「人事への転職は難しい」という噂を見聞きしますが、これは本当です。未経験から人事への転職はもちろん、仮に人事として働いた経験があったとしても転職は簡単ではありません。
なぜ人事への転職が難しいのか、どうすれば人事への転職を成功させられるのか、本記事で解説します。あわせて人事へ転職する際に狙いたい企業や、そもそも人事はどのような人に向いている仕事なのかも紹介します。「人事への転職を成功させたい」と考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考に転職活動をすすめてください。
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なぜ未経験から人事の転職は難しい?
人事への転職は、未経験者にとって特にハードルが高いと言われています。その主な理由を詳しく見ていきましょう。
- 中途採用では経験者の採用が優先されるから
- 未経験者を求めている求人自体が少ないから
- 社内から異動で人事になるパターンがあるから
中途採用では経験者の採用が優先されるから
中途採用では、基本的に応募者の過去の経験や持っているスキルを重視して合否を決めるものです。そのため「人事の経験はないけれど人事の仕事に就きたい」という人は、非常に不利な状況での転職活動を強いられます。
未経験でも人事へ転職するのは、不可能ではありません。しかし比較的キャリアチェンジしやすい20代、もしくは未経験でも人事としてすぐに活躍できることが期待できるスキル・経験を持った人でも、厳しい転職活動となるでしょう。
未経験者を求めている求人自体が少ないから
人事の求人は、営業や接客といった職種と比較すると求人数そのものが少ないです。数少ない人事の求人も「経験者のみ応募可」となっているものが多く、そもそも未経験では応募すら難しいです。
そのため応募するチャンスそのものが少なく、転職活動が長期化しやすくなります。
社内から異動で人事になるパターンがあるから
社内で欠員が発生したときに、他の職種であれば「中途採用を行って人材を補充しよう」となるケースが一般的です。しかし人事の場合「営業部で優秀な人を人事部に異動させて、営業職の中途採用を行おう」となるケースがあります。
企業にもよりますが、人事部は社内で花形部署となっている場合が多いです。そのため人事部で欠員が発生しても、社内の異動で問題が解消される場合が多く、結果的に転職市場に出回る人事の求人が少なくなる、という循環がうまれています。
また人事は企業内のあらゆる部署と連携する機会が多いため「いきなり人事部で中途採用するより、既に社内事情が分かっていて優秀な社員を異動させよう」と企業側が判断するケースが多いです。このような事情から、特に未経験から人事への転職が難しくなっています。
経験があっても人事の転職は難しい?
中途採用は経験者が優先して採用されやすいです。ただし人事の場合、人事として仕事をした経験があるからといっても転職は簡単ではありません。なぜなら、下記のような理由があるからです。
- 社内事情に詳しい人が向いているから
- 自社の業務に詳しい人が向いているから
- 中途採用の場合はある程度以上のスキルや経験を求められるから
社内事情に詳しい人が向いているから
人事は社内のさまざまな部署とかかわる仕事です。そのため中途採用で人事経験者を雇うより、未経験でも他部署で成績を上げている優秀な人を人事に異動させる、と企業側が判断するパターンが多めです。
たとえば「人事しか分かりません」という人より「元営業で自社商品にも詳しい」といった人の方が適任といえるでしょう。もちろん中途採用で人事を採用するパターンもありますが、社内人材を異動させる方が優先度は高くなってしまいます。
自社の業務に詳しい人が向いているから
人事の仕事は、会社で取り扱っている製品・サービスに詳しいのはもちろん、社内の事情に詳しい人が向いています。特に他部署と調整して仕事をすすめることが多いため、社内のさまざまな部署に顔が利く方が仕事をすすめやすいでしょう。
