「副業人材の採用を支援してくれる制度はある?」
「自社の予算が足りず、副業人材を採用できない」
副業人材を採用するための支援制度や補助金を探していても、詳しい内容がわからず、何を選べば良いか判断がつかない方もいるでしょう。
令和5年度までは、副業人材受け入れ支援として「副業・兼業支援補助金」が展開されていましたが、事業が終了しました。しかし、REVICareer(レビキャリ)を通じて申請できる「地域企業経営人材確保支援事業給付金」で副業人材確保の際に給付金を受給できます。
本記事では、副業人材の受け入れに役立つ「地域企業経営人材確保支援事業給付金」について詳しく解説します。
地域企業経営人材確保支援事業給付金の種類や給付金額、要件などを解説するため、申し込む際の参考になるでしょう。また、必要な手続きの流れを一つひとつ詳しく解説するため、申し込む際に役立ててください。
副業支援制度の一つである「地域企業経営人材確保支援事業給付金」を活用して、コストを抑えながら優秀な人材の確保につなげてください。
副業・兼業人材の活用が増加!政府や自治体の副業受け入れ支援も充実
昨今、副業や兼業で働く人材の活用ニーズが高まっています。政府も働き方改革の一環として、副業・兼業を推進する動きを見せています。
2018年1月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定しました。ガイドラインでは、社員の副業・兼業を認めるよう企業に求めています。背景にあるのが、柔軟な働き方を望む労働者の増加です。
副業解禁の流れを受けて、専門的な知見や豊富な経験を持つ副業・兼業人材の活用が広がりを見せました。メインの仕事と両立しながらスキルを発揮できる環境が、働き手から歓迎されているのです。
企業側にも副業人材活用のメリットがあります。通常の採用プロセスを経ずに即戦力を得られるほか、自社には無いナレッジの獲得にもつながります。さらに、副業人材受け入れに伴う給付金・補助金制度も用意されています。
令和5年まで経済産業省は「兼業・副業人材活用推進補助金」を通じて、副業人材の受け入れを支援してきました。現在は終了しましたが、厚生労働省による「地域企業経営人材確保支援事業給付金」が同様の役割を果たしています。
次項から「地域企業経営人材確保支援事業給付金」の内容を詳しく解説します。
副業人材の受け入れ支援も行う「地域企業経営人材確保支援事業給付金」とは?
地域企業経営人材確保支援事業給付金とは、地方の中堅・中小企業が大企業の優秀な人材を獲得するために活用できる支援制度です。「REVICareer(レビキャリ)」というマッチングプラットフォームを通じて人材を採用した場合、最大500万円の給付金が交付されます。
給付金は、採用者への待遇改善や人事制度の充実、福利厚生の拡充など、人材確保に関連する幅広い用途に活用できます。優秀な人材を呼び込むための魅力的な条件作りに役立てられるでしょう。
特徴
地域企業経営人材確保支援事業給付金では、地域企業経営人材マッチング促進事業にもとづき、地域金融機関が大企業人材と地域の中堅・中小企業とのマッチングを仲介します。地域金融機関には、子会社や提携する人材派遣会社も対象です。
普段から取引先企業の人材ニーズを把握している地域金融機関は、REVICareer上に求人情報を登録し、マッチングを促進します。加えて、各企業の具体的なニーズをもとに、REVICareerの登録者にスカウトを送ったり、大企業に求人情報を直接伝えたりするなど、能動的なアプローチも行います。
こうした地域金融機関の積極的な関与により、地域企業と大企業人材とのマッチング精度が高まり、双方のニーズに合った採用が実現しやすくなるのです。副業・兼業人材の活用を検討する地域企業にとって、役立つ制度と言えるでしょう。
目的
地域企業経営人材確保支援事業給付金の目的は、大企業から地方の中堅・中小企業への人材流動を促進し、地域企業の経営人材不足の解消を後押しすることです。それにより、経営革新や生産性向上を通じた地域経済の活性化を目指しています。
これまでは、大企業人材と中小企業との賃金水準の違いが大きな障壁となっていました。賃金ギャップを埋め、地域企業が大企業人材を獲得しやすくするための資金的支援として、給付金制度が創設されています。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金の種類・給付金額
地域企業経営人材確保支援事業給付金は、以下のように種類により給付金額が異なります。
