「働いていた人材が退職して関係が途切れてしまうのは、もったいない」
「退職者が増えて採用コストが膨らむ一方だ」
「アルムナイ制度を詳しく知って採用に役立てたい」
このように考えていませんか?人材不足が深刻化する中、アルムナイ制度の導入を検討する企業は多い傾向です。
本記事では、アルムナイ制度の概要から、メリット・デメリット、導入手順まで詳しく解説します。日立製作所やトヨタ自動車など、大手企業の事例も紹介するため、自社での導入イメージが明確になるでしょう。
アルムナイ制度に興味がある方や採用に取り入れたい方には、coachee人事シェアがおすすめです。
人事のプロが、豊富な経験をもとに採用方針に合ったアルムナイ制度の設計・運用をサポートします。丁寧なヒアリングをもとに即戦力人材を最短1日で紹介可能です。
成功報酬や月額報酬は0円ですから、気になる方は下記のサービス紹介資料をお気軽にチェックしてみてください。
アルムナイ制度とは
「アルムナイ」は卒業生や同窓生という意味で、退職した社員を指します。アルムナイ制度とは、企業を退職した元従業員と関係性を維持し結びつける制度です。
例えば本業の仕事をしながら自社のプロジェクトに参加したり、退職後に再び正社員として戻ってきたりするなど、企業と元従業員をつなぐ多様な形があります。
実施率
マイナビ キャリアリサーチLabの「2024年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」によると、アルムナイ採用を実施している企業は40.9%に上ると報告されました。特に301名以上の大企業では、55.7%が実施しており、企業規模が大きくなるほど導入率が高くなる傾向です。
制度を導入している企業では高い評価を得ており、54%が「即戦力として活躍してくれる」と回答しています。さらに、48%が「採用・育成コストの削減」、44.6%が「自社外で身につけたスキルを還元できる」とメリットを感じています。
元従業員が自社の文化や業務を理解しているため、スムーズに戦力となれることが要因と言えるでしょう。
出典:中途採用・転職活動の定点調査|マイナビ キャリアリサーチLab
リファラル採用との違い
リファラル採用とは、自社従業員のネットワークを使って人材を採用する手法です。従業員や外部関係者からの推薦によって採用を進めます。具体的には、社員が知人を紹介したり、取引先から人材を紹介してもらったりするケースが該当します。
一方、アルムナイ採用は退職者に特化した採用方法です。在籍している従業員からの推薦で採用になるケースもありますが、対象者を退職者に限定している点が異なります。
アルムナイ採用では、自社の文化や業務に馴染みのある人材を確保できるため、即戦力として活躍がより期待できます。
アルムナイ制度が注目される3つの理由
アルムナイ制度が注目されている背景には、次のような理由があります。
- 人材不足が深刻化しているため
- 優秀な人材確保が難しくなっているため
- 働き手の価値観が変化しているため
それぞれの理由を詳しく解説します。
1.人材不足が深刻化しているため
日本では少子高齢化の影響により、労働人口が減少傾向です。2030年には約341万人、2040年には約1,100万人の労働力が不足すると予測されています。
このような状況では、外部から新たな人材を探すよりも、元従業員にアプローチする方が効率的です。なぜなら、アルムナイは自社の業務や文化を理解しているため、新規採用と比べて教育コストを抑えられるだけでなく、早期離職のリスクも減らせるからです。
出典:未来予測|労働力はどれだけ足りなくなる?|リクルートワークス研究所
2.優秀な人材確保が難しくなっているため
優秀な人材を確保することが年々難しくなる中、多くの企業がアルムナイ制度に目を向けています。転職希望者は10年間で約800万人から約1,035万人へと急増していますが、実際に転職を実現している人数は約325万人前後で推移しており、約710万人もの「転職潜在層」が存在する状況です。
加えて、転職市場では企業間の人材獲得競争が激化しており、通常の採用活動だけでは思うように採用が進まないケースが増えています。そのため企業は、新たな人材確保の手段としてアルムナイ制度を導入し始めています。
実際、以前活躍していた元従業員に直接スカウトをかけたり、アルムナイ向けの転職説明会を開催したりすることで、潜在的な転職希望者とのコンタクトが可能になるでしょう。すでに自社での勤務経験がある人材であれば、能力や人柄を把握できているため、より確実な採用につながりやすい利点もあります。
