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定性評価とは?定量評価との違いや数値化できない頑張りを評価する7つの項目

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coachee 広報チーム
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「数値化できない社員の頑張りをどう評価すればいいかわからない」
「定性評価の基準が曖昧で、部下から不公平だと思われないか不安」

社員の評価において、このような悩みを抱えていませんか? 

数値に表れない貢献を適切に評価する定性評価は、人材育成や組織の信頼関係構築に必要です。しかし、基準の設定や運用が難しく、形骸化しやすい側面もあります。

そこで本記事では、以下の内容を解説します。

  • 定性評価の概要
  • 定量評価との違い
  • 導入のメリット・デメリットについて
  • 評価コメントの例文集

本記事を読んで、公正な定性評価の仕組みを理解し、社員の意欲を高める評価制度を整えましょう。

もし、自社だけで納得感のある制度を作るのが難しいと感じるなら「coachee人事シェア」がおすすめです。

経験豊富な人事のプロが、貴社の課題に合わせた定性評価の基準の策定から運用定着までをトータルでサポートします。初期費用0円で利用可能ですので、まずは資料をご覧ください。

定性評価とは、数値化できないものを評価すること

定性評価とは、数値では直接測定できない部分を対象とした評価手法のことです。具体的には、業務に取り組む姿勢や意欲、チームへの良い影響、努力の過程などが該当します。

「頑張り」といった曖昧な言葉で片付けるのではなく、具体的な行動に基づいて判断することが特徴です。数字だけでは見えにくい個人の強みや貢献度を可視化し、処遇や育成に反映させるために用いられます。

参考:内閣官房「人事評価ガイド

定性評価と定量評価の違いと使い分け 

定性評価と定量評価は、以下のように評価の対象や目的が異なります。

項目定量評価定性評価
対象売上、契約件数、ミス発生率意欲、姿勢、プロセス、チーム貢献など
客観性高い(誰が見ても結果は同じ)低くなりやすい(評価者の主観が入りやすい)
メリット短期的な業績向上に直結しやすい長期的な人材育成や組織風土の醸成に適している
デメリットプロセス軽視やモチベーション低下のリスク評価基準が曖昧になりがちで不公平感が出やすい

定量評価は客観性が高く納得感を得やすい反面、結果に至るまでの過程が見過ごされる可能性があります。一方で、定性評価は数字に表れない努力を評価できますが、基準が曖昧になりがちです。

そのため、どちらか一方に偏るのではなく、両者をバランスよく組み合わせるのがよいでしょう。

定性評価のメリット

ここでは、定性評価のメリットを紹介します。

メリット具体的な内容
組織文化を醸成できるチームワークや人材育成など、長期的な成長に必要な行動が推奨される文化が育つ
公平性が担保できる事務職や新入社員など、直接的な成果を出しにくい層に対しても公平感のある評価が可能になる
信頼関係を構築しやすい評価を通じた対話(フィードバック)が増え、上司と部下の相互理解と信頼関係が深まる
意欲が向上する数字に表れない努力が認められることで、社員の納得感とモチベーションが向上する

特に重要な点は、成果が見えにくい業務への公平な評価です。バックオフィス部門や経験の浅い若手社員は、売上などの数字で貢献を示すことが困難です。

しかし、定性評価によって日々の業務への姿勢や周囲へのサポートを評価項目に組み込むと「自分の仕事は見てもらえている」という安心感が生まれます。

これにより、社員は「さらに周囲を助けよう」という貢献意欲を高めたり、失敗を恐れずに新しい課題へ自発的に挑戦したりといった、行動変容が期待できるでしょう。

評価結果を社員の意欲向上に直結させる仕組みとして、インセンティブ制度の導入も有効です。具体的なメリットや活用事例については、以下の詳細をご覧ください。

インセンティブ制度とは?導入事例やメリット・デメリットなどを紹介

定性評価のデメリット

定性評価はメリットが多い一方で、運用設計や基準が不十分な場合、組織に悪影響を及ぼすリスクもあります。

デメリット懸念点
不信感の発生基準が曖昧だと、上司の「好き嫌い」で決まったと受け取られやすい
評価者の負担一人ひとりの行動を観察・記録する手間がかかり、管理職の時間的・心理的負担が増大する
不公平感評価者によって基準にバラつきが出やすく、部署間で評価の格差が生じるリスクがある
業績意識の低下成果がなくても「頑張り」だけで評価されると、組織全体の業績への意識が低下する恐れがある

