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労務コンプライアンス15のチェックリスト!違反事例や作成の流れを解説

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coachee 広報チーム
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「労務コンプライアンスのチェックリストの重要項目を知りたい」

「法令違反にならないように、労務コンプライアンスを見直したい」

このように考えていませんか?労務コンプライアンスを見直したくても社内に知識がなく、取り組めていない方も多いでしょう。

結論、労務コンプライアンスに違反しないためには、チェックリストの作成と定期的な見直しが重要です。

本記事では、労務コンプライアンスチェックリストの15項目を詳しく解説します。チェックリストを作成する際の流れも説明するため、見直しの際の参考にしてください。

法令違反や離職防止を防ぐためにも、本記事で紹介する労務コンプライアンスのチェックリストを活用して働きやすい環境を整備しましょう。

労務コンプライアンスとは?

労務コンプライアンスとは、労働関係法令を遵守し、適切な労務管理を行うことです。労働基準法や労働組合法、育児介護休業法、高齢者雇用安定法といったさまざまな労働関連法規に基づいて、適切な労働条件を確保する必要があります。

東京商工会議所の企業行動規範や厚生労働省の職場のコンプライアンスチェックリストなどを参考にしながら、法令遵守の取り組みを進めましょう。

本項では、労務コンプライアンスを違反するリスクや企業の取り組み割合を解説するため、チェックリストを作成する際の参考にしてみてください。

違反するリスク

労務コンプライアンスに違反してしまうと、さまざまな法律違反につながるリスクがあります。例えば、労働基準法違反や最低賃金法違反、男女雇用機会均等法違反などです。

雇用される企業で労働関係の法令に違反する行為があった場合、従業員は労働基準監督署に通報する権利を持っています。労働基準監督署は労働法違反を取り締まる厚生労働省の出先機関であり、通報を受けると企業への立ち入り調査を実施します。

法令違反が認められた場合には是正勧告を出し、企業は期限までに改善措置を講じなければなりません。勧告に従わなかった場合、罰則の対象になるほか、書類送検されるケースもあります。このように、労務コンプライアンス違反は法令違反リスクによる企業のイメージダウンにもつながるため、企業にとって大きなリスクとなりうると認識しておきましょう。

企業の取り組み割合

自社のコンプライアンス遵守について取り組みを行っている企業の割合は、大企業で96.3%、中小企業では77.8%に上ります。また、取引先のコンプライアンス違反が判明した際に「取引の打ち切りや縮小を検討する」と回答した企業は32.4%にも達しています。

つまり、労務コンプライアンスは企業の売上にも関わる重要な要素です。取引先や顧客との良好な関係を作るためにもチェックリストを作成して遵守する必要があります。

*出典:「コンプライアンスに関するアンケート」調査|株式会社東京商工リサーチ

労務コンプライアンスのチェックリスト15の監査項目

本項では厚生労働省の職場のコンプライアンスチェックシートなどをもとに、以下の監査項目を解説します。

  • 就業規則の作成
  • 労働条件の通知・明示
  • 賃金の計算など
  • 労働時間管理
  • 健康診断
  • 年次有給休暇
  • 育児・介護休業
  • 私傷病休職
  • 退職
  • 職場環境
  • ハラスメント対策
  • 安全衛生管理
  • 懲戒・解雇
  • 法定帳簿
  • 社会保険・労働保険

コンプライアンス監査の15項目を押さえたうえで、適切に運用されているかを定期的にチェックしましょう。

1.就業規則の作成

労働基準法により、適切な就業規則を作成し、常時10人以上の従業員がいる事業所では労働基準監督署へ届け出ることが法律で義務付けられています。

就業規則には、正社員用、契約社員用、パート・アルバイト用など雇用形態別に作成し、すべてを従業員に周知しましょう。また、在宅勤務の制度を新設する際も、費用負担などのルールを就業規則に追加する必要があります。下記のチェック項目を参考に、適正な就業規則の運用状況を確認しましょう。

・就業規則を作成し労働基準監督署に届け出ていますか。
・就業規則は雇用形態別に作成し、従業員全員に通知されていますか?
・在宅勤務により従業員に業務に関わる費用負担が発生する場合、規定を改定していますか?