人事経験者は、人事という仕事には詳しいものの、応募先企業の社内事情や取り扱っている商品・サービスの知識はほとんどありません。そのため、経験者であっても人事への転職は難しいのです。
中途採用の場合はある程度以上のスキルや経験を求められるから
人事を中途採用する場合、労務管理や採用など、ある程度以上のスキルと経験が求められます。たとえば人事制度の設計・改善やグローバル人事の経験など、高い専門性もしくは社内リソースだけでは賄えないスキルをもった人を採用したいはずです。
そのため会社が求めている専門性、またはアピールできる実績がないと、採用につながらない恐れがあります。「人事の経験があります」だけでなく、その経験を応募先企業でどのように活かせるのか伝えることが、転職活動では重要になります。
人事の仕事内容
人事の仕事は多岐にわたりますが、大きく分類すると下記の4つが挙げられます。
- 採用
- 人事労務
- 人材育成
- 人事制度の運用、改善
新卒・中途の採用活動を行うのは人事部です。どのような人材を採用すべきなのか、採用ターゲットを明確にしたり採用スケジュールを立案したり、面接〜内定後のフォローまで行ったりするのが仕事です。
人事労務では給与計算や福利厚生の運用、人事異動などを行います。社員が安心して働ける環境を整備するのも人事の仕事です。新卒の入社後研修を行ったり社員のスキルアップを支援したりする(人材育成を行う)のも人事が担当します。
また既存の人事制度を運用し、必要があれば改善を行うことも人事には求められます。たとえば原則全員出社の状態からリモートワークでの勤務を認める場合、人事評価の方法や勤務体系・労務管理システムの見直しが必要となるでしょう。
人事の仕事は社員がやりがいを持ちつつ安心して働ける環境の整備を行うことです。社員の活躍をサポートすることが、企業の成長にもつながります。
難しい人事への転職を成功させるポイント
経験の有無にかかわらず、人事への転職は難しいものです。では転職活動を成功させるにはどのようなポイントに注意すべきか、具体的に紹介します。
- 志望動機を明確にする
- 転職理由をポジティブなものにする
- 入社後に活かせるスキルや貢献できることをアピールする
- 今後のキャリアプランを明確にする
- 転職エージェントからアドバイスをもらう
志望動機を明確にする
「なぜ人事の仕事なのか」「なぜその企業に応募したいと思ったのか」といった、志望動機を明確にしましょう。「人事の仕事に興味があるから」といった抽象的な理由だと、なぜ人事に興味を持ったのか、他社の人事職でも良いのでは、といった疑問が残ってしまいます。
「〜〜という御社の人事労務の取り組みに興味があるから」
「海外支店を多く持つ御社で、グローバル人事として貢献したいから」
このように、応募先企業の特徴に興味を持っていることを、具体的な内容を交えてアピールしましょう。
転職理由をポジティブなものにする
転職理由は、中途採用の面接において必ずと言って良いほど質問されます。このときに、本音はどうであれネガティブな転職理由を伝えてしまうのはおすすめできません。
たとえば「営業が苦手で成績が良くなかったから」といった転職理由では、面接官は「採用したい」と思わないでしょう。ネガティブな言葉はなるべく使わず「営業で遭遇した〇〇という経験をきっかけに、人事という仕事に興味が湧いた」など、できるだけポジティブな言葉に置き換えることをおすすめします。
入社後に活かせるスキルや貢献できることをアピールする
入社後にどのようなスキルを活かして会社に貢献できるかアピールすることも、内定を獲得するうえで重要です。
たとえば「前職では人事として採用・労務管理を行っていました。この経験を活かして貴社の人事として貢献したいです」といったエピソードがあれば、面接官は「採用したい」と思うはずです。
また人事は未経験でも「営業部のマネージャーとして〇人の部下をマネジメントした経験を活かして」「お客様の特徴を見極めて最適なサービスをご案内し、トップの販売実績を獲得した経験を活かして」など、人事としても活かせるスキルやエピソードをアピールしましょう。
今後のキャリアプランを明確にする