定性評価の課題は、客観性の欠如による納得感の低さです。基準が不明確なまま運用すると、社員は評価結果を正当なものとして受け入れられません。

実際、自己評価と他者評価には大きな隔たりが生じがちです。パーソルキャリア株式会社の研究機関である「Job総研」の調査(2025年10月発表)によると、社会人の63.8%が人事評価の結果と自己評価に「ギャップがあった」と回答しました。さらに、評価結果に「納得していない」人の割合は40.9%に上ります。

不満の主な原因は「他者との比較」にあります。同調査では、評価に不満を持つ人の87.5%が「自分より仕事をしていない人と同じ評価である」という意見に共感しています。

曖昧な定性評価は「なぜあの人と同じ評価なのか」という不公平感を助長する可能性があるため、明確な基準作りが不可欠です。

出典:PR TIMES Job総研(パーソルキャリア)「人事評価の結果に関するリアル

定性評価で重視される項目・評価基準

定性評価では、以下の7つの項目がよく用いられます。

これらを自社の業務内容に合わせて調整し、具体的な行動指標に落とし込むことが大切です。

評価項目具体的なチェック内容
1. スピード・指示された業務への着手・完了は早いか
・報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を後回しにしていないか
・顧客や社内からの問い合わせに迅速に対応しているか
2. 創意工夫・指示待ちにならず、自ら業務フローの無駄や課題に気づいているか
・現状をより良くする改善案を出し、実行に移しているか
・マニュアル作成やツール導入など、効率化の工夫を行っているか
3. 知識・知性・自社の製品・サービスや業界に関する知識を習得しているか
・業務に必要な専門スキルや資格の取得に励んでいるか
・得た知識を実務に活かし、成果や品質向上につなげているか
4. 規律性・遅刻や欠勤がなく、勤怠ルールを遵守しているか
・挨拶や身だしなみ、言葉遣いなど、社会人としてのマナーは適切か
・書類の提出期限を守り、デスク周りやデータの整理整頓ができているか
5. 責任感・任された業務を、困難な状況でも最後までやり遂げているか
・ミスやトラブルが発生した際、他責にせず誠実に対応しているか
・自身の役割を理解し、設定した目標の達成に向けて努力しているか
6. 積極性・苦手な業務や未経験のタスクにも、前向きな姿勢で取り組んでいるか
・会議やミーティングで自ら発言し、議論に参加しているか
・新しいプロジェクトや役割に自ら手を挙げているか
7. 協調性・チームメンバーと良好な関係を築き、協力して業務を進めているか
・困っている同僚がいればフォローし、ノウハウを共有しているか
・他部署や社外の関係者とも円滑に連携できているか

評価項目ごとに、どの程度の行動ができていればどの評価となるのか、基準を明確にします。以下のような5段階や3段階で定義します。

  • S評価: 必達レベルを達成し、かつ努力レベルも大きく上回る成果を出した(模範となるレベル)
  • A評価: 必達レベルを達成し、努力レベルも達成した(期待以上の働き)
  • B評価: 必達レベルは到達したが、努力レベルには届かなかった(標準的な働き)
  • C評価: 必達レベルに一部未達がある(指導が必要なレベル)
  • D評価: 必達レベル未達であり、改善が見られない(業務に支障があるレベル)