転籍型 | 兼業・副業型(雇用契約等型、請負契約等型) | 在籍出向型 | |
給付金額 | 雇用期間等又は2年間のいずれか短い期間に支払われる給与等の100分の30(上限500万円) | 雇用期間等又は2年間のいずれか短い期間に支払われる給与等の100分の30(上限200万円) | 出向期間又は2年間のいずれか短い期間に支払われる地域企業負担分の100分の30(上限200万円) |
大企業等との雇用関係等 | 大企業を退職していること | 雇用契約等型:給付対象企業以外の企業と雇用契約等を継続していること請負契約等型:要件なし | 大企業と雇用契約等を継続していること |
年収要件 | 年収500万円以上 | 要件なし | 要件なし |
契約期間 | 1年以上 | 3か月以上 | 3か月以上 |
上記のように、大企業との現在の雇用関係や年収、契約期間などによって、転籍型・兼業・副業型・在籍出向型にわかれます。
給付金額の例を挙げると、兼業・副業型を利用した場合、契約期間2年間で250万円を支払った際には、75万円が給付されることになります。
副業支援の制度を探している方は、兼業・副業型の要件に当てはまるかどうかや、2年間の間にどのくらいの報酬を支払うのかなどを確認しておきましょう。給付金額にも関わるため、あらかじめ把握しておくことが重要です。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金の企業要件
地域企業経営人材確保支援事業給付金の対象になる企業は、以下のとおりです。
1.日本国内で本店の法人登記を行っている法人2.以下の1、2の両方を満たしている法人(資本金のない法人の場合、2.を満たしている法人) 1.資本金が10億円未満であること 2.常時使用する従業員数が2,000人以下であること |
上記のように、企業の規模や従業員数などによって、対象となるかどうかが異なるため、注意が必要です。基本的には、中小・ベンチャー企業が対象になる補助金だと言えます。
ただし、一定の理由に該当する場合は、対象外になります。
例えば、大企業が発行済株式の過半数を保有する法人、国や地方自治体が出資する法人は、給付金の対象外です。
加えて、REVICareerに登録している副業人材が現在または過去に所属していた大企業の親会社と子会社、関連会社も、支援の対象から除外されます。
そのほか、グループ企業間で転籍するなど、給付の目的や趣旨に照らして適切でないと機構が判断した企業も、支援対象から外れる可能性があります。
地域企業経営人材確保支援事業給付金の活用を検討する際は、自社がこれらの要件を満たしているかどうかを入念に確認しておきましょう。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金の申請期間
地域企業経営人材確保支援事業給付金の申請受付期間は、令和7年2月14日までです。活用を検討している企業は、期限までに必要な手続きを済ませる必要があります。
申請には一定の準備が必要なため。募集要項の確認や必要書類の収集など、手続きの流れを確認しておきましょう。
手続きの手順は、後述する「【8Step】地域企業経営人材確保支援事業給付金に必要な手続き・導入ステップ」で詳しく解説します。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金に必要な書類
地域企業経営人材確保支援事業給付金の申請には、書類の提出が求められます。すべての申請者に共通して必要なのは、以下の書類です。主に給付対象企業の情報を示す書類が必要です。
・給付申請書 ・法人登記簿謄本(登記事項証明書) ・直近の確定申告書の写し ・暴力団排除に関する誓約書 給付対象企業が給付金の申請を行うこと及び給付金の申請に係る個人情報を提供することについて、雇用者等、受託者等又は出向者が同意した旨の本人署名の同意書 ・規程第3条第6項各号及び雇用者等、受託者等又は出向者が給付対象企業の事業主若しくは取締役の3親等以内の親族に該当しないことを誓約する書類 ・特定金融機関による機構への人材確認書の提出に同意することを誓約する書類(2024年4月1日から) |
「給付申請書」は、REVICareerのサイトよりダウンロードできます。
また、2024年4月1日以降の申請では「特定金融機関が地域経済活性化支援機構(REVIC)に人材確認書を提出することに同意する誓約書」も提出が必要なため注意してください。
