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【完全版】人事評価制度とは?2つの目的や種類・手法、実施までの流れを解説

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coachee 広報チーム
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「人事評価制度を導入しているけれど、効果的に運用できているのか不安」
「公平な評価ができず、従業員のモチベーションが下がってしまう」

そのようなお悩みはありませんか。人事評価制度は従業員の処遇や成長を左右する重要な制度ですが、誤った運用は不公平感や離職リスクにつながります。

そこで本記事では、人事評価制度とは何かや人事考課との違い、評価の目的、メリット・デメリット、代表的な手法や構築ステップまで体系的に解説します。失敗させないポイントや最新のトレンドも紹介するので、組織に最適な評価制度を検討できるようになるでしょう。

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人事評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の働きをどのように評価し、それを給与・賞与・役職などに反映させるかを決定することです。

処遇の判断に直結するため、従業員のモチベーションに大きく影響します。育成計画を立てる際の基盤としても重要です。

一般的に人事評価制度は以下の流れで実施されます。

  1. 期初:面談を通して業務目標を設定し、期待される成果を明確にする
  2. 期中:進捗や行動を確認し、適宜フィードバックを行う
  3. 期末:達成度を報告し、評価を実施したうえで振り返りの面談を行う

単なる結果の判定ではなく、継続的な対話と改善を前提に進められます。

 人事評価制度と人事考課の違い

人事考課は、従業員の能力やスキルを基準に評価を行い、処遇や昇格といった待遇面の判断材料とします。評価結果は非公開とされるケースが多いのも特徴です。

一方で人事評価制度は、実際の業務の進め方や成果を中心に判断される点に違いがあります。本人に結果を共有し、改善や成長のために活用される場合も少なくありません。

人事評価制度の実態・現状

jinjer株式会社の調査によれば、人事評価制度の実施回数は「年2回」と回答した企業が全体の半数以上(51.9%)を占めています。評価基準が明確かどうかについては「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」と答えた人が6割を超えており、基準の不透明さが浮き彫りになっています。

さらに、評価に対する納得感についても「とても不満」「やや不満」と答えた従業員が67.4%にのぼりました。多くの従業員が現状の人事評価制度に不満を抱いており、制度運用の改善が求められている状況です。

出典:

【人事評価制度における実施状況と課題の実態調査】jinjer株式会社

人事評価制度に関する満足度調査|株式会社ワークポート

人事評価制度の2つの目的|メリットも解説

人事評価制度には、単なる処遇の判断以上に大きな役割があります。従業員の努力を正しく認めることで、働く意欲を引き出し、最終的には組織全体の成果につながるからです。

ここでは、人事評価制度の2つの目的を取り上げます。

 1.適切な処遇を決定する

人事評価制度の目的は、従業員に対して公正な処遇を与えることです。評価基準を明確にし、透明性を持って運用すれば、従業員も納得感を持ちやすくなります。

実際の評価では、業績や成果だけでなく、仕事への姿勢や組織への貢献度も加味されます。これにより、給与や賞与などの報酬を適正に決められるだけでなく、従業員の能力や適性に応じて最適な部署へ配置する判断材料にもなります。

 2.従業員のモチベーションを高める

人事評価制度は、従業員のモチベーションを高めると同時に、組織全体の目標達成を後押しします。努力が正しく評価され、昇給や昇格といった待遇に反映されれば、従業員は「自分の頑張りが認められている」と感じ、仕事への意欲が強まるでしょう。

さらに、評価基準が明確であれば、従業員は組織が求める成果を理解しやすくなります。

その結果、パフォーマンス向上や離職率の低下、生産性の改善につながり、最終的には組織全体の業績向上を後押しします。

人事評価制度のデメリット

人事評価制度は組織にとって不可欠な制度ですが、運用次第ではデメリットも生じます。代表的なのが「評価者によるばらつき」と「従業員の納得感不足」です。

評価者によって甘い採点や厳しい判定など、偏りが出ることがあります。この課題を防ぐには、数値化できる基準を設けると同時に、経営層や管理職、人事担当者に研修を実施し、公平な評価スキルを身につけてもらうことが有効です。

また、評価制度自体に納得できないと、従業員のモチベーション低下につながるリスクもあります。結果を一方的に伝えるのではなく、面談を通じて根拠や背景を共有し、本人の理解を得ることが欠かせません。

