「インセンティブ制度の具体的な導入事例を知りたい」
「そもそもインセンティブ制度を導入するメリットやデメリットは何があるのか知りたい」
このようにお悩みの企業担当者の方もいるのではないでしょうか?
インセンティブ制度とは、社員がモチベーションを高めて仕事に取り組むことを促す報酬制度のことです。本記事ではインセンティブ制度の概要や実際の導入事例、導入するメリット・デメリット、導入の流れをご紹介します。
記事を読むことで、インセンティブ制度に対する理解が深まり、自社でより円滑に導入できるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
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インセンティブ制度とは?
そもそも「インセンティブ」とは、外部からの刺激を意味する言葉です。
ビジネスにおけるインセンティブ制度とは、社員のやる気やパフォーマンスを引き出すための報酬または特典のことを指します。たとえば営業ノルマを達成したらボーナスが一定の割合でアップするなどが、インセンティブ制度の例といえます。
インセンティブ制度が求められる背景
インセンティブ制度が求められる背景には「働き方改革の推進」や「長時間労働の規制」をきっかけとして、生産性を向上することの必要性が増したことが挙げられます。
長時間の残業が規制されたことにより、企業は限られた時間の中でより高いパフォーマンスを発揮することが求められます。また働き方改革が進んだことにより、時差出勤やフレックスタイム制、フルリモート勤務など、柔軟な働き方が以前よりも認められるようになりました。
しかし仕事量は減らないため、企業としては限られた時間の中で社員に高いパフォーマンスを発揮してもらわなければなりません。そのため、生産性向上の施策の一つとして「インセンティブ制度」が注目されているのです。
インセンティブ制度の種類
インセンティブ制度で設定する「インセンティブ」には、様々な種類があります。
- お金や物など、物質的なインセンティブを設定する
- 人事評価を上げるなど、評価的なインセンティブを設定する
- 社費での海外留学など、人的なインセンティブを設定する
- 株式や特別休暇の付与など、福利厚生的なインセンティブを設定する
- 希望部署への異動や社外セミナーの参加費用負担など、自己実現的なインセンティブを設定する
このように、インセンティブにはお金以外にも様々なものを設定できます。自社の現状やインセンティブ制度を導入する目的などから、適切なインセンティブを設定しましょう。
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歩合制との違い
インセンティブ制度と似た言葉に「歩合制」があります。
歩合制は一定の成果を達成した場合に一律で支給されるものです。たとえば営業で10件契約を取るごとに一律〇万円を支給する、といった例が挙げられます。一方でインセンティブ制度の場合は、目標を達成した場合に「売上の〇%」や「高い人事評価」など、報酬が一律になっていない点が違いといえます。
ただし、どちらも「高い成果を挙げた人に報酬を与える」という意味では共通しています。
ボーナスとの違い
インセンティブ制度と似たような概念に「ボーナス」が挙げられます。ただし、ボーナスは会社の業績によって連動するものであるのに対して、インセンティブは個人の業績によって変化するものです。
たとえばAさんの営業成績が良くなくても、会社全体の業績が良ければAさんのボーナスは増える可能性が高いです。一方、Aさんの営業成績が良くないと、インセンティブは支給されません。
インセンティブ制度の導入事例
ここからは、実際にインセンティブ制度を導入した企業の事例をご紹介します。
他社ではどのようなインセンティブ制度を導入しているのか確認して、自社で導入する際の参考になれば幸いです。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリではインセンティブ制度として「譲渡制限株式ユニット(通称RSU)」を導入しました。RSUとは、簡単に説明すると、株式をもらう権利を付与された後に一定期間働けば、社員が自社の株式をもらえる仕組みのことです。
