「人とテクノロジーで、個と組織の「関係性」をリデザインする」をミッションに採用支援事業を展開するcoachee株式会社が開催するcoachee HRラボ。
HRラボのこれまでの開催実績は十数回を超え、延べ500人以上が参加し、参加者満足度は97%以上を誇り、常に質の高い情報提供と交流の場として評価されています。
今回は、企業の人材採用における新たな潮流として注目されている「リファラル採用」をトピックに、
リファラル採用に成功した企業の事例をもとに、どのようにしてリファラル採用を定着させ、成果を上げるかをテーマに、株式会社ログラスの大沼さんと株式会社UPSIDERの冨士本さんをお迎えし、リファラル採用の仕組みづくりと成功事例についてご登壇いただきました。
大沼 拓人氏
株式会社ログラス/HRマネージャー
大学を卒業後、株式会社マイナビで中途採用支援に従事。
その後、freee株式会社にてSaaS商材のセールスを経験したのち、中途リクルーターとしてIPO前後の組織成長を推進。 その後、Vertical SaaSスタートアップのイタンジ株式会社の人事責任者として、採用や組織開発、人事企画等を担当し、2023年に株式会社ログラスに入社。現在はHRマネージャーとして、ビジネスサイドを中心に採用全体を統括。
冨士本 康平氏
株式会社UPSIDER/HR部門、人事責任者
1990年生まれ。2012年に株式会社マクロミルに新卒入社し、コンサルタントとして3年間従事。2015年にHR系スタートアップに入社し、全社MVPなど複数回の表彰を受け、2017年に執行役員に就任。事業統括責任者として売上数十億円まで全社を牽引した後、人事統括責任者に異動し、採用と組織づくりに従事。2022年4月、株式会社UPSIDERにHRマネージャーとして参画し、人事制度の構築や20名から100名超への採用をリード。2023年5月から人事責任者を務める。
高橋 秀誓
coachee株式会社 代表取締役/情報管理責任者
国家資格キャリアコンサルタント/プロティアン認定ファシリテーター/人的資本開示国際規格ISO30414リードコンサルタント 明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て、総合人材サービス会社に勤務。求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。 エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。相談実績は3500人以上。
道前果歩
コミュニティマネージャー
当イベントのプレスリリースはこちら:「株式会社ログラス×株式会社UPSIDERが語るリファラル採用」coacheeHRラボ勉強会シリーズ第1弾を開催 | coachee HRラボ
リファラル採用を積極的に活用する株式会社ログラス
株式会社ログラス(以下、ログラス)は、設立から約5年を経たスタートアップ企業です。設立当初は3名だった従業員数は、現在では約164名にまで急成長を遂げています。
ログラスは、経営管理領域に特化したSaaS型製品「Loglass 経営管理」を提供しており、DX化を推進する企業です。主力商品である「Loglass 経営管理」を皮切りに、Loglass 販売計画やLoglass IT投資管理、Loglass 人員計画といった関連する4つの商品も展開し、マルチプロダクト戦略を中心に事業を拡大しています。
また、ログラスは「良い景気を作ろう。」というミッションを掲げ、日本企業の発展が日本経済の発展につながるような取り組みを行っています。将来への投資にも積極的であり、リファラル採用を活用して優れた人材の確保にも力を入れている企業です。
急成長中のログラスは、どのようなリファラル採用の取り組みを行っているのでしょうか。その詳細について、さらに掘り下げていきます。
ログラスにおけるリファラル採用を成功に導くための4つの戦略について紹介いただきました。
①リファラル採用をカルチャー化させる
ログラスでは、リファラル採用を単なる採用手法ではなく会社の「カルチャー」として位置づけ、全社で取り組むべきものとしています。
「採用狂気」というスローガンのもと、リファラル採用は経営陣や人事部門だけの責任ではなく、全社員が関わるべきものという共通認識が醸成されています。つまり、リファラル採用はすべての社員の「主務」の1つとして位置づけられているのです。
さらに、リファラル採用の推進を加速させるために、経営陣自らが率先して取り組んでいます。経営陣は単に方針を掲げるだけでなく、誰よりもリファラル採用にコミットし、実際に推進にも関わっています。
これにより、全社員へその意識が伝播し、組織全体でリファラル採用が積極的に進められているのです。
このような取り組みがあるからこそ、ログラスではリファラル採用そのものが会社のカルチャーとして根付いています。
②企業カルチャーに合ったインセンティブの設計
ログラスでは、企業カルチャーに合ったインセンティブ設計が重要であると考えています。全社員がどの部分にモチベーションを感じ、会社に帰属しているのかを明確に定義した上で、それぞれのモチベーションに合わせたインセンティブを設計することが大切としているからです。