出典:モデル就業規則について|厚生労働省

2.労働条件の通知・明示

従業員を雇い入れる際、企業は労働条件を書面などで明示しなければなりません。労働条件とは労働契約期間や仕事内容、勤務場所、労働時間、賃金など、雇用にあたっての重要事項を指します。

有期雇用や短時間勤務の従業員にも、それぞれ法律で定められた労働条件を適切な方法で通知する必要があります。以下のポイントを確認し、労働条件の明示義務を果たしているか確認してください。

・従業員の雇い入れ時、労働条件が書面などの適切な方法で明示されていますか?
・有期雇用労働者には、更新の有無および更新基準が明示されていますか?

3.賃金の計算など

賃金の計算は、残業代や控除額の計算を行う必要があるため、複雑になりやすい傾向です。

特に割増賃金は、算定基礎となる諸手当の取り扱いにより大きく変動します。また、法律で認められていない賃金控除を行うには、労使協定の締結が不可欠です。賃金に関する以下の項目をチェックし、適正な処理がなされているかを確かめましょう。

・割増賃金の算定の基礎となる手当は正しく計算されていますか?
・所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料以外の項目を賃金から控除している場合、労使協定が締結されていますか?

4.労働時間管理

2019年の労働安全衛生法改正により、タイムカードやパソコンの使用時間記録など客観的な方法での労働時間把握が原則となりました。

中でも注意が必要なのが、強制的な残業抑制指示により発生するサービス残業です。上司から帰宅を促されても、従業員が自主的に仕事を続けるケースは少なくありません。以下の項目で、労働時間の適正管理に問題がないかをチェックします。

・労働時間は、タイムカードや適正な自己申告などに基づき適正に把握していますか?
・法律で規定されている労働時間を超える場合、36協定を締結して労働基準監督署へ届け出ていますか?

5.健康診断

企業は、労働安全衛生法に基づき、従業員に1年以内ごとに1回、定期健康診断を受診させる義務があります。有害な業務に従事する労働者には、6ヵ月に1回の特殊健康診断の実施も必要です。

定期健康診断の対象項目や有害業務の範囲は法令で定められており、会社の規模を問わず適用されます。下記のチェック項目で、健康診断の実施状況を確認しましょう。

・従業員の定期健康診断は年1回確実に実施されていますか?
・特定の有害業務従事者への特殊健康診断は6ヵ月ごとに行われていますか?

6.年次有給休暇

年次有給休暇は、原則として従業員が請求する時期に与えなければならないとされています。一方、請求された時期に休暇を与えることで事業の正常な運営が妨げられる場合は、ほかの時期に変更できます。

2019年の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、年5日の取得を企業に義務付ける内容が盛り込まれました。以下の点をチェックし、適切な年休管理を徹底しましょう。

・年5日の年次有給休暇の取得義務は適正に運用されていますか?
・計画的付与などの付与を行う場合、労使協定は締結されていますか?

7.育児・介護休業

育児休業・介護休業は、法律で定められた要件を満たす従業員であれば、原則取得可能です。

社内規程と法令との整合性、労使協定の内容も、定期的な点検が求められます。以下の項目に沿って、自社の制度運用をチェックしてみてください。

・育児・介護休業に関する規程が整備されて、全従業員に周知されていますか?
・育児・介護休業に関する労使協定が締結されている場合、法令や規程と内容の整合性が取れていますか?

8.私傷病休職

従業員の怪我や病気による休職は、就業規則で定めておくことが一般的です。特に休職期間の上限や期間中の処遇、復職の手続きなどは明確に規定する必要があります。

私傷病休職に関する規程がないと、休職期間満了時の対応や、休職期間中の社会保険料の会社負担など、さまざまな場面で問題が生じるおそれがあるため、以下のチェック項目を確認してください。

・私傷病休職の期間、期間中の取り扱いは規定されていますか。
・復職の基準と復職の手続きは定められていますか?

9.退職

従業員の退職時のトラブルを防ぐには、あらかじめ就業規則などに退職に関する詳細な規程を盛り込んでおく必要があります。自己都合退職の手続き、会社都合退職の場合の手当支給、定年退職後の再雇用ルールなどを明確にしましょう。

以下の項目を参考に、自社の退職に関する規程を今一度見直してみましょう。

・自己都合退職の手続きの方法は規定されていますか?
・私傷病休職の期間満了時に復職できない時の退職措置が規定されていますか?

