「リファレンスチェックって何?実施するべきなの?」
「採用候補者の経歴を確認したいが、どう進めればいいかわからない」
採用活動において、このような疑問や不安を抱えていませんか?
リファレンスチェックは、候補者の前職での勤務状況や人柄を第三者から確認する採用手法です。
本記事では、リファレンスチェックの定義から実施目的、法的な注意点、進め方まで詳しく解説します。
質問例や実施のポイントも紹介するため、採用ミスマッチを防ぎたい人事担当者や経営者の方に役立つ内容です。
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リファレンスチェックとは

リファレンスチェックとは、候補者の前職における勤務実態やスキル、人柄などについて、第三者の視点から確認する採用プロセスです。
主に前職の上司や同僚といった推薦者に対して、電話やメールなどを通じてヒアリングを行います。書類や面接では見えにくい実績や働きぶりを把握できるため、採用の最終判断材料として注目されています。
候補者本人が記載する履歴書や職務経歴書は、どうしても自己申告に依存する要素が強くなります。面接だけでは確認しきれない点も多いため、第三者の証言を得ることで、より客観的な評価が可能となるのがリファレンスチェックの特徴です。
リファレンスチェックとバックグラウンドチェックとの違い
リファレンスチェックと混同されやすい概念に「バックグラウンドチェック」がありますが、目的と方法に明確な違いがあります。
リファレンスチェックは、候補者の業務遂行能力や人柄を確認するため、本人が指定した推薦者から直接ヒアリングを行います。評価の中心は「人物面」にあります。
一方、バックグラウンドチェックは、学歴詐称や犯罪歴、反社チェック、経歴の整合性といった「事実確認」が主な目的です。第三者機関が公的データベースや各種記録をもとに調査を行うことが多い傾向です。
リファレンスチェックの実施率
エンワールド・ジャパンによると、外資系企業では58%、日系企業では23%がリファレンスチェックを実施していることが明らかになりました。
さらに、同調査によると、リファレンスチェックを実施した企業のうち約7割が「採用判断に影響した」と回答しています。つまり、ただの形式的なプロセスではなく、実際に内定可否を左右する重要な判断材料として機能していることがわかります。
出典:PRTIMES エンワールド・ジャパン「中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査」
リファレンスチェックは違法?

リファレンスチェック自体は違法ではありません。
ただし、実施の方法次第では、個人情報保護法や職業安定法といった法令に抵触する可能性があります。
以下では、採用担当者がリファレンスチェック時に遵守すべきポイントを、法律的な根拠を交えて解説します。
| 遵守すべきポイント | 違法とならないための条件 | 法的観点 |
| 候補者の同意を得る | 必ず事前に候補者本人から書面や記録で同意を取得する。対象者や目的を明確に伝える。 | 候補者の同意を得ずにリファレンスチェックを行った場合、個人情報保護法に抵触する可能性 |
| 個人情報の取り扱いに注意する | 利用目的を明示し、同意の範囲内で収集・利用する。採用活動終了後は不要な情報を適切に削除または匿名化する。 | リファレンスチェックで得られた情報は、個人情報保護法上「個人データ」に該当する |
| 内定取り消しには注意する | リファレンスチェックの結果のみを理由に内定を取り消すことは避ける。合理性と社会通念上の相当性を備えた判断が求められる。 | 労働契約法第16条の解雇権濫用法理が適用される可能性 |
| SNS経由などからヒアリングは行わない | 候補者の同意を得ずにSNS上のつながりなどから非公式に情報を収集する行為は、違法となる可能性がある。 | 個人情報保護法上の第三者提供規制に抵触する可能性がある |
リファレンスチェックは、法令を守ったうえで適切に運用すれば、採用のミスマッチを防げて、長期的な人材定着にもつながる有効な手法です。
リファレンスチェックを実施する3つの目的|求められる背景も解説