ログラスは「コミットメント型」という組織を志向しています。この組織では、社員が会社の文化を好み、文化の醸成に貢献したいという意欲を持っている社員が多くいるのが特徴です。
そのため、ログラスでは採用においても一定のカルチャーづくりに貢献したいと考える社員が多いのが特徴です。リファラル採用に貢献した社員には、特別な表彰制度やインセンティブが用意されています。
この「貢献したい」という意欲と「実際に貢献した」という実績がうまくマッチしたインセンティブこそ、「最も効果的なインセンティブ」とされているのです。
ログラスでは、企業カルチャーと社員がどこにモチベーションを感じるかを理解し、その部分にインセンティブを適切にマッチさせることが、リファラル採用の鍵と位置付けています。
③巻き込まれる側から巻き込む側へ。リファラル推進プロジェクトを推進
ログラスでは、各部門ごとに代表者を選出し、リファラル採用プロジェクトを立ち上げています。このプロジェクトは人事部の傘下で運営され、リファラル採用の推進を目的としています。
プロジェクトメンバーは、リファラル採用に「巻き込まれる側」から「巻き込む側」へと役割が変わり、事業部の社員を巻き込んでいくことが狙いです。
リファラル採用はその性質上、依頼者(経営陣)と協力者(社員)という意識の差が生まれやすく、部門や社員ごとにモチベーションに違いが出やすいという課題があります。
しかし、このようなプロジェクトを立ち上げることで、経営陣とメンバー全員が一丸となり、リファラル採用をより効果的に推進できるというメリットがあります。
④決めたアクションはやり抜く
ログラスでは、「決めたアクションはとにかくやり抜く」ことが大切としています。
1つアクションをしただけでは、もちろん成果にはつながりません。どのようなアクションでも「泥臭くやると決めたことは徹底的にやり抜く」という姿勢を大事にしています。
ログラスにおける「決めたアクションはとにかくやり抜く」というマインドは、リファラル採用のみならず事業を展開する上でも強みとしている部分です。
社員を巻き込むために必要な施策や工夫とは?
リファラル採用を成功させるためには、経営陣やマネージャーが率先して取り組む姿勢が非常に重要です。リーダー層が積極的に実績を上げることで、その重要性が他の社員にも伝わります。
特に、リファラル採用に消極的なマネージャーには、「これだけの採用実績を出せば、プロモーションにつながる」といった具体的な目標や昇進の機会を提示し、評価することが効果的です。
また、全社的に採用活動を行う文化の醸成も成功の鍵です。経営がうまくいっている会社では、経営陣も採用に積極的に関わり、全社員を巻き込んで取り組んでいます。
一方で、そうでない会社では採用活動を一部の担当者に任せきりにする傾向があります。
さらに、リーダーシップの委任も有効な手法です。現場のマネージャーや幹部候補がリーダーシップを発揮すると、社員を巻き込みやすくなります。
人事部門はサポート役に徹し、現場の業務負担を軽減しながら社員を巻き込む工夫が求められます。
社員を巻き込み、全社でリファラル採用を推進するためには、経営陣やマネージャーが率先垂範し積極的に取り組む姿勢が不可欠です。
即実践できるリファラル採用の施策例
- 招待制リファラルイベントを定期開催
- リファラル会食制度
- メモリーパレスの実施
- リファラルに協力したメンバーを賞賛する文化の創造
パネルディスカッション
株式会社ログラス大沼さん、株式会社UPSIDER冨士本さん、両者にご登壇いただき、coachee 高橋と共にリファラル採用のテーマに対してディスカッション形式で対談しました。
リファラル採用の成功には、経営陣などのリーダー層が積極的に取り組み社員を巻き込むこと
-社員を巻き込むためにどのような施策や工夫をしてきましたか。
冨士本さん:リファラル採用を成功させるためには、経営陣やマネージャーが率先して取り組む率先垂範の姿勢が非常に重要です。リーダー層が積極的に実績を上げることで、その重要性が他の社員にも伝わります。
またあわせて、評価基準としてハッキリと明文化し、プロモーションの条件に設定することが重要だと考えています。
そのなかで人事部門はサポート役に徹し、現場の業務負担を軽減しながら、現場のマネージャーや幹部候補にリファラル採用の旗振りを担ってもらうと会社全体を巻き込みやすくなると思います。
アドベントカレンダーを活用し、一人ひとりの活動状況を発信
-社員に対しての情報発信はいかがでしょうか。
大沼さん:ログラスでは、アドベントカレンダーという施策を取り入れています。これは、毎月の全営業日に誰かがリレー形式でノートを出すというものです。当社は積極的に参加してくれる社員が多いので、参加者を募ると10分ほどで全営業日分の枠が埋まるほど人気の施策です。
当社はコミットメント型の企業なので、文化に貢献したいというモチベーションがあるか、が採用の重要基準になっています。そのため、率先してアウトプットしたいというメンバーが多いのも、すぐに埋まってしまう理由かもしれません。
