エンジニア採用が難しい理由とは?面談33名で見た「年収ではない」分岐点と5つの打ち手|coachee株式会社の画像
BLOG

エンジニア採用が難しい理由とは?面談33名で見た「年収ではない」分岐点と5つの打ち手

hidechika-takahashi
coachee 広報チーム
記事を共有
エンジニア採用が難しい理由とは?面談33名で見た「年収ではない」分岐点と5つの打ち手の画像

エンジニア採用が難しい最大の理由は、報酬の競争ではなく「候補者の判断軸」が企業の想定とずれていることにあります。IT/DX・エグゼクティブ・HR領域に特化した人材紹介サービス「coachee Agent Pro」を運営する当社(coachee株式会社)がIT/DX領域の候補者33名に実施した面談では、転職の決め手が「年収」だった人はわずか1名でした。本記事では、エンジニア採用が難しい構造的な理由と、面談データから見えた打ち手を解説します。

30秒でわかるこの記事の要点

  • エンジニア採用が難しいのは、需給ギャップ(経済産業省試算で2030年に最大79万人不足)と、候補者の判断軸のズレの二重構造。
  • 当社(coachee株式会社)の面談では、年収を第一に動く候補者は33名中1名。多くは「上流工程・裁量」と「情報の透明性」を重視。
  • 候補者の離脱理由の約21%は「情報が不透明」。求人票とスカウトの情報設計が勝敗を分ける。
  • 打ち手は「母集団の取り方」「情報開示」「選考スピード」「上流提示」「カジュアル面談」の5点。

なぜエンジニア採用は難しいのか?

結論から言うと、「採用したい企業の数に対して、エンジニアの絶対数が足りていない」需給の問題と、「集まった候補者が企業の想定と違う基準で意思決定している」判断軸の問題が同時に起きているためです。

需給の面では、経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」(2019年・みずほ情報総研委託)で、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足すると試算されています。転職市場でも、doda転職求人倍率レポートで技術系(IT・通信)の職種は全職種のなかでも高い水準で推移しており、1人の候補者を多くの企業が奪い合う構図が続いています。

しかし、母集団の少なさだけがボトルネックではありません。当社(coachee株式会社)がIT/DX領域の候補者と重ねた面談からは、企業側の「年収を上げれば採れる」という前提そのものが外れているケースが多いことが見えてきました。

エンジニア採用が難しい5つの理由

面談データと市場環境を踏まえると、難しさは次の5点に整理できます。

  • ① 母数が絶対的に少ない:前述の需給ギャップにより、そもそも転職潜在層を含めても候補者が限られる。
  • ② 年収だけでは動かない:当社(coachee株式会社)の面談では、転職の決め手が年収だった候補者は33名中1名のみ。報酬提示だけでは意思決定が動かない。
  • ③ 情報が不透明だと離脱する:候補者の離脱理由の約21%が「仕事内容や評価が不透明」。求人票・スカウトの情報設計が弱いと、面談前に抜けていく。
  • ④ 上流工程・裁量を求める:多くのエンジニアが「要件定義や技術選定などの上流に関われるか」「裁量があるか」を重視し、純粋な作業量や待遇よりも優先する。
  • ⑤ 選考体験とスピード:返信や合否が遅い、連絡が事務的といった体験の悪さが、競合他社との最終比較で不利に働く。

うまくいかない採用とうまくいく採用の違い

観点 うまくいかない採用 うまくいく採用
訴求軸 年収・待遇の提示が中心 任せる上流工程・裁量・技術環境を具体提示
情報開示 抽象的な募集要項 開発体制・技術スタック・評価基準を明示
接点 いきなり選考 カジュアル面談で相互理解
スピード 返信・合否が遅い 24〜48時間以内に反応

面談データが示す「本当の分岐点」

当社(coachee株式会社)の面談で繰り返し確認できたのは、エンジニアの意思決定が「年収の多寡」ではなく「仕事の中身と情報の確からしさ」で分かれるという事実です。年収を第一の理由に挙げた候補者は33名中1名にとどまり、多くは「どの工程を任されるか」「意思決定にどこまで関われるか」を基準にしていました。