人事評価制度の3つの基準

人事評価制度は、従業員の働きを公平に判断するために「能力」「成績」「行動」の3つの視点で行われるのが一般的です。

それぞれの基準が組み合わさることで、単なる数字や印象に偏らない総合的な評価が可能になります。

 1.能力評価

能力評価は、仕事を遂行するうえで必要なスキルや知識をどの程度発揮しているかを測る基準です。たとえば、専門知識や資格の有無、課題を計画的に進める力などが対象です。

重要なのは、能力を持っているかどうかだけでなく、実際の業務で効果的に活かしているかどうかです。

 2.成績評価

成績評価(業績評価)は、一定期間の成果を数値として表し、結果を基準に判断する方法です。営業職であれば売上や新規顧客の獲得数などが典型例ですが、それ以外の職種でも成果を可視化できる指標を設定すれば活用できます。

また、各自に業務目標をあらかじめ設定し、期間終了時にどれだけ達成できたかを確認する「目標達成度」も重要な観点です。

 3.行動評価

行動評価は、成果そのものよりも働く姿勢や組織人としての態度を判断する基準です。規律を守れるか、チームで協力できるかといった面が重視されます。

数値には表れにくい部分ですが、組織の健全な運営に直結するため、欠かせない観点です。

人事評価制度の種類4選|評価者別に紹介

以下の表では、代表的な4種類の評価方法について、内容と課題を整理しました。

評価の種類内容デメリット
自己評価自分の業務成果やスキルを振り返り、成長につなげる評価。面談で意見を伝える材料にもなる。主観的になりやすく、過大・過小評価の恐れがある。
上司評価直属の上司が日常の業務状況や成果を評価する手法。日常の観察を基に適切な判断が期待できる。評価者の主観が入りやすく、公平性確保には評価基準の明確化やトレーニングが必要。
360度評価上司・部下・同僚・顧客など複数の関係者が匿名で多角的に評価し、集計結果を本人にフィードバックする。上司も部下に評価されるため、厳しい評価を避ける傾向が生じる。
ピア評価同僚同士で相互に評価を行う手法。協調性やチームワークを重視し、横のつながりを強化できる。人間関係に配慮した甘い評価になりやすい。

このように、人事評価制度の方法にはそれぞれ強みと課題があり、どれかひとつが絶対的に優れているわけではありません。組織の目的や文化に応じて最適な方法を選び、必要に応じて複数の手法を組み合わせることが有効です。

人事評価制度の代表的な手法4選

人事評価制度にはさまざまな種類があります。以下でそれぞれの手法を解説します。

 1.MBO(目標管理制度)

MBOは、従業員が自分で目標を設定し、達成度によって評価を受ける方法です。個人の目標と組織の目標をリンクさせることで、従業員の主体性を高めながら全体の成果につなげる狙いがあります。

たとえば営業担当者であれば、四半期ごとに「売上額」や「新規顧客数」といった具体的な目標を設定し、達成度に応じて評価を行います。本人が自ら立てた目標であるため納得感が高く、モチベーション向上にも効果的です。

 2.コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は、成果を上げている従業員や理想とする人材像をモデルにし、行動特性や思考パターンを基準に評価する手法です。業績だけでなく「成果を生む行動そのもの」を対象とするため、人材育成や採用活動にも活かせます。

たとえば、優秀な営業担当者が持つ「顧客の課題を深く聞き出す力」や「提案のわかりやすさ」といった要素をモデル化し、他の従業員にも同じ行動を習得してもらうよう評価・指導していきます。

 3.ノーレイティング

ノーレイティングは、従来のように年に一度ランクを付ける方式をやめ、継続的な対話とフィードバックに基づいて評価する仕組みです。従業員を一律に格付けしないため、現実に即した柔軟な評価が可能になります。

具体的には、上司と部下が定期的に1対1の面談を行い、その時点での進捗や課題を話し合います。特にテレワークや外部環境の変化が大きい近年では、スピード感を持って適応できる点が評価されています。

 4.リアルタイムフィードバック

リアルタイムフィードバックは、2週間に1回や月1回といった短いスパンで振り返りを行い、その都度評価や助言を伝える方法です。短期目標に沿った改善ができるため、長期評価では見落とされがちな小さな成果や課題を拾い上げやすい特徴があります。

長期にわたるプロジェクトや抽象的な業務では、年に一度の評価だけでは十分な改善が難しいこともあります。その点、短期間ごとのフィードバックは、現場での成長を支援するのに有効です。