さらに、種類によっても提出する書類は異なります。兼業・副業型で求められる書類は以下のとおりです。主に、雇用者の情報を示す書類が必要です。
・雇用契約書等の写し ・雇用者等が雇用期間等を開始した日において、給付対象企業以外の企業と雇用契約等を締結している者であることを確認できる書類(給付対象企業以外の当該企業又は公的機関が発行したものに限る) ・給付金以外に給与等を給付対象とした補助金等又は間接補助金等の交付を受けていないことを誓約する書類 ・雇用者等の雇用が確認できる書類 ・特定金融機関と給付対象企業との間で雇用者等への給与等の支払状況に係る報告を行うことについて同意した契約書の写し |
このように、雇用者との雇用を示す書類やそのほかの補助金を受けていないことを証明する書類が求められます。
地域企業経営人材確保支援事業給付金の種類に関係なく必要な書類と、兼業・副業型などで求められる書類があるため、漏れがないようにしましょう。
申請手続きに関する内容は「地域企業経営人材確保支援事業給付金 申請手続き等の手引き」で確認できるので、チェックしてください。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金を活用するメリット2選
地域企業経営人材確保支援事業給付金は、副業人材を採用したい企業にとって役立つ制度です。具体的には、下記のメリットがあります。
- 大企業人材を採用しやすい
- コストを抑えながら人材不足を解消できる
本項では、地域企業経営人材確保支援事業給付金の主なメリットを2つ紹介します。
1.大企業人材を採用しやすい
地域企業経営人材確保支援事業給付金を利用することで、賃金の課題を解決できるため、大企業人材を採用しやすくなります。
一般的に、中小企業が大企業で経験を積んだ優秀な人材を獲得する際、賃金のギャップがあり採用が困難になる場合があります。しかし、給付金を採用者への処遇改善などに充てることで、解決できるでしょう。
つまり、地域企業は自社の賃金水準を大きく上げることなく、納得のいく給与条件を提示して人材を呼び込めるようになるのです。これにより、これまで難しかった大企業人材の採用のハードルが一気に下がるでしょう。
2.コストを抑えながら人材不足を解消できる
コストを抑えて副業・兼業人材を採用できる点も地域企業経営人材確保支援事業給付金を活用するメリットです。
副業・兼業人材の活用に前向きな企業は年々増えていますが、受け入れには人件費などのさまざまなコストがかかります。
地域企業経営人材確保支援事業給付金は、このような副業人材の受け入れに伴う費用の一部を補助してくれます。自社の負担を抑えながら、即戦力となる人材を確保できるのです。
優秀な人材の獲得と、コスト削減を同時に実現できるのが、地域企業経営人材確保支援事業給付金の魅力だと言えるでしょう。
【副業支援】地域企業経営人材確保支援事業給付金を利用する際の注意点
地域企業経営人材確保支援事業給付金を利用する際には、以下の注意点があります。
- 同様の補助金を受けている場合には受給できない
- 最大給付対象人数は10人まで
- 給付金の種類が変わると条件が変更される
給付金の活用を検討する際は、これらの点に十分留意しておく必要があるでしょう。
1.同様の補助金を受けている場合には受給できない
地域企業経営人材確保支援事業給付金は、給与等を対象とした他の補助金や間接補助金との併用ができません。同じ人件費について、他の補助制度からの支援を受けている場合は、この給付金の対象外となるのです。
仮に、他の補助金の受給が後から判明した場合、給付金で支払われた額の全額を返還しなければなりません。二重の補助を受けることのないよう、事前の確認を徹底しておきましょう。
2.最大給付対象人数は10人まで
地域企業経営人材確保支援事業給付金の対象となる副業人材の数には上限があります。転籍型、兼業・副業型、在籍出向型を合わせて、1社あたり最大10人までが給付対象です。
加えて、以下のように、同一の大企業からの受け入れ人数にも制限があります。
- 転籍型:2人まで
- 兼業・副業型:2人まで
- 在籍出向型:2人まで
1社の大企業から多数の副業人材を受け入れられないため、注意してください。
3.給付金の種類が変わると条件が変更される
副業人材の受け入れ形態が変わると、給付金の種類も変更になります。例えば、兼業・副業型で受け入れていた人材を、途中で転籍型に切り替えた場合、改めて転籍型の給付金を申請できます。