出典:直近の転職者及び転職等希望者の動向について|総務省統計局労働⼒⼈⼝統計室
3.働き手の価値観が変化しているため
働き方の多様化により、優秀な人材を安定的に確保することが難しくなっています。特に昨今は、一つの企業で長く働き続けるという従来の価値観から、キャリアアップのために転職や独立など、柔軟な働き方を選択する人材が増加傾向にあります。
そのため、他社での経験やスキルを積んだアルムナイを再雇用できれば、自社での経験を活かしつつ、外部で磨いた新たなスキルも発揮してもらえます。
アルムナイ制度のデメリット3選
アルムナイ制度には導入時に注意すべきデメリットもあります。
- 既存社員の不満が生まれやすい
- 退職のハードルが下がる可能性がある
- 情報漏洩のリスクがある
あらかじめデメリットを把握し、対策を講じると、制度を効果的に運用できます。以下の項で詳しく解説します。
1.既存社員の不満が生まれやすい
退職者が既存の従業員に比べて好待遇で再雇用された場合、社内に不公平感が生まれる可能性があります。「長年頑張ってきた自分よりも、一度退職した従業員の方が評価されている」といった不満が出る場合も考えられるでしょう。
このような状況が続くと、既存の従業員のモチベーションが低下し、職場の雰囲気も悪化する恐れがあります。したがって、制度を導入する際は、既存社員への配慮や説明を十分に行う必要があります。
2.退職のハードルが下がる可能性がある
アルムナイ制度により「一度辞めても戻ってこられる」と考え、社員が安易に退職する恐れもあります。その結果、優秀な人材の流出が増え、企業の定着率向上が難しくなることに注意が必要です。例えば若手社員が「今の会社を辞めても、経験を積んでから戻ればいい」と考えるようになれば、人材の定着に悪影響を及ぼす恐れがあります。
既存社員の退職を防ぐために、アルムナイ制度と並行してキャリアパス制度(企業が従業員のキャリアアップの道筋を示す制度)の充実化などを行いましょう。
社内でキャリアアップできる環境を整えることで、安易な退職を選択せずに済むためです。
3.情報漏洩のリスクがある
アルムナイとの交流会や情報交換の場で、意図せず社外秘情報が共有されてしまうリスクがあります。例えば、新規事業の計画や公表していない戦略などの機密情報が漏洩する可能性があるでしょう。
リスクを軽減するためには、アルムナイとの交流前に、情報管理に関する明確なルールを設けるなどの対処法が必要です。
アルムナイ制度のメリット4選
本項では以下4つのメリットについて解説します。
- 採用コストを削減できる
- 即戦力人材を獲得できる
- 新しい知識や価値観を取り入れられる
- 企業ブランディングの向上につながる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.採用コストを削減できる
アルムナイ制度の導入により、採用にかかる費用が大幅に抑えられます。企業から退職者に直接オファーを出すため、転職エージェントの仲介手数料や求人媒体への掲載料が不要になるでしょう。
また、企業の文化や業務フローを把握している元従業員は、改めて教育や研修を実施する時間が短縮されます。そのため、通常の採用で発生する研修費用も削減が見込めます。
2.即戦力人材を獲得できる
アルムナイはすでに企業理念や社風、業務内容、商品知識を理解しています。通常の中途採用では時間がかかる業務の習熟や職場への適応も、アルムナイであれば円滑に進められるでしょう。
さらに、企業側もアルムナイの人柄や働きぶりを事前に把握できているため、採用のミスマッチが起こりにくい点も強みです。
3.新しい知識や価値観を取り入れられる
アルムナイは退職後にさまざまな経験を積んでいます。他社での業務経験やスキルアップ、新しい業界での知見など、自社にはない視点や知識を持っているでしょう。
外部で得た知識や価値観を取り入れると、既存社員との相乗効果が生まれ、社内の活性化も期待できます。また、アルムナイの新しい視点が、自社が抱える課題の解決につながる可能性もあります。
4.企業ブランディングの向上につながる
アルムナイ制度を導入すると、企業の魅力を高められます。退職した人材を再び受け入れる姿勢を見せることで「柔軟で働きやすい企業」という印象を与えられるためです。
加えて、求職者にアピールできます。例えば「将来的にキャリアアップのために一度退職したとしても、スキルを磨いて戻ってこられる環境がある」と感じてもらえます。その結果、入社を迷っている人材の背中を押すきっかけにもなるでしょう。
