり、事業の推進力が高まります。
役員採用でよくある失敗例と対策2選
役員採用では、経歴やスキルだけを重視すると、採用後に思わぬトラブルが発生するケースがあります。ここでは、役員採用でよくある失敗例と対策を紹介します。
1.多忙で業務に時間が割けない
多忙で業務に時間が割けない人を採用すると、期待する役割を果たせないリスクがあります。
理由は、自社の事業や課題を十分に理解する時間が取れないためです。その結果、的確な助言ができず、形式的な関与にとどまる場合があります。
特に、自分で会社を経営していたり、複数の企業で役員を兼任していたりする人は注意が必要です。スキルや実績は魅力的でも、業務に時間を割けなければ報酬に見合う価値を提供できないでしょう。
したがって、候補者に「どの程度の時間を確保できるか」を具体的に確認しましょう。 たとえば、取締役会や経営会議にどのくらい参加できるか、必要な資料作成や調査に時間を割けるかを事前にすり合わせると安心です。
2.競合他社の社外取締役にも就任している
会社法第356条1項3号では、取締役に対して「競業及び利益相反取引の制限」を定めています。
これは、取締役が自社と競合する事業に関わる場合、株主総会(または取締役会設置会社なら取締役会)の承認を得なければならないというルールです。
禁止されているわけではありませんが、承認を経ずに取引を行うと、会社の利益を損なうリスクがあり、取締役が責任を問われる可能性があります。
具体的には、自社の事業と同じ分野に関する取引をする際、重要な事実を開示し、株主総会で承認を受ける義務があります(会社法第356条第1項)。義務を怠り会社に損害が生じると、取締役は損害賠償責任を負うことになるため注意が大切です。
社外取締役の候補者を選ぶ際には、競合企業での活動状況を確認し、会社に不利益を与えるリスクがないかチェックしましょう。
参考:e-GOV「会社法」
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役員採用は、要件定義や候補者の選定、条件交渉、株主総会での承認など、一般的な採用よりも高度な知識とリスク管理が求められます。特に、候補者のスキルや経営視点だけでなく、企業文化との適性を見極めることが成否を分けるポイントです。
こうした複雑な採用を、自社のリソースだけで進めるのは簡単ではありません。そこで活用したいのが、役員採用に強い人材紹介サービスです。
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