「幹部候補がなかなか育たない」
「将来を担うリーダーを育成したいが、何から始めればいいのかわからない」
事業の拡大や経営環境の変化に対応するには、経営視点を持った次世代リーダーの存在が不可欠ですが、育成方法がわからず困っていませんか?
そこで本記事では、幹部候補の育成を成功させる5つのステップと成功のポイントを詳しく解説します。
育成が困難な場合の外部からの幹部人材採用方法も紹介するため、自社に最適なアプローチを見つけられるでしょう。
本記事を参考にすれば、将来の経営を担う幹部候補を効果的に育成でき、企業の競争力強化や成長につなげられます。
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幹部候補とは
幹部候補とは、将来的に上位管理職や経営層に昇進し、組織の成長を牽引する役割を担う人材です。企業にとって重要な意思決定を行い、経営戦略を実行するポジションを目指します。
育成の目的は、企業の意思決定力を高め、変化の激しい経営環境に対応できる体制を築くことです。経営判断を経営者1人に依存していると、意思決定が遅れ、競争力を失うリスクがあります。
一方で、複数の経営幹部が育っていれば、それぞれの視点を活かした多角的な判断が可能となり、迅速な意思決定や事業の成長につながります。
【5ステップ】幹部候補の育成方法・手順
幹部候補を育成するには、明確な手順を踏むことが大切です。しかし、多くの企業では育成が思うように進んでいないのが現状です。
株式会社みらいワークスの調査によると「人材の選抜」「ゴール設定」「育成の仕組みづくり」など、幹部候補育成に関する課題を抱える企業が多いと報告されました。こうした課題を放置すれば、経営を担える人材が育たず、組織の成長が停滞する恐れがあります。
そこで本項では、これらの課題を解決するための5つの育成ステップをわかりやすく解説します。
出典:幹部候補に対する教育・育成、約4割が「不十分」と回答 「人材の選抜」や「明確なゴール設定」などの課題から、次世代リーダーへの準備が疎かになっている事実|PRTIMES
ステップ1.育成目的を考える
幹部候補の育成を始める前に、育成の目的を明確にすることが最優先です。目的が曖昧なままだと、計画や評価が形骸化し、時間やコストだけが無駄になるリスクがあります。
たとえば、以下のような経営課題に沿って目的を設定しましょう。
- 経営戦略を実現するためのリーダー育成
- 組織変革を推進するための幹部層強化
- 事業拡大を支える管理職層の確保
明確な目的を設定することで、その後の育成計画や評価基準の軸が定まり、一貫した人材育成が可能になります。
ステップ2.幹部候補の人物像を明確にする
育成の目的が明確になったら、どのような人物を幹部にしたいのかを定義しましょう。人物像があいまいだと、候補者の選抜基準が不明確になり、適切な人材を見極められません。
以下のように自社の経営方針や事業戦略に沿って、求めるスキルや姿勢を整理しましょう。
求められるスキル・資質 | 必要な理由 |
経営理念やビジョンへの深い理解 | 組織の方向性を理解し、理念を浸透させながら、戦略を策定・実行する役割を担うため |
経営や事業運営に関する知識と経験 | 戦略立案や財務管理、情報セキュリティなど、企業を持続的に成長させるために不可欠 |
リーダーシップ | チームをまとめ、目標達成に導く力が必要。的確な指示とわかりやすい伝達力も求められる |
課題解決能力・戦略的思考力 | 市場や社内の状況を分析し、企業が成長するための提案をする力や、課題を発見し解決するための思考力が求められる |
決断力と行動力 | 迅速な意思決定と積極的な行動により、目標達成を確実に進めるため |
このように、幹部候補に求めるスキルが明確になると、採用や育成の基準が統一され、判断のぶれを防げます。
また、候補者自身もどのような能力を高めるべきかを理解でき、成長意欲の向上につながります。
ステップ3.候補者を見極めて選抜する
育成の目的や求める人物像が明確になったら、候補者を選抜します。複数の方法を組み合わせて、客観的な視点で候補者を判断しましょう。
選抜方法 | 特徴・メリット |
過去の実績から選抜 | ・業務経歴や実績を確認し、成果を裏付けるデータで判断できる ・選抜の初期段階で効率的に絞り込み可能 |
社内公募で募集 | ・自発的な応募者は育成意欲が高い ・普段の業務態度を加味できるため、公平性を保ちやすい |
上司からの推薦 | ・業務を共にしている上司や部門長が、リーダーシップや協調性など、日常では見えにくい資質を評価できる |
360度評価(様々な立場の人が、対象者を多角的に評価する制度)の導入 | ・上司だけでなく同僚・部下の評価も取り入れ、総合的に判断できる ・判断の偏りを防ぎやすい |
複数の手法を併用すると、偏りのない選抜が可能になり、適切な候補者を見極めやすくなります。
特に、社内公募や360度評価は、従来の上司評価だけでは見えない資質を把握できる点で有効です。
ステップ4.育成計画を立てて実行する
幹部候補を選抜したら、次は育成計画を策定し、実行に移します。座学・実務・トップ層との交流など、複数のアプローチを組み合わせてみましょう。
育成方法 | 狙い・ポイント |
経営層との交流機会を設ける | 経営者との定期的なディスカッションやメンタリングを通じて、意思決定の視点やリーダーシップを学び、戦略的思考を養う |
専門セミナーや研修の受講 | 経営戦略、リーダーシップ、財務・会計、人材マネジメントなど、幹部に必要なスキルを体系的に習得する |
既存事業の責任者ポストにアサイン | 事業運営や戦略立案を担い、チームを率いる実践経験を積む。新規事業や海外子会社、不採算事業など難易度の高いポストで成長を促す |