アルムナイ制度の導入手順5ステップ
アルムナイ制度を円滑に運用するためには、退職者を単純に再雇用するだけでなく、以下の5つのステップで導入を進めます。
- 目的を明確にする
- 対象者の条件を設定する
- 選考方法・受け入れ体制を整える
- 制度を社内に周知する
- 運用ルールを策定する
それぞれのステップについて詳しく解説します。
1.目的を明確にする
まずは、企業の方向性や経営戦略、事業計画に基づいて、アルムナイ制度の目的を明確に定めます。例えば、下記のように目的を設定しましょう。
- 優秀な人材の確保
- 採用コストの削減
明確な目的があれば、制度設計や運用方針も立てやすくなります。
2.対象者の条件を設定する
アルムナイ制度の対象者には、明確な基準を設ける必要があります。「リーダー職以上の経験者」「3年以上の勤務経験がある人材」など、条件を定めましょう。
また、退職者の経験やスキルに応じた専用ポジションを用意してください。役職や業務範囲を提示すると、入社時のギャップを防げるでしょう。
3.選考方法・受け入れ体制を整える
アルムナイ制度を成功させるには、復職者を受け入れる体制づくりが重要です。復職者が早期に活躍するため、以下のような準備を進めます。
- 選考方法を決める
- 給与や待遇を決定する
- 教育体制を整える
まず復職希望者の選考方法を決めておきます。
一般的な中途採用では確認しない「なぜ退職したのか」「在籍時の評価はどうだったか」といった項目も審査の対象です。選考基準を作成し、採用担当者と現場責任者で共有しておきましょう。
次に給与や待遇の基準を明確にします。復職者は「前回の給与より上げてほしい」と考えることが多いですが、既存社員と比べて明らかな優遇は社内の不満を招く原因になります。そのため、職務経験やスキルレベルなど、納得できる評価基準を設けましょう。
さらに、復職後の教育体制を整えます。会社の仕組みは年々変化するため、数年前に退職した人でも知らないことが多くあります。
そこで新しい社内ルールの説明会や業務で使うツールの使い方講座など、スムーズに仕事を始められる研修プログラムを用意します。充実した研修で復職者の不安を取り除き、実力を発揮しやすい環境を作りましょう。
4.制度を社内に周知する
アルムナイ制度は日本企業では一般的ではないため、社内への十分な周知が必要です。制度の存在自体を知らない社員や「なぜ一度退職した人材を再雇用するのか」と疑問を持つ社員もいるでしょう。
特に受け入れ側となる現場の社員には、制度の意義や目的を丁寧に説明する必要があります。将来的にアルムナイと協働する可能性が高く、良いイメージを持っていない社員がいると、協力体制を築きにくくなるためです。
そのため、制度の目的から運用方法まで、社内での理解と納得を得られるよう説明しましょう。説明会や社内報などを通じて、制度に関する情報を広く発信し、アルムナイ制度が会社の成長に貢献する取り組みであると認識してもらいます。
5.運用ルールを策定する
アルムナイ制度を効果的に運用するために、ルール作りを明確にしましょう。誰でも簡単に復職できる制度だと誤解されると、安易な転職を助長する恐れがあるためです。在籍時の一定の実績や、退職後の経験など、明確な条件を設定する必要があります。
例えば「在籍中に特定のプロジェクトを完遂した経験があること」「退職後に関連業界での経験があること」などのルールを定めましょう。
アルムナイ制度を成功させる2つのポイント
アルムナイ制度を効果的に運用するためには、以下の2つのポイントが重要です。
- 退職時の関係性を良好に保つ
- 定期的な交流の場を設ける
ポイントを意識して取り組むことで、制度の成功率が上がります。
1.退職時の関係性を良好に保つ
退職時の関係性は、アルムナイ制度の成否を左右します。例えば給与や評価への不満を抱えたまま退職した場合、人材が再び戻る可能性は低くなるでしょう。
また、退職時の上司や同僚との関係が良好な場合、その後も緩やかなつながりを持ち続けられます。したがって、送別会の開催や退職時の面談など、円満な形で送り出す工夫が必要です。
2.定期的な交流の場を設ける
アルムナイとの関係維持には、継続的なコミュニケーションが欠かせません。そのため、四半期に一度の交流会や、オンラインでの情報交換会など、定期的に顔を合わせる機会を設けましょう。