また、応募や面談に至る前に離脱した候補者の約21%が「情報が不透明で判断できない」ことを理由に挙げています。これは、裏を返せば情報開示を厚くするだけで取りこぼしを減らせることを意味します。報酬を上げる前に、まず「何を任せるか」を言語化することが、難しさを解く最初の一手です。

エンジニア採用を成功させる5つの打ち手

  • ① 上流・裁量を具体的に書く:「要件定義から関与」「技術選定の裁量あり」など、任せる範囲を求人票とスカウトに明記する。
  • ② 情報を先に開示する:開発体制、技術スタック、評価制度、リモート可否を事前に提示し、不透明さによる離脱を防ぐ。
  • ③ カジュアル面談を入口にする:いきなり選考ではなく、相互理解の場を設けて温度感を合わせる。
  • ④ 返信・合否を速くする:24〜48時間以内の反応を徹底し、選考体験で競合に勝つ。
  • ⑤ スカウト文面を候補者起点にする:定型文ではなく、相手の経験に紐づけた一文を入れる。IT人材向けスカウトメールのテンプレートも参考にしてください。

関連して、即戦力のIT人材を確保する方法やITエンジニア採用のおすすめサービス、中途全般の母集団形成ができない理由もあわせてご確認ください。

採用手法別の向き・不向き

エンジニア採用では、単一の手法に頼るのではなく、母集団の少なさを補うために複数の手法を組み合わせるのが定石です。代表的な手法の特徴を整理します。

手法 向いている場面 注意点
ダイレクトリクルーティング(スカウト) 要件が明確で、狙った人材へ直接届けたいとき 文面づくりと運用工数がかかる
人材紹介(エージェント) 工数をかけずに一定の質を確保したいとき 成功報酬が理論年収の一定割合で発生する
リファラル採用 カルチャーフィットを重視したいとき 社員の協力と制度設計が前提
求人広告 認知を広げ母集団の入口を増やしたいとき 応募の質にばらつきが出やすい

どの手法でも、前提として「任せる上流工程」と「情報の透明性」が整っていなければ返信も応募も伸びません。手法の選択より先に、訴求内容の設計を固めることが重要です。

レベル別に見た難しさの違い

ひとくちにエンジニア採用といっても、採用対象のレベルによって難しさの質は変わります。

  • ジュニア層:母集団は比較的集まりやすい一方、見極めと育成体制が課題になります。即戦力を前提にすると早期のミスマッチが起きやすい領域です。
  • ミドル層:最も競合が激しい価格帯です。当社(coachee株式会社)の面談でも、この層は「上流工程に関われるか」「裁量があるか」を重視する傾向が顕著でした。
  • シニア・CTO/VPoE層:母数が極端に少なく、公開求人だけでは出会えません。経営課題と技術戦略をセットで語れるかが分岐点になります。エグゼクティブ領域の採用は専門のサポートを併用するのが現実的です。

いずれのレベルでも共通するのは、「年収の多寡」よりも「任される仕事の中身」と「選考体験」で意思決定が分かれるという点です。自社がどの層を狙うのかを明確にし、それに合わせて訴求と手法を設計してください。

エンジニア採用でやりがちな3つの失敗

最後に、面談を通じて特に多く見られた失敗パターンを3つ挙げます。いずれも「候補者の判断軸」を見落としたことで起きています。

  • 失敗1:年収だけを引き上げて勝とうとする。報酬の上積みは一定の効果はありますが、当社(coachee株式会社)の面談では年収を第一理由に動く候補者は33名中1名でした。仕事内容を言語化しないまま年収だけを上げても、入社後のミスマッチや早期離職につながりやすくなります。
  • 失敗2:募集要項が抽象的なまま。「モダンな開発環境」「裁量あり」といった言葉だけでは、候補者は実態を判断できません。使用技術、開発体制、評価基準、リモート可否までを具体的に開示することで、情報の不透明さによる離脱(約21%)を減らせます。
  • 失敗3:選考が遅い・事務的。返信や合否連絡の遅れ、テンプレート的な対応は、競合他社との最終比較で不利に働きます。候補者は複数社を並行して見ているため、スピードと丁寧さそのものが企業の魅力として評価されます。