メルカリは「グローバルテックカンパニー」を目指しており、世界標準である「株式を付与する」インセンティブ制度の導入が必要でした。以前からストックオプション制度を導入していましたが、「(RSUは)社員にとって経済的メリットが大きいインセンティブ制度だと思っている」とのことから導入されました。
RSUを導入することで、会社の成長や企業価値向上の成果を社員と分かち合うことを狙っています。
参考:日本初の挑戦を。メルカリが新インセンティブ制度に込めた想いとその舞台裏|メルカリ
株式会社カヤック
株式会社カヤックには「サイコロ給」と「スマイル給」というユニークなインセンティブ制度が存在します。
社員がランダムに別の社員の長所を評価し、それをスマイル給として支給しています。またサイコロ給は、毎月「月給×(サイコロの出目)%」をかけた金額が追加で支給される制度です。
このような制度を導入した背景として「(サイコロ給では)人が人を評価しない評価制度を盛り込むこと」、「(スマイル給では)お金よりも大切なものがある。ただしこの制度自体がお金にかかわるものである。という点でユニーク」という意図で導入されました。
フォアシア株式会社
「頑張った社員に対してフェアに利益を配分したい」という思いから導入されたのが、フォアシア株式会社が導入している「フォルシア3C制度」というインセンティブ制度です。
- Contribution:収益への貢献度
- Commitment:仕事への責任度
- Consistency:会社への安定的関与
上記3つのCにもとづいて、対象者全員に「総額〇〇〇〇万円のボーナスを、自分以外の対象者に配分する場合、それぞれいくらずつ配分するか」とシートに記載します。この結果をもとに、特別賞与を対象社員に支給しています。
OWNDAYS株式会社
人手不足エリアの人手不足解消を狙って、OWNDAYS株式会社は「社内出稼ぎ制度」を導入しました。応援が必要な店舗に勤務することで、最大15万円のインセンティブを付与する制度です。
物価高が続く昨今において、少しでも社員の収入アップに貢献できないかと考えた結果生まれたのが「社内出稼ぎ制度」です。1〜3ヵ月ほど対象エリアの店舗に勤務することで、一時的な賃上げを実現しました。
社内でも「繁忙期に人手が集まりやすくなって助かった」「転勤はできないが、一時的に自分が決めたタイミングで収入を増やせるのはありがたい」と、好意的な意見がでています。
参考:【OWNDAYS | オンデーズ 】人手不足エリアでの応援勤務で社員の月給が50%以上UP!物価高騰における一時的な救済措置に。|PR TIMRS
株式会社オープンハウス・アーキテクト
株式会社オープンハウス・アーキテクトでは、朝の7時もしくは8時に出勤した場合に1時間あたり600円を支給する「朝活インセンティブ制度」を導入しました。
建築業界では人手不足や長時間労働といった問題が残っており、働き方改革が遅れているという現状があります。そこで、柔軟な働き方を実現するための取り組みの一環として「朝活インセンティブ制度」が導入されました。
社員からは「朝の方が集中して仕事に取り組める」「満員電車を避けて出勤しやすくなった」と好意的な声が上がっています。
参考:社員の柔軟な働き方を支援。“時差出勤制度&朝活インセンティブ制度”を試験導入開始。|株式会社オープンハウス
インセンティブ制度を導入するメリット
インセンティブ制度を導入するメリットは下記のとおりです。
- 社員のエンゲージメント向上につながる
- 人事評価の不公平感が和らぐ
- 社員の成長を促せる
- 優秀で意欲のある社員からの応募を集めやすくなる
- 一貫性のある社員教育を行いやすくなる
社員のエンゲージメント向上につながる
インセンティブ制度を導入することで「目標を達成してインセンティブを獲得しよう」と考える社員が増え、仕事に積極的に取り組む社員の増加が見込めます。
「仕事を頑張れば報酬がもらえる」といった強い動機ができるため、仕事に前向きに取り組むようになり、社員のエンゲージメントの向上が期待できます。
関連記事:【実践ガイド】従業員エンゲージメント向上施策9選!事例や導入手順を解説
人事評価の不公平感が和らぐ
インセンティブ制度を導入することで、人事評価に対する不平不満を和らげる効果が期待できます。