座学と現場での実践を組み合わせると、幹部候補は経営感覚とリーダーシップを同時に磨けます。
ステップ5.結果を評価して改善する
育成計画は立てて終わりではありません。日常業務の中で幹部候補の行動やリーダーシップを観察し、定期的に評価・見直すことが重要です。
評価後は、候補者にフィードバックを行いましょう。たとえば「会議での意思決定スピードが遅い」「部下への指示が抽象的」といった改善点を伝えます。
そのうえで「次回は意思決定の根拠を簡潔に示す」「部下には期限と目的を明確に伝える」という行動レベルのアドバイスを加えると効果的です。
これにより、候補者は自分の課題を明確に理解でき、成長意欲の維持やスキルの向上につながります。
幹部候補の育成を成功させる3つのポイント
幹部候補の育成は、単に研修や実務経験を積ませるだけでは不十分です。
本項では、計画を形骸化させず、確実に成果を出すために必要な3つのポイントを紹介します。
1.経営陣と人事部が積極的に携わる
幹部候補の育成を成功させるには、経営陣と人事部が積極的に関与することが不可欠です。どちらか一方に任せきりにすると、育成計画が形だけのものになり、実効性を欠くリスクがあります。
現状、多くの企業では、経営層が日常業務に追われ、育成を人事任せにする傾向があります。防ぐためには、経営会議で育成を重要テーマとして扱い、役員や部門長の協力を引き出す取り組みが必要です。
また、経営層が人材委員会に参加し、幹部候補の評価プロセスに直接関与することは、育成の質を高めるうえでも効果的です。
一方、人事部は、労務管理だけにとどまらず、経営層や現場責任者と積極的に連携することが大切です。現場に入り込み、幹部候補のパフォーマンスを把握したうえで、適切な育成支援策を検討・実行してください。
2.長期的な育成計画を立てる
幹部候補の育成は、短期間では十分な成果を得られません。管理職育成にかかる期間は通常1〜3年ですが、経営幹部や後継者を育てるには、より長期的な視点が大切です。短くても3年、場合によっては10年近くかかるケースもあります。
短期間で終わらせようとすると、研修内容が表面的になり、必要なスキルやマインドが定着しません。そのため、計画は長期で設定し、段階的に実施しましょう。
3.定期面談でフォローする
幹部候補の育成は、単発の研修やOJTで終わるものではありません。継続的なサポートを通じて、必要なスキルや資質を徐々に身につけることが求められます。
したがって、定期的な面談や1on1で進捗を確認し、改善点を明確に伝えましょう。あわせて、次に取り組むべき課題や目標を示すと、候補者の成長を後押しできます。
幹部候補の育成事例
本項では、日立グループが実施している幹部候補育成の取り組みを紹介します。
日立グループは、経営トップと指名委員会を中心に、将来の経営リーダーを計画的に育成する取り組みを進めています。その一環として、変化や改革を推進できる次世代リーダーの育成を目的としたプログラムを導入しています。
育成の対象は、将来CEOや事業部門長を担う人材です。候補者は、グローバルなタレントプール(採用候補者となる可能性のある人材を管理する仕組み)「GT+」から、世界各地の数百人規模で選抜されます。選ばれた人材は、次のような施策を通じて、多面的なスキルを身につけています。
- OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング):タフアサインメントと呼ばれる難易度の高い業務に挑戦し、実践的な経営スキルを身につける
- Off-JT(社内外研修):経営知識を強化するトレーニングを実施
- コーチング:個々の課題に応じた指導でリーダーシップを育成
また、選抜者には外国人や女性が多く含まれ、ダイバーシティを重視した育成が進められています。さらに、経営者ポジションを含むアサインメントや、社外取締役との直接対話の機会も提供され、早期登用を目指す優秀層には集中的な育成が行われています。
参考:人材戦略|日立グループ
【育成が難しい場合の対処法】外部から幹部候補を採用する2つの方法
幹部候補の育成には時間とコストがかかるため、自社内での育成が難しいケースもあります。その場合、外部から幹部候補を採用することが有効です。
ここでは、特に活用されるケースが多い2つの方法を紹介します。
1.リファラル採用
リファラル採用とは、現役社員や知人の紹介を通じて幹部候補を採用する方法です。既存社員が推薦するため、信頼性の高い人材を確保しやすく、スキルや価値観のミスマッチを防げます。
さらに、紹介者を通じて候補者の人物像を事前に把握できるため、入社後のコミュニケーションが円滑になりやすい点もメリットです。加えて、人材紹介会社を利用する場合に比べ、採用コストを大幅に抑えられる可能性があります。
2.中途採用
中途採用では、社会人経験を持つ人材を幹部候補として採用できます。すでに必要なスキルやマネジメント経験を備えていれば、短期間で幹部として活躍できる可能性があります。
ただし、社内育成と異なり、候補者に関する情報が限られている点には注意してください。面接や適性検査を通じて、実務能力や価値観をしっかり見極めることが欠かせません。
幹部候補を育成・採用して企業の成長につなげよう

幹部候補の育成では、目的を明確にし、適切な候補者を見極めたうえで、長期的な計画に基づいて実行することが重要です。こうした取り組みによって、自社の将来を担うリーダーを着実に育成できます。
一方で、時間やリソースの制約から内部育成が難しい場合は、外部採用も有力な選択肢です。リファラル採用や中途採用を組み合わせれば、必要なタイミングで即戦力となる人材を確保できます。
本記事で紹介した育成手順や成功事例を参考に、自社に最適な方法で取り組んでみてください。
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