10.職場環境

労働災害を防止し、従業員の安全と健康を保護することは企業の責務です。日頃から職場の安全点検を行い、危険箇所の改善に努める必要があります。

例えばオフィスでは、床面の凹凸や散らかった荷物、飲料などによる水濡れが、転倒事故の原因になる場合があります。工場や建設現場では、ヘルメットや安全靴の着用が欠かせません。

作業に応じた保護具の着用の徹底も重要なポイントです。以下のチェック項目で、自社の職場環境を点検してみましょう。

・腰痛予防のための教育を実施していますか?
・床面、階段および通路は、つまずきや滑りの原因となる配線、荷物、凹凸、水漏れなど、障害物のない状態になっていますか?

11.ハラスメント対策

近年、職場のハラスメント防止対策の強化が求められています。セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、マタニティハラスメントなどのハラスメントを無くすためには、チェックリストに記載しておくことが有効です。

まずはハラスメントを許さない方針を社内外に明示し、全従業員への周知徹底を図りましょう。チェック項目に沿って、自社のハラスメント対策の現状を点検してみてください。

・ハラスメントを許さない方針が周知され、社内の意識啓発に取り組んでいますか?
・ハラスメントの相談窓口が設けられ、全従業員に周知されていますか?

12.安全衛生管理

従業員の安全と健康を守るため、企業には安全衛生管理体制の整備が求められています。企業規模に応じた安全管理者や衛生管理者の選任、安全衛生委員会の設置などが法律で義務付けられています。

また、定期的な安全衛生教育の実施や職場巡視による危険箇所の把握と改善なども重要です。健康診断やストレスチェックなどを通じて、従業員の心身の健康状態を適切に管理する必要があります。

・健康診断は適正に実施されていますか?
・ストレスチェックは一定期間ごとに実施されていますか?

13.懲戒・解雇

企業は就業規則に懲戒の種類や解雇事由を明記し、従業員に周知する必要があります。法律で不当とされる解雇の内容はもちろん、解雇予告日数など細かな規定にも注意が必要です。

また、懲戒処分を行う際の手続きを事前に定め、客観的かつ公平な運用が重要です。例えば処分を下す前に、当該従業員に弁明の機会を与えるなどの配慮が求められます。以下のチェック項目を参考に、懲戒・解雇に関する社内ルールの整備状況を確かめてみてください。

・従業員を懲戒処分する場合、懲戒の事由と種類が規定されていますか?
・懲戒処分の手続きとして、処分前に弁明の機会を与えていますか?

14.法定帳簿

労働関連法令で作成が義務付けられている帳簿類は、労働者名簿や賃金台帳、出勤簿の3点です。いずれも一定期間の保存が必要とされています。

また、年次有給休暇の付与・取得状況を記録した年休管理簿の作成も重要です。36協定届や労使協定書など、行政官庁に提出した書類の控えは、特に厳重な管理が求められます。以下のチェック項目で、自社の法定帳簿の整備状況を確認してみましょう。

・労働者名簿と賃金台帳は、必要項目がすべて管理され、適正に保管されていますか?
・勤務表・タイムカードには、労働日ごとの始業・終業時刻が適正に記録されていますか?

15.社会保険・労働保険

従業員を雇用する際、企業は社会保険と労働保険に加入しなければなりません。

これらの保険は、従業員の病気や怪我、失業のリスクに備えるためのセーフティーネットとして機能します。ただし、パートタイマーなど労働時間が一定基準に満たない従業員は加入の必要がない場合もあるので注意が必要です。

・加入対象者全員が社会保険、雇用保険に加入していますか?

出典:職場のコンプライアンス・チェックシート|厚生労働省

労務コンプライアンスチェックリストの活用方法

企業が法令違反を起こさず適切な労務管理を行っていくためには、定期的な監査が重要です。年に一度は、最新の法改正も踏まえて、自社の労務管理が法令に沿ったものになっているかをチェックする必要があります。そのためにも、労務コンプライアンスチェックリストを活用しましょう。

自社の実情に合わせたオリジナルのチェックリストを作成し、監査を実施することで、労務リスクの発生を未然に防げます。チェックリストには、労働基準法や労働安全衛生法などの関連法令の遵守状況や、36協定の締結・届出状況、労働時間の管理状況などの項目を盛り込むとよいでしょう。

また、労務コンプライアンスチェックリストを用いて継続的に監査することにより、過去の経験データの蓄積が可能になります。蓄積したデータからは、自社の労務管理の課題や対策すべき点が見えてくるはずです。

もしチェックリストから浮かび上がってきた課題への対処方法がわからない場合は、労務管理の専門家に相談するのも一つの手です。社労士などの専門家は、法令に関する深い知識を持っているため、適切にアドバイスしてくれるでしょう。