【職種別】そのまま使える定性評価の書き方と例文集

定性評価のコメントを書く際は、抽象的な言葉だけでなく、具体的な行動事実を盛り込むことで説得力が増します。

ここでは、職種別の例文を紹介します。

営業職の評価コメント例 

営業職は数字が重視されがちですが、売上を上げるための行動過程やチームへの貢献を言語化することがポイントです。

【積極性・プロセス】

「売上目標は未達だったが、既存顧客への定期訪問を徹底した」 

【協調性・チーム貢献】

「自身の目標達成だけでなく、若手メンバーの商談に積極的に同行した」 

【創意工夫】

「従来の飛び込み営業に加え、業界別の提案リストを新規に作成した」 

単に「頑張った」とするのではなく、具体的な行動(訪問数、資料作成数など)を添えることで説得力が増します。

事務・管理部門の評価コメント例 

数値成果が見えにくいバックオフィス業務では「スピード」「効率化」「正確さ」などの観点での行動を記述します。

【創意工夫・改善】

「経費精算フローの見直しを提案・実行し、月末の処理時間削減に貢献した」 

【スピード・ホスピタリティ】

「突発的な依頼にも柔軟に対応し、他部署からの問い合わせに対して常に迅速かつ丁寧な回答を行った」

【規律性・責任感】

「ミスがないことを当たり前とせず、ミスを防ぐために二重チェックの仕組みを新たに構築し、業務品質を安定させた」

周囲からの感謝の声や、スムーズな業務遂行による組織への安定供給を言語化して伝えます。

技術・専門職の評価コメント例 

ナレッジの共有や品質担保への姿勢を評価に盛り込みましょう。

【知識・知性】

「新技術の学習会を主催し、チーム全体の技術レベル底上げと開発工数の短縮に寄与した」

【協調性・品質】

「コードレビューにおいて建設的な指摘を徹底し、バグの発生率低下とプロダクトの品質向上に貢献した」

【責任感】

「困難な納期トラブルの際も他責にせず、代替案を即座に提示してプロジェクトを遅延なく完遂した」

定性評価の客観性を担保し納得感を高める方法

定性評価は主観的になりがちですが、本項で紹介する工夫次第で客観性を高めることができます。

1.目標達成手法(OKR)を活用する

評価の納得感を高める目標設定として、「OKR」の考え方を取り入れることが有効です。OKRとは、企業の目標と従業員の目標を結びつける手法です。

達成したい「目標(Objectives)」と、達成度を測る定量的な「成果指標(Key Results)」を定義します。

例えば「チームの連携強化(O)」という定性目標に対し、以下の指標(KR)を紐付けます。

  • マニュアルを3本作成する 
  • 勉強会を月1回実施する 

指標を明確に定めれば「連携を頑張った」という主観的な判断ではなく、達成状況という客観的な事実に基づいた評価が可能です。達成すべきゴールが明確になるため、上司と部下における評価結果の乖離も防げるでしょう。

2.日報や週報をエビデンスにする

評価時期になってから半年前などの部下の行動を正確に思い出すことは難しいでしょう。

したがって、記憶に頼らない仕組みを構築することが求められます。具体的には、日報や週報、チャットの履歴などを評価のエビデンスとして活用しましょう。

気になった行動(良い点・悪い点)があれば、その都度メモを残し、期末に集計します。

「何もしていない」ように見える場合でも、ログを見返すと「トラブルを未然に防いでいた」などの隠れた貢献が見つかる場合があります。

【AI活用による客観的な分析も有効】

蓄積された日報や週報のデータを、生成AIを用いて分析する方法も効果的です。

大量のテキストデータを人間がすべて読み返すには限界がありますが、AIを活用すれば膨大なログから特定の傾向や隠れた貢献を見つけ出せます。

定性評価制度を組み込む6つの手順 

ここでは、定性評価制度を新たに導入、あるいは再構築するための手順を解説します。

 1.現状の課題を特定し、導入目的を明確化する

まず、導入目的を定義し、経営層と現場で共通認識を持ちます。「頑張りを認めたい」といった感情論のみでは、解決するゴールや施策が見えず、制度が形骸化するためです。

離職率の増加や評価への不満など、現状の組織課題を整理した上で、解決手段として定性評価を位置づけましょう。企業のビジョンに基づく行動指針を軸に目的を設定すれば、運用の軸がブレにくくなります。