また、退職者同士のネットワークづくりも重要です。例えば同期入社の退職者が集まる懇親会や、部署単位での交流イベントなど、さまざまな形での接点を持つと、アルムナイ同士の絆も深まります。これにより、復職へのハードルも下がるでしょう。
アルムナイ制度の企業事例4選
本項では、アルムナイ制度を導入している4社の事例を紹介します。
- 日立製作所
- トヨタ自動車
- サイボウズ
- アクセンチュア
それぞれの企業の取り組みを知り、自社での導入時に活かしてください。
1.株式会社日立製作所
日立製作所は、多くの優秀な人材を採用するために、アルムナイ制度を導入しました。以前から退職者を再雇用するケースはありましたが、知人や元同僚など個人的なつながりのある人に限られていました。
そこで制度として正式に立ち上げると、組織的に退職者全体にアプローチできるようになっています。例えば、元社員向けの専用サイトで、再入社後のキャリアステップを説明したり、職場環境の変化を伝えたりするなど、退職者が知りたい情報を積極的に発信しています。
2.トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は2022年3月に、自己都合退職者や社員が交流するコミュニティを立ち上げました。離職者同士やトヨタ社員との情報交換が可能です。
また、トヨタの注力分野や求める人材像も発信しており、自社をよく知りながら異業種を経験した元社員を有力な人材として位置づけ、ネットワークの強化を図っています。
3.サイボウズ株式会社
サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」という理念のもと、退職後も元社員とのつながりを継続しています。アルムナイ限定のkintoneでのコミュニケーションや各オフィスへの招待など、人脈が途切れないような施策を実施中です。
これにより、アルムナイ同士や現役社員との新たなコラボレーションが生まれることを目指しています。
4.アクセンチュア株式会社
アクセンチュアは「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」という、30万人以上のアルムナイが在籍する独自のネットワークを運営しています。退職した社員も「大切な家族であり仲間」と位置づけ、世界中で活躍する卒業生とのつながりを維持しています。
ネットワークを通じて、アクセンチュア出身者同士の交流や情報交換が活発に行われています。
参考:アクセンチュアの卒業生(アルムナイ)|accenture
アルムナイ制度に関するよくある質問
本項では、アルムナイ制度に関するよくある質問と回答を紹介します。
- 年齢制限はあるのか
- 退職後すぐの再雇用は可能か
以下で詳しく解説します。
1.アルムナイ制度に年齢制限はある?
アルムナイ制度には法的な年齢制限は設けられていません。企業の方針や目的に応じて、独自の基準を定める傾向です。
多くの企業では年齢よりも、個人の専門性や経験、スキルを重視しています。例えばIT業界であれば最新技術の知見を持つ人材、営業職であれば豊富な顧客ネットワークを持つ人材など、基準を具体的にしましょう。
2.退職後すぐの再雇用はできる?
退職直後の再雇用も法的な制限はありませんが、退職後5年以内など基準を設けている企業もあります。
また、退職後に一定期間の実務経験を求めるケースも珍しくありません。「他社での経験が1年以上ある」「起業経験がある」といった条件を設け、外部での経験を評価するような仕組みを取り入れている企業もあります。
アルムナイ制度を導入して人材確保を成功させよう
アルムナイ制度とは、企業を退職した元従業員との関係性を維持・活用する仕組みです。人材不足や優秀な人材確保の難しさを背景に、多くの企業で注目を集めています。
制度を導入することで、採用コストの削減や即戦力人材の獲得などのメリットが期待できます。一方で、既存社員との不公平感や情報漏洩リスクなどの課題もあるため、導入する際には目的を明確にしたり、運用ルールを策定したりしましょう。
アルムナイ制度に興味がある方には「coachee人事シェア」がおすすめです。
厳しい審査を経た人事のプロが豊富な経験をもとに、アルムナイ制度の設計から運用までサポートします。即戦力人材を最短1日で紹介可能なため、人材不足の解消にもつながるでしょう。
利用する際は、課題をヒアリングし解決に必要なスキルや要件をすりあわせて、マッチした候補者を提案します。
初期費用はかからないため、気になる方は下記の資料をダウンロードして、サービスの詳細をチェックしてみてください。