人事として採用された後はどのような仕事に携わりたいか、将来はどのように活躍していきたいか。このような、今後のキャリアプランを面接で伝えることも重要です。具体的なプランを伝えることで「今後の働き方や自分の将来について考えている」と、面接官に良い印象を与えられるはずです。
たとえば「3年後には人事部の一員として採用計画を立案できる、また人事制度の改善提案および推進できるようになりたい」「10〜15年後には採用の責任者として、貴社で活躍する人材を見極めて採用を成功させたい」など、といったアピールが考えられます。
具体的かつ実現可能性を感じられるキャリアプランであれば、面接官にも納得感を与えられます。
転職エージェントからアドバイスをもらう
本気で人事への転職を考えているのであれば、転職支援のプロである転職エージェントからアドバイスを受けるのもおすすめです。転職エージェントは採用市場をはじめとした、転職市場に精通しています。
転職エージェントに相談することで、現在の中途採用市場について現状を伝えてもらったり、書類の書き方や良さそうな求人の紹介などを受けたりできます。
人事に絞って転職活動を行うのであれば、人事専門の転職エージェントを利用するのもおすすめです。coachee人事シェアでは、大手からベンチャーまで経験した元プロ人事が、あなたの人事への転職活動をサポートします。無料なので、まずは登録だけでもしてみませんか?サービスの詳細確認および登録は下記から行えます。
未経験から人事へ転職する際に狙いたい企業
未経験から人事へ転職する場合、闇雲に応募しても採用される確率は低いです。ただし応募する企業を見極めれば、効率的に人事へ転職しやすくなります。具体的には、下記の特徴に当てはまる求人への応募をおすすめします。
- 未経験でも応募可の求人を出している企業
- 自分の経歴でもチャレンジできそうな求人を出している企業
- 人事に絞らず経理や総務などの求人を出している企業
未経験でも応募可の求人を出している企業
人事未経験でも積極的に応募を受け付けている企業はあります。未経験歓迎の人事求人を見つけたら、できるだけ前向きに応募をすすめましょう。
ただし求人のなかには「経験者に限定すると応募が集まらないため未経験からの応募も受け付けている」という、いわゆる「ワケあり求人」が紛れているリスクもあります。せっかく人事として転職できても、労働条件が悪くすぐに退職してしまってはキャリアに傷がついてしまいかねません。
未経験可の求人へ優先的に応募しつつ、労働条件的にどうしても厳しい場合は、応募するかどうか冷静に見極めましょう。
自分の経歴でもチャレンジできそうな求人を出している企業
人事経験者を求めている求人でも、自分がチャレンジできる・採用される可能性があると感じた求人には積極的に応募してみましょう。
たとえば「人事経験は3年以上。マネジメント経験があれば歓迎」といった求人がある場合、仮に人事未経験でも部下のマネジメント経験がある場合は、企業によっては採用される可能性があります。
もちろん採用される可能性は高くはありません。しかし前職の経験次第では、ポテンシャルや早期の戦力化を期待して採用される場合もあります。
人事に絞らず経理や総務などの求人を出している企業
ここまで紹介したとおり、未経験から人事に挑戦するのは大変です。そこで、人事に近い職種の求人にも目を向けてみるのもおすすめです。
たとえば経理や総務は、人事と似た、もしくはほとんど同じ仕事を任せられる場合があります。そこで経験を積み、社内で人事に異動できないか相談してみたり、再転職時に「給与計算業務の経験あり」など人事との共通点をアピールして応募したりするのも良いでしょう。
未経験からいきなり人事に転職するのは難しい、けれどできるだけ早期に転職したい。このように悩んでいる方には、少しだけ自分の軸をずらして転職活動を行うのもおすすめです。
キャリアアップで人事へ転職する際に狙いたい企業
既に人事として活躍しており、さらにキャリアアップ転職を狙いたい。このように考えている方は、下記のような求人への応募をおすすめします。
- ベンチャー企業
- 人手が足りていない中小企業
- 現在より高いポジションを得られる企業
ベンチャー企業
