育休から復職した社員が、意欲をもって働けていないと感じる場面はありませんか。
良かれと判断して業務を減らした結果、本人が物足りなさを覚える状態は「マミートラック」の1つの兆候です。放置すると離職につながるリスクがあるため、人事として早期の対策が求められます。
本記事ではマミートラックの原因や対策、外部のプロを活用した改善事例を解説します。マミートラックに悩んでいる企業担当者の方はぜひ最後までお読みください。
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※本記事で紹介しているデータや図表は、個別に注釈がある場合を除き、男女共同参画局が公表した「特集編 新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために ~職業観・家庭観が大きく変化する中、「令和モデル」の実現に向けて~」に基づいております。
マミートラックとは
マミートラックとは、出産や育児を経て職場に復帰した社員が、本人の意欲に関係なく昇進や昇給のレールから外れてしまう状態のことを指します。
仕事自体は続けられるものの、責任のある業務から遠ざけられたり、キャリアが停滞したりすることが特徴です。こうした状況はキャリアロスとも表現されます。
仕事と家庭の両立は実現できても、単純な仕事しか任されないためキャリア形成が遅れてしまう点が、この問題の本質です。
マミートラックが発生する原因
マミートラックが生まれる背景には、社会的な意識や企業の体制、周囲の心理など複数の要因が絡み合っています。どういうことか、詳しく見ていきましょう。
「家事は女性がするもの」という意識が根強い
共働き世帯が増加している現代でも、女性が家事を行う割合は依然として高い傾向にあります。男女共同参画局が公開している資料によると、男性が家事を行っている時間は上昇傾向にあるものの、依然として女性との間には大きな差があることが分かります。

この背景には、男性の労働時間が女性よりも長くなりやすいという実情が指摘されています。

「男性は外でたくさん働くもの」「女性は家庭を守るもの」といった社会の意識が根強く残っているため、それが労働時間や家事時間の差として現れてしまい、出産した女性のキャリア形成が遅れてしまいやすい、という現状が伺えます。
子育て中の社員を支える仕組みが十分でない可能性がある
会社の子育て支援制度そのものがうまく機能していないケースも考えられます。
かつて資生堂の美容職では、育児時間制度を利用する人の多くが平日の早番シフトに集中していました。休日や遅番では家族との時間をもちにくいことが理由ですが、結果として性別による役割分担やキャリアの停滞を招く結果となりました。
同社はその後、育児時短勤務者にも遅番や休日勤務を検討してもらう働きかけを行い、業績を上げれば出世できる体制を整えました。
こうした成功事例がある一方で、他の企業では仕組みそのものがない、あるいは十分に活用されていない可能性もあります。
周囲の配慮が逆に悪影響となっている
マミートラックは、周囲の「良かれと思って実施した配慮」が引き金となる場合もあります。
先述した資生堂の事例も、本来は働く女性を支援するために導入された制度でした。しかし結果として、勤務時間が制限されたことでマミートラックを招く原因となっていました。
このように、過度な配慮が本人のキャリア形成の機会を奪ってしまうケースも珍しくありません。
「女性は出世したがらない」といった固定観念がある
男女共同参画の調査によると、男性の方が「女性の管理職登用に向けた教育は必要ない」「同じ実力なら男性を優先すべき」といった考えをもつ割合が高いことが判明しました。

また、「男性が残業や休日出勤を担うべきだ」という意識が高いことも、結果として女性をマミートラックへと追いやる要因となっています。
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マミートラックの問題点
マミートラックを放置することの問題点をご紹介します。
優秀な女性社員が会社を去ってしまうリスクが高まる
復職後に本人の能力に見合わない仕事ばかりが続くと、会社でのキャリアに限界を感じてしまう人が発生してしまいかねません。
本来であれば将来の経営を担うはずの優秀な人材が、より正当に評価される環境を求めて他社へ転職してしまうでしょう。
働くことに積極的な女性から選ばれなくなるリスクが高まる
マミートラックが問題になっている会社は、採用市場での評価も下がってしまいかねません。
現代ではSNSや口コミサイトを通じて社内の実態が広まりやすいため、キャリア形成に意欲的な女性から応募を避けられるかもしれません。特に「出産後もバリバリ働いて出世を目指したい」と考える優秀な女性層からの応募が減ってしまいかねません。
女性社員の仕事に対する意欲が低下する恐れがある
出産した女性社員のキャリア形成が止まってしまうことで、仕事に対する情熱や向上心が失われる恐れがあります。
自分がどれほど成果を上げても昇進や昇給に結びつかないと感じれば、「もっとがんばろう」という意欲は生まれにくいでしょう。人事評価が現状と合っていない状態は、組織全体の士気や従業員エンゲージメントの低下を招きます。
関連記事:【実践ガイド】従業員エンゲージメントとは?向上施策や事例、導入手順を解説
管理職が男性ばかりになってしまう恐れがある
マミートラックにより女性社員が出世ルートから外れると、リーダー候補が男性に偏ってしまいやすいです。
画一的な価値観の組織では、市場の変化に対応しにくくなるリスクが高まります。この状態が続けば、企業の競争力低下を招きかねません。
企業が取り組むべきマミートラックへの対策
企業がマミートラックを解消し、女性社員の意欲を引き出すための方法をご紹介します。
女性を守るのではなく活躍させることを意識する
「女性は家庭を優先すべきだから配慮しよう」という過度な保護の考え方は、結果としてマミートラックを招きかねません。
先述した資生堂の事例のように、よかれと思った配慮が本人の成長機会を奪い、キャリアの停滞を招く原因となることがあります。これからは子育て中の女性社員を守るのではなく、本人の意欲を尊重し、成果を正当に評価して活躍を促すことが大切です。
在宅勤務や短時間勤務など多様な働き方を導入する
在宅勤務や短時間勤務といった柔軟な働き方を導入することで、子育て中の女性社員もパフォーマンスを落とさずに働き続けやすくなります。
これにより、通勤時間を削減したり育児や家事の時間を確保しやすくなったりします。
関連記事:リモートワークの導入手順10Step!導入率や環境整備、企業事例も解説
上司と定期的にコミュニケーションを取る機会を設ける
上司と定期的に対話する機会を設けることも大切です。男女共同参画局が掲載しているデータによると、上司に要望を伝えることでマミートラックから脱出できたケースがあります。