ここでは、リファレンスチェックの3つの目的を紹介します。
1.職歴や経歴の詐称を防ぐ
リファレンスチェックは候補者の職歴・経歴における虚偽を発見するために有効な手段です。
応募書類や面接での発言は自己申告に依存するため、実態とのズレが起こる可能性があるからです。調査では、実に 71%の企業が「面接評価と異なる採否判断につながった」と回答し、60 %の企業で職務経歴や実績の虚偽が発覚しています。
このように、職歴や経歴の詐称を防ぐために、書類や面接で提示された内容が実務上どの程度裏付けられているかを確認する必要があるのです。
出典:エン・ジャパン株式会社「リファレンスチェックに関する実態調査(定点調査)」
2.候補者の人柄やスキルを客観的に把握でき、採用ミスマッチを防げる
リファレンスチェックを導入すると、書類や面接だけでは把握しづらい候補者のスキル・人柄・職場での振る舞いを客観的に評価できます。
特に中途採用では「即戦力」や「社風とのフィット感」が重視されるため、面接だけでは適性を十分判断できないという課題があります。
このため、推薦者に以下のような内容をヒアリングし、自社環境との相性を慎重に見極めます。
- どのような環境で活躍していたか
- どのようなコミュニケーションスタイルか
- 前職での課題は何だったか
採用ミスマッチを防ぐための情報は以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:中途採用で即戦力を採用するには?見極めるコツやよくある失敗例を紹介
3.入社後の配置や育成に活かす
リファレンスチェックのもう一つの目的は、採用後における配置・育成設計に活かせる情報を取得することです。
前職で候補者がどのような環境・役割で働いてきたかを把握できれば、入社後に適切な配置や育成プランを設計しやすくなります。
リファレンスチェックの注意点2選

リファレンスチェックは採用の判断精度を高める手法ですが、導入にあたっては注意すべき点も存在します。
| 注意点 | 内容 |
| 候補者や推薦者に負担をかける可能性がある | ・リファレンスチェックの依頼により、候補者が前職関係者に連絡を取る必要が生じる ・推薦者も対応に時間を割く必要があるため、心理的・物理的な負担がかかる場合がある。 |
| 得られた情報に偏りが生じる場合がある | ・推薦者が候補者に好意的な人物である場合、実態よりも高評価の情報が提供されやすい |
負担をかけないためには、候補者や推薦者への依頼は事前に丁寧な説明を行い、ヒアリング内容をあらかじめ共有することが効果的です。
また、情報の偏りを防ぐには「複数の推薦者から話を聞く」「ヒアリング項目を事前に統一する」といった方法が有効です。
リファレンスチェックの実施タイミング

リファレンスチェックは、選考のどの段階で実施するかによって効果や負担が変わります。以下に、代表的な2つのタイミングを比較して解説します。
| タイミング | 解説 |
| 最終面接前(一次選考後〜最終面接前) | 面接での判断を補強する目的で行うことで、人物面や経歴に関する裏付けを得たうえで最終選考に臨める。 |
| 最終面接後〜内定通知前 | 採用候補者を絞ったあとに実施することで、対象者が限定され、手間やコストを抑えながら活用できる。 |
上記を参考にしたうえで、実施タイミングを決めましょう。
リファレンスチェックの進め方【7Stepで解説】

ここでは、リファレンスチェックの進め方を解説します。
1.実施方法を決める
まず採用プロセスのどこでリファレンスチェックを行うかを決定します
実施方法としては、以下の選択肢があります。
- 候補者の推薦者に電話で依頼する
- メールで依頼する
- リファレンスチェック専門サービスを利用する
- 調査会社(第三者機関)に依頼する
例えば、専門サービスを活用すれば、ヒアリング項目の設計や推薦者との調整業務なども代行されるため、担当者の工数削減とチェック品質の向上が同時に期待できます。
2.候補者から実施の承諾を取る
候補者に対して、リファレンスチェックを行うこととその目的を説明し、実施への承諾を取得しましょう。
3.推薦者を選定してもらう
次に、推薦者を選定してもらいます。候補者から前職の上司や同僚など推薦者候補を挙げてもらう場合が一般的ですが、企業側が探すケースもあります。
その際に、情報の偏りを防ぐために、複数の候補者を紹介してもらうことも大切です。
4.推薦者と面談の日時を決める
推薦者の都合を確認し、電話・オンライン・メールなど、実施手段と日時を調整します。
5.質問項目を準備する
どのような質問をするかをあらかじめ設計します。例えば、職務遂行能力・人柄・勤務態度などを中心項目とし、業種や役職によって調整します。
質問例については、後述する「リファレンスチェックの質問例」でも解説しています。
6.推薦者にヒアリングを行う
候補者との関係性を聞いたうえで、準備した質問に基づいて、推薦者から候補者についてヒアリングを行います。
電話・書面ともにそれぞれメリット・デメリットがあるため、自社に適した方法を選びましょう。
7.回答内容を選考に反映する
面接での印象と推薦者からの評価に乖離がある場合は、理由を深掘りし、慎重に判断する必要があります。
例えば、面接では高評価だったものの、リファレンスで「協調性に欠ける傾向がある」との指摘が複数出た場合は、配属先のチーム構成やマネジメント方針との相性を再検討するきっかけになるでしょう。
リファレンスチェックの質問例