「より幅広い業務を、自分の裁量ですすめたい」「成長期の企業をバックオフィスから支えたい」と考えている人事の方には、ベンチャー企業への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
ベンチャー企業は人手が足りていない場合が多く、即戦力となる人材であれば採用される可能性が高いです。創業期はもちろん、上場に向けた準備を行った経験のある人事は市場価値も高くなります。
人手が足りていない中小企業
「ベンチャー企業はちょっと」という方には中小企業の人事職もおすすめです。中小企業の場合は「人事」ではなく「総務」として、人事から経理まで任せられる場合もあります。そのためベンチャー企業よりも安定感がありつつ、幅広い仕事を任せられてキャリアアップできる可能性があります。
また中小企業といっても、会社によっては大手よりも労働条件が良い場合もあるため、企業規模にこだわらず求人を探すことが重要です。
現在より高いポジションを得られる企業
前職よりも高い役職に就ける、高い給与を得られる求人を狙って応募するのもありです。高い役職に就けばマネジメント能力も求められるため、人事マネージャーとしてキャリアアップしたい人は狙っていきましょう。
ただし役職が高く年収も良い、ということは相応の成果も求められます。自分のスキルや実力に自信がない人は、ベンチャーや中小を転職先として狙ったり社内で人事異動を希望したりと、別の観点からキャリア形成を考えてみてはいかがでしょうか。
人事に向いている人の特徴
最後に、人事に向いている人はどのような人なのか、主な特徴をご紹介します。
- 人とのコミュニケーションが好き
- 課題を発見して解決するのが得意
- マルチタスクの処理がうまい
- 論理的思考が得意
人とのコミュニケーションが好き
人事はさまざまな部署の人を巻き込んで仕事を行うことが多いです。たとえば採用を行う場合、配属予定先の部署に「どのような人材を採用したいか」ヒアリングを行ったり、人事制度の改善について社内の全部署と認識をすり合わせたりするなど、人とのコミュニケーションが求められます。
そのため人とのコミュニケーションが好きな人でないと、人事として働くのは大変かもしれません。
課題を発見して解決するのが得意
社内の課題を発見し、人事制度や労務管理を通じて解決できないか考えることも人事の仕事です。そのため、主体的に課題を発見して解決できる人は人事に向いています。
たとえば中途採用を行う場合、「そもそもなぜ中途採用が必要なのか」「自社の離職率はどれくらいなのか」といった課題に気づき、「離職率を低減するために労務管理を徹底しよう」「社内の業務フローの改善を提案しよう」といった改善策を提案・実行できる人は、人事として重宝されやすいです。
マルチタスクの処理がうまい
人事の仕事は複数のプロジェクトを同時並行して行う場合が多いです。たとえば中途採用を行いながら社内の人事制度の改善を行う、といった感じです。そのためマルチタスクが得意な人でないと、人事としてうまく仕事をこなせない恐れがあります。
手持ちのタスクを整理し、期日までに間に合うよう作業を紹介していく、マルチタスク能力が人事には必要です。
論理的思考が得意
人事の仕事には論理的思考力が求められます。たとえば採用基準の設定や人材配置などを行う場合「なんとなく」ではうまくいきません。なぜその業務が必要なのか、目的を達成するには具体的にどのような行動を起こせば良いのか、理屈をもとに考える必要があります。
論理的思考力が弱いと「期待していた成果がでていない」といった結果になってしまい、会社から評価されにくいです。
人事への転職は難しいがチャンスはある
本記事では人事への転職が難しい理由や、うまく転職活動を成功させるためのコツなどを紹介しました。人事の中途採用は、他の職種と比較しても求人数が少ない傾向にあるため、転職活動が長期化してしまう恐れが高いです。本記事で紹介した内容を参考に転職活動をすすめつつ、長期戦になることを覚悟しましょう。
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