なぜなら、インセンティブ制度は具体的な目標が設定されるため「自分は頑張って目標を達成しているのに、あの人ばかり高く評価されるのは不公平だ」といった、不明瞭な人事に対する不公平感が和らぐからです。
社員の成長を促せる
「より良い人事評価を得たい」
「もっと収入を上げたい」
インセンティブ制度を導入すれば、このような動機から、社員が目標を達成しようと仕事へ前向きに取り組むようになるはずです。その結果社員の成長につながります。
インセンティブ制度では「達成すべき目標」を具体的に設定するため、仕事において何を達成すれば良いのか具体的に意識しやすくなり、成長意欲が高まります。
優秀で意欲のある社員からの応募を集めやすくなる
採用活動において、優秀で意欲的な社員からの応募を集めやすくなるのも、インセンティブ制度を導入するメリットといえます。
「あの会社では、営業成績が良ければ年収1,000万円も夢ではないらしい」
「仕事ができる人なら、良い待遇で働ける」
このように、インセンティブ制度に魅力を感じた転職希望者から、応募されやすくなるはずです。
一貫性のある社員教育を行いやすくなる
インセンティブ制度を行うことで、社員教育の質向上にも役立ちます。
インセンティブが明確になれば、組織としてどのような目標を達成したいのか具体的に従業員へ伝えやすくなるからです。会社として目指している目標が明確になるため、指導を行う上司も具体的に一貫性のある社員教育を行いやすくなります。
インセンティブ制度を導入するデメリット
インセンティブ制度の導入にはメリットもある一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 短期的な利益を重視して長期的な視点を持ちにくくなる恐れがある
- 社内で過当競争が発生して足の引っ張り合いが発生しかねない
- プレッシャーが強くなり社員が強いストレスを感じる場合がある
- インセンティブを達成できない社員のモチベーションが低下しかねない
短期的な利益を重視して長期的な視点を持ちにくくなる恐れがある
強すぎるインセンティブは、時として人の判断力を低下させる場合があります。「目標を達成してインセンティブを獲得しよう」という意識が強くなるあまり、短期的な数字目標のみを追ってしまいやすくなりかねません。
たとえば、本来であれば別の新規事業にチャレンジしたり新たな課題に取り組んだりする必要があると仮定しましょう。しかし「インセンティブを得られればボーナスが〇〇万円増える。だから、目先の収入増加につながらないことは後回しでいいか」と考える社員が増えてしまい、本来やるべきことが後回しになってしまいます。
このように、インセンティブを得ることが目的になってしまい、長期的な視点を持って仕事に取り組む人が減ってしまう恐れがあります。
社内で過当競争が発生して足の引っ張り合いが発生しかねない
魅力的すぎるインセンティブは、社内で足の引っ張り合いの発生や、インセンティブ獲得に直結しない業務を渋ってしまうリスクが懸念されます。その結果、社内の雰囲気が悪くなってしまいかねません。
結果として、組織としての結束力が弱まってしまい、離職者が増加したり、かえって生産性が低下したりしてしまう恐れがあります。
プレッシャーが強くなり社員が強いストレスを感じる場合がある
「インセンティブを獲得しよう」と意気込むあまり、強いプレッシャーを感じて体調を崩してしまう人も発生するリスクがあります。
適度なプレッシャーは仕事のパフォーマンスを高めますが、過度なプレッシャーを感じてしまうと仕事への意欲低下や鬱症状の発生につながる恐れがあります。
インセンティブを達成できない社員のモチベーションが低下しかねない
「どうせあの人がいつも通り目標を達成してインセンティブを獲得するのだろう」
「自分ではどんなに頑張ってもインセンティブを獲得できない」
このように思ってしまう人がいると、インセンティブ制度が形骸化するだけでなく、一部の社員のモチベーションを低下させてしまう恐れもあります。
また特定の部署だけインセンティブ制度を導入するのも、社員のモチベーションを下げる要因となりかねません。たとえば営業部にのみインセンティブ制度を導入すると、経理や総務といったバックオフィス系の社員のモチベーションが低下するリスクが高まります。
インセンティブ制度を導入する流れ