労務コンプライアンスに違反しないためにできる4つのこと

本項では、労務コンプライアンス違反を防げる4つの方法を解説します。

  • コンプライアンスマニュアルを作成する
  • 従業員のコンプライアンスの理解度をチェックする
  • 判断が難しい時は労務監査を依頼する
  • 問題発見時の対応方法を決める

違反しないために、4つの方法を押さえておきましょう。

1.コンプライアンスマニュアルを作成する

労務コンプライアンスを確実に実践するには、コンプライアンスマニュアルの作成が欠かせません。マニュアルには、以下の要素を網羅的にまとめます。

  • 企業の行動規範の基本的な考え方
  • 自社の業務内容
  • 組織体制
  • 業務遂行手順に応じた具体的な行動
  • 報告・対応など

コンプライアンスマニュアルの整備により、企業存続の危機につながりかねないルール違反を未然に防ぎ、万が一違反が発生した場合にも迅速に対処できるようになります。マニュアル作成の際は、経団連が公開している「企業行動憲章実行の手引き」などを参考にするとよいでしょう。

*出典:企業行動憲章 実行の手引き|一般社団法人日本経済団体連合会

2.従業員のコンプライアンスの理解度をチェックする

従業員のコンプライアンスに対する理解度を定期的にチェックしましょう。具体的には、コンプライアンス意識調査の実施などです。

半年や1年に1回など継続的なチェックで、従業員の意識や理解度の変化を把握し、必要に応じて教育や指導を行います。また、過去の調査結果と比較したデータや、時代の流れを調査内容に反映させると、社会のニーズにあった効果的な設問設計が可能です。

3.判断が難しい時は労務監査を依頼する

労務コンプライアンスの判断に迷った場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に労務監査を依頼するのが賢明です。定期的な監査を通じて、自社だけでは見落としがちな潜在的な問題を早期に発見し、対策を立てられます。

監査の結果を踏まえ、優先順位をつけたチェックリストを作成すれば、効率的かつ計画的な改善が可能になります。専門家の知見の活用により、自社の労務コンプライアンスをより強固なものにしていけるでしょう。

4.問題発見時の対応方法を決める

労務コンプライアンス違反の疑いが生じた際には、迅速な事実確認と原因究明が重要です。そのためには、専門部署や担当者を設置し、スピーディーな対応ができる体制を整えておく必要があります。

加えて、問題発生時の報告ルートと対応フローの明確化と、弁護士など専門家への相談体制の整備により、適切な法的対応を取れます。重大な違反は企業の存続をも左右しかねないため、日頃から問題発見時の対応方法を周知徹底していきましょう。

労務コンプライアンスの違反事例2選

本項では、労務コンプライアンス違反の事例を2つ紹介します。

  • 長時間労働
  • ハラスメント

具体的な違反事例を押さえて同じ失敗をしないようにしましょう。

1.長時間労働

保険営業業務に従事していた労働者が、長期にわたる過重労働は違法だと訴えた裁判事例があります。この会社では、月3050時間もの時間外労働が恒常的に行われていました。

幸いにも、労働者に具体的な疾患の発症には至りませんでした。しかし、裁判所は会社の安全配慮義務違反を認め、慰謝料10万円の支払いを命じる判決を下しました。

2.ハラスメント

ある会社で、上司が営業成績の芳しくない部下に対し、ほかの社員の前で「マネージャーが務まると思っているのか」などと発言したうえ、一方的に担当班を分離するという事案がありました。

その結果、部下はストレス性のうつ病を発症しました。裁判所は会社に対し、330万円もの賠償を命じています。

長時間労働やハラスメントは、働く意欲を奪います。職場の人間関係を悪化させ、最悪の場合は離職にもつながるため、労務コンプライアンスチェックリストを作成して、予防策を取る必要があります。

労務コンプライアンスのチェックリストを作成する5つの流れ

労務コンプライアンスのチェックリストを作成する際は、以下の5つの流れで行います。

  • 労務リスクを洗い出す
  • 管理体制を構築する・見直す
  • 社内ルールを作成・就業規則を見直す
  • 社内研修を実施する
  • 相談窓口を設置する

以下の項で詳しく解説します。

1.労務リスクを洗い出す

労務コンプライアンスのチェックリストを作成する際は、自社の労務管理における潜在的なリスクを特定しましょう。現状の労務管理体制を入念に分析し、労働時間管理や賃金支払い、安全衛生管理など、各分野の法令違反の可能性を徹底的に洗い出しましょう。