リファラル採用へのハードルを下げるためには丁寧なサポートが大切
-リファラル採用を実践する上で直面した最大の課題や解決方法を教えてください。
冨士本さん:紹介してくださる人が偏ると、他の方の当事者意識が自然と下がってしまい、結果的に紹介が進まないことがあります。そのため、採用に困っていることや採用したい人材ターゲットについて頻度高くコミュニケーションを取り、なかなか紹介してくださらない方には一緒に候補者をリストアップしたり、具体的なメッセージ例を一緒に考えたりして、伴走して手を動かしてサポートすることが大切です。1度成功体験を積んでもらうと、その後は自然と紹介が進むようになることが多いため、最初の成功体験をつくることが非常に重要だと考えています。
最初に声を掛けた時点で転職意向がなかったとしても、3ヶ月、半年、1年、1年半と定期的に声を掛け続けると、「これだけ声を掛けてくれるなら話を聞いてみようか」と相手の意向が変わる場合がありますし、そうでなくとも定期的に声を掛け続けると、転職活動を始めるタイミングで向こうから声を掛けてくださることも少なくないです。短期的な結果に固執せずに、粘り強く声を掛け続けることが重要ですね。
リファラル採用の最大の成果は、社員の主体性を高め組織への理解が深まること
-リファラル採用がもたらした最も大きな成果やメリットを教えてください。
冨士本さん:リファラル採用の最大のメリットは、組織を「自分ゴト」として捉える社員が増えることです。リファラル採用を成功させるためには自社への理解を深め、自分の大切な友人にしっかりと会社の魅力を伝えなければならないからです。
大沼さん:その過程で、社員は戦略や事業、カルチャーをしっかり理解しようとするインセンティブが働きます。これにより、一緒に働きたい大切な人が後悔しないよう、会社をより良くしたいというモチベーションにつながるのです。
リファラル採用に取り組んだ社員は「次はこの人に声を掛けてみよう」と考え、リファラル採用がさらに加速し企業文化として根付いていきます。
冨士本さん:あともう一つ、リファラル採用で入社した人はすでに声掛けに対するハードルが低いため、自分自身もリファラル採用に積極的になる傾向があります。このように自然とリファラル採用が広がっていくことも、この手法の大きなメリットの一つです。
面接でリファラル採用への経験値を確認
-リファラルにおいての秘伝の策を教えてください
冨士本さん:これをやれば絶対にリファラル採用がうまくいく、といった魔法の杖は正直ありません。これまでお話した通り、地道で泥臭い日々の積み重ねが重要だと思います。当社でもリファラルイベントやメモリーパレスの運用等はやっていますが、これらも一朝一夕で効果が出るものではなく、粘り強い継続的な運用が重要です。一方でせっかくこのイベントにご参加いただいている方々に、明日から使えるお土産を持って帰っていただきたいので一つだけTipsをシェアすると、自社の採用基準の一つに「リファラル採用の実績があるか」を設けることです。当社では構造化面接を取り入れているのですが、人事面接のタイミングで前職や現職でリファラル採用にどれくらい関わったかというのを聞くようにしています。
リファラル専任メンバーを配置し、広い視野で実行力のあるリファラル採用を展開
-ログラスさんでのリファラル専用の人事はどのような方ですか。
大沼さん:リファラル専任メンバーは定性的なアクションをどれだけ力強くできるかという世界になると思います。そのため、目標設計が難しい場面もありますが、リファラル専任メンバーには施策の実行数をメイン目標としています。これは、他のリクルーターと大きく異なる点です。
HR ラボ第一回 リファラル採用 のまとめ
リファラル採用を積極的に取り入れているログラスとUPSIDER。両社ともに、積極的に勉強会や交流会に参加していることもあり、リファラル採用への理解や取り組みを深められるよう努めているそうです。
今回のcoachee HRラボは、リファラル採用を積極的に活用する両社に登壇いただき、事例の紹介や具体的な施策・工夫について共有いただきました。リファラル採用の鍵は「経営層やリーダー層が積極的に取り組む」だけでなく「実績もあげる」ことで、「その重要性が他の社員にも伝わり、全社あげて取り組むべきもの」であると認識できたのではないでしょうか。
また、リファラル採用を会社の文化として位置付けたり、継続的に声がけをしたりとコアになる部分も大切であると語ってくれました。
リファラル採用を積極的に取り入れている両社が、今後どのようにリファラル採用に取り組み成長していくのか。また、お話を聞けるタイミングを楽しみにしています。
参加者の声 ・リファラル採用の制度はあるが活かされたことがなかったので、泥臭くやるしかないというのがわかりました。 ・社員を巻き込むための具体的な施策について、具体的なイメージが湧きました。 ・今後のリファラル採用に活かせるヒントを得られました。ありがとうございました。 ・社内でもインセンティブ制度を見直したいと感じました。 |
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