ここでは、リファレンスチェックの質問例をご紹介します
基本情報・勤務状況について
候補者が前職においてどれくらい在籍していたか、職務内容やポジションに誤りがないか、勤怠や異動履歴など、基本的な勤務実態を確認します。
面接や履歴書では把握しにくい「実際の勤務環境」「責任範囲」を推薦者から補完することが目的です。
【質問例】
| ・候補者は前職において、○○部署に何年間所属していたかご記憶ですか? ・候補者の前職での役職・関与していた業務内容に誤りはありませんか? ・候補者の勤怠(遅刻・早退・欠勤)に目立った傾向はございましたか? |
職務能力について
ここでは、候補者が実際にどの程度のスキル・実績を持っていたか、仕事を遂行するうえでの能力や責任を果たせていたかを確認します。履歴書の実績や面接の発言を、第三者の視点から裏付ける役割があります。
【質問例】
| ・候補者が前職で掲げていた成果(数値やプロジェクト)は、実際どの程度達成されていたとお考えですか? ・候補者は前職で課題解決や改善提案など、自律的に動いた経験がありますか? ・候補者の専門スキル(例:○○分野)は、日常業務で問題なく発揮されていたと感じましたか? |
人柄や勤務態度について
この観点では、候補者の職場での行動・対人関係・チーム適応などの側面を確認します。企業との相性を探るうえで重要です。
【質問例】
| ・候補者は前職で他のメンバーと円滑にコミュニケーションを取れていましたか? ・候補者を一言で表すとしたら、どのような人物でしょうか? ・候補者と再び一緒に働きたいと思いますか?その理由をお聞かせください。 |
トラブルについて
候補者が過去に業務上どのようなトラブルや課題を抱えていたかを確認することで、採用後のリスクを把握します。特に、前職での退職理由や、チーム内での問題がなかったかを確認するようにしましょう。
【質問例】
| ・候補者が前職で重大なミスやクレーム対応を経験されたことはありますか?その際の対応状況を教えてください。 ・候補者が職場で摩擦や調整の難しい状況に直面したことはありますか?その場合、どのように振る舞われましたか? ・候補者の退職(転職)理由について、可能な範囲でご説明いただけますか? |
総合評価について
最後に、推薦者から見て候補者を総合的にどう評価するか、入社後の貢献可能性や職務への適合性なども含めた意見を聞きます。これにより、他の情報(面接・書類・リファレンス)を統合して最終判断に活かします。
【質問例】
| ・総合的に評価すると、候補者はどのような人材でしたか? ・同じポジションがあれば、再び一緒に働きたいと感じますか? ・他社に推薦するとすれば、どのような理由を添えますか? |
リファレンスチェックに関するよくある質問

ここでは、現場でよくある質問に対して、回答します。
リファレンスチェックを担当する人物は?
一般的には人事担当者がリファレンスチェックを実施します。
一方で、候補者の業務適性や現場での働き方をより正確に把握するために、配属予定部署のマネージャーや現場責任者が同席するケースもあります。
候補者に聞いてはいけない質問は?
個人情報保護や差別に関わる以下のような内容はNGです。
- 宗教・思想・支持政党など
- 病歴・健康状態に関する質問
- 家族構成・結婚の有無・妊娠予定など
こうした質問は個人の尊厳やプライバシーを侵害するおそれがあり、雇用機会均等法や厚生労働省の指針に反する可能性があるため、避けるべきです。
リファレンスチェックを断られた場合は?
断られた場合には、理由を丁寧にヒアリングし、前職との関係性が原因であれば他の上司や同僚を推薦してもらうことも検討しましょう。
どうしても困難な場合は、面接を複数回に増やす、適性検査を併用するなど、他の手段を実施しましょう。
リファレンスチェックは自社でやるべき?依頼するべき?
リファレンスチェックを自社で行う場合は、コストを抑えられるうえ、自社の採用方針に合わせて柔軟に質問内容を設計できます。ただし、実施には手間や時間がかかるため、人事担当者の負担が大きくなる点に注意が必要です。
一方で、外部の専門サービスや調査会社に依頼すれば、ヒアリングの実施や取りまとめを代行してくれるため、効率化が図れます。
その他にも、自社に推進する人材がいないのであれば、coachee Agent Proなどの人材紹介サービスを活用して、採用領域に強みのある人材を活用するのもおすすめです。
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リファレンスチェックとは、候補者の前職での実績や働きぶりを、上司や同僚など第三者から確認する取り組みです。
経歴詐称の防止だけでなく、面接では見えにくい人柄や協働姿勢を客観的に把握できる点が大きなメリットです。
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