この際、従業員に対してヒアリングを実施し、法令違反や法律違反が起きていないかどうかの確認が重要です。加えて、社会保険労務士などの専門家と連携し、客観的な視点からリスク評価することで、見落としを防げるでしょう。

2.管理体制を構築する・見直す

リスクの洗い出しが完了したら、次は特定されたリスクに基づき、適切な管理体制を構築する段階に入ります。労務管理の責任者を明確にし、各部門との連携体制の整備が求められます。

また、既存の管理体制がある場合は、効果を評価し、必要に応じた見直しをしてください。リスクに応じた適切な管理体制の構築・見直しにより、法令遵守の徹底を目指せるでしょう。

3.社内ルールを作成・就業規則を見直す

適切な管理体制の構築と並行して、法令に準拠した社内ルールの整備と就業規則の見直しも欠かせません。最新の法改正に対応し、明確で実行可能なルールを設定するとともに、従業員が理解しやすい形で文書化する必要があります。

さらに、具体的な事例を用いた説明を加えると、従業員の理解度を高められるでしょう。社内ルールと就業規則の整備・見直しにより、労務コンプライアンスの基盤を強化できます。

4.社内研修を実施する

労務コンプライアンスの意識を社内に浸透させるために、全従業員を対象とした研修を実施しましょう。法令の基本的な内容から、具体的な違反事例や適切な対応方法まで、実践的な内容を盛り込んだ研修を行う必要があります。

研修を通じて従業員一人ひとりが労務コンプライアンスの重要性を理解し、日々の業務の中で実践できるようになることが目標です。定期的な社内研修の実施により、コンプライアンス意識の向上と法令遵守の徹底を目指せるでしょう。

5.相談窓口を設置する

最後に、従業員が安心して相談できる窓口の設置も労務コンプライアンスのチェックリストを作成する際に欠かせません。内部通報者の立場を守りながら、問題の早期発見が可能になります。

公益通報を行った従業員に対して雇止めや解雇など不利益な処分を行わないことが規定されていることを理解しておきましょう。

参考:事業者の方へ|消費者庁

労務コンプライアンスに関する最新の法改正

本項では、最新の主な法改正について以下の3つを解説していきます。

  • 社会保険の適用拡大
  • フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行
  • 労働条件明示ルールが変更

労務コンプライアンスに違反しないために、最新の主な法改正を確認しておきましょう。

1.社会保険の適用拡大

社会保険の適用範囲が段階的に広がっています。2016年10月以降、従業員数101人以上500人以下の企業では、一定の要件を満たすパートタイム労働者やアルバイトも、社会保険への加入が義務化されました。

2024年10月からは、対象が従業員数51人以上100人以下の企業にまで拡大される予定です。

2.フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行

2024年11月に「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されました。この法律は、個人事業主として働くフリーランスの保護を目的としたもので、フリーランスに業務委託を行う発注事業者にさまざまな義務が課されます。

具体的には、契約条件の事前明示や報酬の支払い期限(原則60日以内)の遵守、ハラスメント防止のための体制整備などが求められます。フリーランスと取引のある企業は、法律の内容を理解し、適切な対応を取りましょう。

3.労働条件明示ルールが変更

労働条件の明示に関するルールが改定され、より詳細な情報提供が必要となりました。労働契約の締結時だけでなく、有期労働契約の更新の際にも「将来の配置転換などによって変更される可能性のある就業場所・業務内容」を明示しなければなりません。

また、有期契約労働者には、契約更新の上限や、無期転換申込権が発生するタイミングでの無期転換後の労働条件なども、あらかじめ伝える必要があります。労働条件通知書のひな形が改定されているため、最新版を使用するようにしましょう。

参考:労働条件通知書|厚生労働省

労務コンプライアンスのチェックリストの作成・見直しをして適切な労務管理をしよう

労務コンプライアンスのチェックリストには、労働条件の明示や労働時間の管理、解雇規程などのさまざまな要素をもれなく記載することが重要です。

法令違反やトラブル防止、企業の評判向上のためにも、労働関連法令を遵守し、従業員に安心して働いてもらえる職場づくりを目指しましょう。

もし自社の労務管理体制に不安があったり、改善するべき点がわからなかったりする場合は、専門家に相談するのもおすすめです。

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記事を書いた人
hidechika-takahashi
coachee 広報チーム

coachee 広報チーム

国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

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