2.評価項目を策定する

自社で評価すべき行動特性(コンピテンシー)を洗い出し、項目として設定します。職種や階層(一般社員、管理職)によって求められる役割は異なるため、それぞれに適した項目を用意しましょう。

ただし、項目数が多すぎると運用が回らなくなるため、特に重要な3〜5項目程度に絞り込むことを推奨します。

関連記事:コンピテンシーとは?意味・メリットや評価方法、面接での活用ポイントを解説

3.評価基準を定義する

策定した項目に対し、レベルごとの具体的な行動基準を定義します。「責任感がある」といった抽象的な言葉ではなく「指示通りに完遂できる(レベル3)」「未然に課題を発見し解決できる(レベル5)」など、段階的な基準を設けます。

必達レベル(絶対評価)と努力レベル(加点評価)を分け、最低限クリアすべきラインを明確にしておきましょう。

4.評価者研修を実施する

評価者である管理職ごとに基準のバラつきが出ないよう、トレーニングを行います。

心理バイアスについて学び、客観的な視点を養いましょう。

  • ハロー効果(ある一点の特徴に引きずられて全体を評価してしまう)
  • 第一印象効果
  • 先入観など

5.定性評価を実施する

準備が整ったら、実際の評価期間に合わせて定性評価を実施します。日々の観察記録やエビデンスに基づき、定義した基準に沿って評価を行います。

6.フィードバックする

結果を通知するだけでなく、評価の根拠を伝える対話の場を設計します。評価の良し悪しを問わず、課題を特定し、今後の成長に向けた具体的なアクションプランを上司と部下で合意することが大切です。

面談内容は記録として残し、次回の振り返りや継続的な育成に活用できる体制を整えてください。

定性評価を導入した企業の事例と成功のポイント|株式会社メルカリ

定性評価を効果的に運用している企業の事例として、株式会社メルカリの取り組みを紹介します。

メルカリでは、人事評価を「成果評価(業績)」と「行動評価(バリュー)」の2軸で決定しています。特に昇給・昇格では「バリューをどれだけ体現できたか(行動評価)」の比重が高く設定されているのが特徴です。

評価の基準となるのは、以下の4つのバリューです。

  • 「Go Bold(大胆にやろう)」
  • 「All for One(すべては成功のために)」
  • 「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」
  • 「Move Fast(はやく動く)」

たとえ短期的な数字が出ていても、これらを体現していない行動は評価されない仕組みにすることで、企業カルチャーの維持・浸透を実現しています。

【運用成功のポイント】

成功のポイントは「成果」と「行動」を明確に分離している点です。数字としての成果(定量)と、そこに至る過程(定性)を分けて評価しています。特にプロセス評価を昇格要件にすることで、中長期的な人材育成を促しています。

また「mertip(メルチップ)」というピアボーナス制度を導入し、社員同士がバリューを体現した行動を日常的に称賛し合う文化を作りました。これにより、定性的な貢献が可視化され、納得感のある評価につながっています。

参考:日本の人事部「メルカリの新・人事評価制度とは

参考:メルカリ「Mercari careers

定性評価の体制構築ならcoachee人事シェア

定性評価とは、数値化できない業務プロセスや意欲、協調性などを評価する手法です。

定量評価では見えにくい社員の努力を可視化でき、人材育成やモチベーション向上に役立ちます。

効果を最大化するには「スピード」や「責任感」といった項目ごとに具体的な行動基準を設けることが重要です。

また、日々の記録をエビデンスとして残し、事実に基づいたフィードバックを行うことで、納得感のある評価につながります。

とはいえ、自社だけで客観的な評価基準を策定し、公平な運用体制を整えるのは容易ではありません。

評価制度の構築や運用に課題を感じる場合は「coachee人事シェア」の活用がおすすめです。

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coachee 広報チーム

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国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

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