【5Step】人事評価制度の構築から実施までの流れ

人事評価制度を定着させるには、段階を踏んで整備することが大切です。導入目的を明確にしたうえで基準を設定し、制度を設計・運用していく流れを整理しておきましょう。

 1.導入目的を明確にする

まず、自社の人事に関する課題を把握し、なぜ人事評価制度が必要なのかを明らかにします。目的を定めることで、評価項目や基準を決める際の判断軸となり、社内に制度の必要性を説明する根拠にもなります。

 2.評価基準と項目を設定する

次に、評価の基準(How:どのように行うか)と評価項目(What:何を判断するか)を整理します。評価者が両方を理解していなければ、公平な判断は難しくなるため注意が必要です。

 3.評価制度を設計する

基準と項目が決まったら、給与や昇格にどう反映するかを含めて制度を設計します。一般的には、等級制度で従業員の序列を決め、それに応じた報酬制度を組み合わせる形で運用します。

 4.評価者研修を実施する

評価を担う管理職や幹部に対し、公平な判断を行うための研修を実施します。評価の心理的な偏りを防ぐ意識づけに加え、進め方をまとめたマニュアルを整備することも有効です。

 5.従業員に説明して実施する

制度を設計したら、従業員に内容を周知します。評価の基準を理解することで、従業員は経営方針に沿った行動を取りやすくなります。導入後は、アンケートなどで定期的に満足度を確認し、改善を続けましょう。

失敗しない】人事評価制度構築のポイント

人事評価制度は経営戦略と連動させる必要があります。中期計画や年度方針から、組織として重視すべき成果や行動を抽出し、それを評価項目や配点に反映させることで、従業員の行動を会社の方向性と一致させられるからです。

評価制度は、基準を伝えるだけでなく、実質的に従業員の行動を導くツールとして機能します。

また、評価制度は運用してみなければ見えない課題が多い仕組みです。組織文化や従業員の意識、働く環境とも深く関わるため、完璧を求めるのではなく、改善を前提に継続的に運用する姿勢が求められます。

そのためにも、実際に運用可能な範囲で制度を設計し、現実に即した形で導入することが成功への近道です。

coacheeの人事評価制度構築の支援事例

ある企業グループでは経営の転換期を迎え、人事制度の再構築が必要となっていました。

coacheeはこの課題に対し、360度評価制度の導入を支援しました。上司だけでなく部下や同僚からも評価を受ける仕組みを導入することで、より客観的で納得感のある評価が可能になっています。

こうした取り組みにより、グループ全体の人事制度を統合し、従業員のキャリア形成と業績評価を一体化した仕組みを約6割実現できました。結果として、多様な人材が活躍できる環境が整い、組織の活性化と人事施策の定着が進んでいます。

物流大手におけるグループ人事改革と人材開発体系の再構築

人事評価制度に関するよくある質問

本項では、人事評価制度に関するよくある質問と回答をご紹介します。

人事評価制度の最新トレンドは?

従来の成果主義に加えて、近年は「役割主義」を採用する企業が増えています。役割主義では、与えられた役目をどれだけ果たしたかを基準に評価が行われるため、数字だけでなく日常の行動や姿勢が重視されます。

さらに、人事データを活用したAI評価の導入も進みつつあり、客観性と効率性を両立する取り組みが注目されています。

 リモートワーク環境での人事評価制度はどう行うべき?

在宅勤務が普及するなかでは、評価の基準を数値化し、期限や目標を明確にすることが重要です。成果が見えにくい働き方だからこそ、定量的な指標を設定することで公平な評価がしやすくなります。

特に、目標達成度に基づいて評価するMBO(目標管理制度)や、定期的なフィードバックを行うノーレイティングの手法は、リモート環境にも適しています。

人事評価制度を構築・運用できる人材の採用ならcoachee Agent Pro

人事評価制度は、従業員の成果や能力を公平に判断し、給与や昇進に反映させる仕組みです。適切に設計された制度は、従業員のモチベーションを高め、組織全体の目標達成を後押しします。

一方で、評価基準の不透明さや評価者ごとのばらつきは、不満や離職につながる課題です。そのため、基準の明確化や評価者研修を行い、継続的に改善しながら制度を運用することが重要です。

ただし、自社で制度を整備しても、実際に運用できる人材が不足している場合は導入が進みにくいでしょう。

そこで役立つのが「coachee Agent Pro」です。DX・エグゼクティブ・HR領域に特化した専門人材を、ヒアリングを通じて最適にご紹介します。

完全成功報酬型のため初期費用は不要で、候補者との面談や選考調整まで伴走支援いたします。人事評価制度の構築・運用を担える人材を確保したい企業は、まずは相談して導入効果を確認してみてください。

記事を書いた人
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coachee 広報チーム

国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

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