ただし、すでに受給した兼業・副業型の給付金の額が、転籍型の給付額から差し引かれます。したがって、人材の受け入れ形態を変更する際は、給付金の条件変更にも注意が必要です。
【7Step】地域企業経営人材確保支援事業給付金に必要な手続き・導入ステップ
地域企業経営人材確保支援事業給付金の活用したい企業は、以下の手順に沿って申請を進めましょう。
- 人材を募集する
- 内定・入社が決まる
- 給付申請書を作成・申請する
- REVICareerから審査を受ける
- 給付金の給付可否が決定する
- 給付金が振り込まれる
- 実績報告書を提出する
本項では、手続きの流れを8つのステップに分けて解説します。
1.人材を募集する
まずは、REVICareerに登録している金融機関に、自社の求人ニーズを相談します。求人票のREVICareerへの掲載や、登録人材へのスカウトメッセージの送信など、人材募集に関する具体的な対応を金融機関に依頼してください。
金融機関は日頃から取引先企業の事情に精通しているため、自社に合った人材を的確に見つけ出してくれるはずです。募集要項の作成など、採用活動全般について金融機関の支援を受けられるでしょう。
2.内定・入社が決まる
REVICareerを通じて応募があった人材の中から、給付金の要件を満たす雇用条件で内定者を選考します。
給付金の申請には、以下の条件を満たす必要があります。
- REVICの定める手続きを踏んでいること
- そして雇用条件が給付要件に合致していること
内定の段階で、これらの点を入念に確認しておきましょう。
採用が決まったら、REVICareerのサイト上で成約報告を行います。
3.給付申請書を作成・申請する
次に、REVICのウェブサイトから給付申請書をダウンロードします。そして、雇用形態に応じて必要な添付書類をそろえます。
転籍型、兼業・副業型、在籍出向型では、提出すべき書類が異なるので注意してください。また、2024年4月以降の申請では、特定金融機関が作成する「人材確認書」も必須です。
書類を準備できたら、給付申請書と一緒にREVICに提出します。申請書類の作成は慎重に行い、漏れがないように提出前にWチェックしましょう。
4.REVICareerから審査を受ける
申請書類の提出が完了すると、次はREVICareerによる審査の段階に入ります。
審査では、申請書の記載内容や添付書類の確認が行われます。
結果の通知まで、一定の時間を要するため、時間的な余裕をもって申請しましょう。
5.給付金の給付可否が決定する
審査が完了したら、REVICによる審査が終了すると、申請企業に対して給付金の給付・不給付が通知されます。
6.給付金が振り込まれる
給付金の支給が決定すると、申請企業の指定口座に給付金が振り込まれます。
先述したように、給付金額は、雇用者1名につき、雇用期間もしくは2年間の間に、支払われる給与の合計額の30%です。
副業人材に支払う報酬などを事前に確認して、振り込まれた金額が合っているかどうかを確認しておきましょう。
7.実績報告書を提出する
給付金の交付から1年後、申請企業は「実績報告書」を提出しなければなりません。これは、給与の支払いの事実を報告するものです。
申請企業がREVICareerに登録している金融機関(特定金融機関)に、給与等支払額が記載された賃金台帳又は給与明細書の写しを提出してください。
地域企業経営人材確保支援事 業給付金申請手続き等の手引き|地域経済活性化支援機構
副業人材の受け入れ支援も行う「地域企業経営人材確保支援事業給付金」を活用して優秀な人材を獲得しよう
地域企業経営人材確保支援事業給付金は、地方の中堅・中小企業が大企業の優秀な人材を獲得するための支援制度です。活用することで、企業は人材獲得にかかるコストを抑えつつ、経験豊富な人材を確保できます。
最大500万円の給付金を受給できるため、コストを抑えながら、優秀な人材を獲得しましょう。
coachee人事シェアでは、REVICareer(レビキャリ)を通じて利用できる地域企業経営人材確保支援事業給付金を活用した採用サポートも行います。給付金を得るためには必要な手続きが多いため、サポートを受けて、スムーズに進めましょう。
それだけでなく、採用戦略設計やWebやSNSを活用した効果的な採用など、採用に関するさまざまな業務に対応できます。「優秀な人材をすぐにでも採用したい」という方に向いているでしょう。副業人材を採用したい方にもおすすめです。
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