これからインセンティブ制度の導入を検討している企業担当者の方に向けて、具体的な導入手順をご紹介します。
- インセンティブ制度の導入目的を明確に言語化する
- インセンティブ制度として盛り込む内容を決める
- どのように制度の運用を行うか決める
- 社員への周知を行い、定期的に観察・分析・改善を行う
インセンティブ制度の導入目的を明確に言語化する
まずは、インセンティブ制度を導入しようと思った動機や、目的を明確にすることが大切です。導入しようと思った目的が曖昧だと、導入後の評価検証や改善を実施しにくくなってしまいます。
たとえば「会社全体の売上アップ」がインセンティブ制度の導入目標であれば、営業部への目標設定が重要になります。一方で「利益率アップ」なら、バックオフィスも残業時間の削減などで貢献できるため、全部署への目標設定が必要です。
インセンティブ制度として盛り込む内容を決める
次に、インセンティブとして得られる特典・メリットを決めましょう。
社員にヒアリングを行って、どのようなニーズがあるのか洗い出すのが一般的です。あわせて不満点を把握することで、インセンティブ制度の導入リスクにも早期に気づけます。
たとえばインセンティブとして報奨金の支給を検討していても、社員から「休暇が欲しい」という要望が強ければ、インセンティブを見直すことが望ましいです。
また、特定の部署や役職の人に固まらないよう幅広く社員の意見を聞くよう心がけることも重要です。
どのように制度の運用を行うか決める
どのようにインセンティブ制度を運用していくか、事前に決めておきましょう。具体的には、下記の点をより明確にしておくと、効果的に運用しやすくなります。
- 担当者はどのように決めるか
- インセンティブ制度の運用にかかる時間をどう確保するか
- どのような手順でインセンティブを支給するか
- 社員からの改善点などの要望にどう対応するか など
できるだけマニュアルに落とし込み、担当者が変わっても一定以上のパフォーマンスを発揮できる運用体制を構築することが大切です。
社員への周知を行い、定期的に観察・分析・改善を行う
インセンティブ制度をより効果的に運用するなら、PDCAを回してインセンティブ制度をより良いものにすることが大切です。
いくら事前に精査したうえでインセンティブ制度を導入しても、いざ運用してみると実態とかみ合わなかったり運用が難しかったりする場合もあります。そもそもインセンティブ制度のことを社員があまり理解しておらず、制度が形骸化する恐れもあるでしょう。
そのため、インセンティブ制度の導入後は社員へ周知すること、定期的に社員の声や効果を確認して分析・改善することが大切です。
インセンティブ制度の導入を円滑に進めるならプロの知見を借りるのがおすすめ
インセンティブ制度を円滑に社内へ導入するなら、プロ人材の知見を借りることをおすすめします。
自社でインセンティブ制度を導入しようとしても、勝手がわからず円滑な導入ができなかったり、社員に周知されず制度が形骸化したり、実情と合っていないインセンティブの仕組みになってしまったりしかねません。
しかし外部のプロ人材の知見を借りることにより、円滑かつ効果的にインセンティブ制度を導入・運用しやすくなります。とはいえ「どこでプロ人材を探せば良いのだろう」と疑問を感じる方もいるでしょう。そこでおすすめなのが「coachee人事シェア」です。
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他社の事例を参考にインセンティブ制度をうまく導入しよう
本記事ではインセンティブ制度の導入事例を中心に、メリット・デメリットや導入の流れなどを解説しました。
インセンティブ制度をうまく活用すれば、社員のエンゲージメントが向上したり成長を促せたりできます。ただし行き過ぎたインセンティブは、社内で足の引っ張り合いを生んだり長期的な戦略を軽視したりしやすくなるため、注意が必要です。
うまくインセンティブ制度を導入するなら、外部のプロ人材に相談することをおすすめします。coachee人事シェアなら、人事や採用領域に精通したプロ人材を、必要に応じてスポットで相談できます。もちろん中長期的なお仕事の依頼も可能です。
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