子育て中の女性といっても、キャリアについてどう考えているかは一人ひとり異なるものです。定期的にコミュニケーションをとり、本人の希望をヒアリングしてマミートラックからの脱出をサポートしましょう。
生産性を高めて長時間労働を是正する
組織全体の生産性を高めて長時間労働を是正することは、マミートラックの根本的な解決に直結します。男女共同参画局が掲載しているデータによると、共働き世帯であっても、男性は女性と比較して家事参加率が低く労働時間が長くなりやすい、といった現状が伺えます。

業務の効率化を進めて少ない時間で高い成果を出せる体制を整えれば、男性も家事や育児に積極的に参加しやすくなるはずです。
男性の育児休業取得を促進する
男性の育児休業取得を積極的に促進することも欠かせません。取得率は上昇傾向にあるものの、女性と比較すると依然として大きな隔たりがあるのが実情です。

男性も育休を取得しやすいよう、上層部から呼びかけを行ったり育休を取っても現場に負担がかかりすぎないような仕組みを導入したりすることが求められます。
マミートラックをはじめとした人事課題の解決ならcoachee
マミートラックの解消を目指すなら、専門的な知識と豊富な経験をもつプロの知見を借りてみませんか。
coacheeは、人事や採用のプロが多数登録しているマッチングプラットフォームです。採用戦略の策定から評価制度の見直し、組織開発にいたるまで、幅広い課題に対応できる体制を整えています。
マミートラックをはじめとした人事課題にお悩みであれば、ぜひcoacheeに在籍するプロ人材をご活用ください。貴社の状況を丁寧にヒアリングし、即戦力の専門家が解決に向けて並走します。
外部のプロ人材を活用して組織改革を成功させた事例
coacheeを活用して人事課題の解決に成功した具体的な事例をご紹介します。
在宅勤務を導入して業務効率を高めた製造業の事例
従業員数約4,000名を抱える上場製造業では、在宅勤務や時間休の導入など、働き方改革への対応が急務となっていました。
そこでcoacheeでは、在宅勤務のパイロット実施や管理職向けの労務管理説明会といった実務をプロ人材が主導。手作業で行われていたデータ集計を効率化したことで業務時間を削減し、法令に即した就業規則の改定も実現しました。
業務マニュアルの整備によって引き継ぎも円滑になり、労働基準監督署の監査にもスムーズに対応できる体制が整いました。
関連記事:製造業における働き方改革の推進と人事労務オペレーションの高度化
人事制度を刷新してキャリアパスを構築した物流大手の事例
とある物流大手企業では、グループ経営の変革に伴う人事制度の再構築が求められていました。
そこでcoacheeは、評価制度やキャリアパス、教育体系の構築プロジェクトを主導し、360度評価制度や柔軟な勤務制度の設計を推進。グループ全体の制度も統合したことで、社員のキャリア形成と業績評価が一体化された仕組みが実現しました。
関連記事:物流大手におけるグループ人事改革と人材開発体系の再構築
次世代の育成体制を整備した物流グループの事例
総合物流グループの持株会社では、経営ビジョンの具現化に向けた横断的な人材管理と人事制度の構築が課題でした。
そこでcoacheeのプロ人材が、マネジャーとして中期人事戦略やシステムの刷新を推進し、ジョブ型人事制度やテレワークの導入を主導しました。また、次世代経営者の育成スキームを整備したことで、将来にわたる経営の持続性を高めています。
関連記事:物流グループ中核企業における人事制度改革と次世代人材育成体制の構築
即戦力の人事プロに相談してマミートラックを解消しよう
マミートラックは、出産や育児を機にキャリアが停滞してしまう深刻な課題です。本人が希望しているにもかかわらず、育児中の社員だからといって責任のある仕事から遠ざけてしまうのは、優秀な人材の離職や採用活動での競争力低下につながるリスクがあります。
coacheeでは、豊富な実務経験をもつ専門家が貴社の課題解決に並走し、誰もが活躍できる組織づくりを強力にサポートします。まずは現状の悩みを相談してみてください。