これらはいずれも、追加の採用予算をかけずに改善できる領域です。まずは自社の求人票とスカウト文面、選考フローを候補者視点で点検することから始めてください。ITエンジニア採用の失敗例もあわせて参考になります。

社内だけで難しいときの選択肢

ここまでの打ち手を講じても、母集団の少なさや工数の制約で前に進まないケースは珍しくありません。その場合は、自社採用に外部の力を組み合わせるのが現実的です。

たとえば、スカウトの文面作成や候補者対応に工数を割けない場合は、ダイレクトリクルーティングの運用を支援するサービスや、候補者との面談・見極めを代行・伴走するサービスを併用する方法があります。当社(coachee株式会社)では、候補者一人ひとりとの面談データをもとに、どの訴求が響くか・どこで離脱が起きているかを可視化し、求人票やスカウト文面の改善から選考設計までを支援しています。自社の採用チームが小さい、あるいは専任がいない企業ほど、こうした外部の知見を取り入れることで、少ない母集団からの歩留まりを改善しやすくなります。

公開前に見直したい実務チェックリスト

最後に、エンジニア向けの求人やスカウトを出す前に確認したい項目をまとめます。

  • 任せる上流工程(要件定義・技術選定など)を具体的に書いているか。
  • 使用技術・開発体制・評価基準・リモート可否を開示しているか。
  • スカウト文面に、候補者の経験に紐づく一文を入れているか。
  • カジュアル面談の入口を用意しているか。
  • 返信・合否連絡を24〜48時間以内に返す運用になっているか。
  • 年収以外の魅力(裁量・成長・技術環境)を言語化できているか。

これらを満たすだけでも、情報の不透明さによる離脱を減らし、面談到達率を高めることができます。採用がうまくいかないと感じたら、まずはこのチェックリストで自社の訴求を点検してみてください。

まとめ

エンジニア採用の難しさは、需給ギャップと候補者の判断軸のズレが重なって生まれます。当社(coachee株式会社)の面談データが示すとおり、年収競争に乗るより先に、「任せる上流工程」と「情報の透明性」を設計することが、取りこぼしを減らす近道です。まずは求人票とスカウトの情報開示から見直してみてください。

よくある質問

Q. エンジニア採用が難しいのは年収が低いからですか?
必ずしもそうではありません。当社(coachee株式会社)の面談では年収を第一に動く候補者は33名中1名で、多くは上流工程や裁量を重視していました。

Q. 母集団が集まりません。どうすればよいですか?
需給が厳しいため、求人広告だけでなくスカウト(ダイレクトリクルーティング)やリファラルを併用し、情報開示を厚くして離脱を防ぐことが有効です。

Q. スカウトの返信率が低いです。
定型文を避け、候補者の経験に紐づけた文面にすることが有効です。返信率の考え方は関連記事で解説しています。

Q. 未経験エンジニアも採用すべきですか?
即戦力が採れない場合の選択肢になりますが、育成体制とセットで検討する必要があります。

Q. 選考スピードはどのくらいが目安ですか?
返信や合否連絡は24〜48時間以内が一つの目安です。遅さは競合との最終比較で不利に働きます。

監修者

coachee株式会社 広報チーム。人材紹介・採用支援サービス「coachee」の運用で蓄積した候補者面談データをもとに、採用担当者向けの実務情報を発信しています。

出典

記事を書いた人
hidechika-takahashi
coachee 広報チーム

coachee 広報チーム

国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

関連ブログ

BLOG