「うちの会社は休日が少ない気がするけれど、採用で不利にならないだろうか」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、厚生労働省の最新調査にもとづく年間平均休日のデータや法律上の最低ライン、日数ごとの働き方イメージ、休日が少ない場合の具体的な対策までを解説します。
年間休日をはじめとした労働環境の改善に取り組み、人材採用の強化や離職防止につなげていきたいとお考えであれば、人事のプロに相談するのもおすすめです。coachee人事シェアでは、経験豊富なプロ人事が貴社の課題に合わせて支援を行います。
年間平均休日の平均は約112日
厚生労働省が2025年12月に公表した令和7年「就労条件総合調査」によると、2024年(令和6年)1年間の年間休日総数は、1企業平均で112.4日でした。労働者1人平均では116.6日となっており、いずれも1985年以降で過去最多を更新しています。

引用:令和7(2025)年就労条件総合調査の概況|厚生労働省
従業員数が多い企業ほど年間休日は多くなる傾向にあり、1,000人以上の企業と30〜99人の企業では6日以上の差が生じています。
年間休日総数の分布を見ると、120〜129日の企業が37.3%と最も多く、次いで100〜109日の企業が27.9%を占めています。自社の休日日数がこうした平均や分布のなかでどの位置にあるのかを把握しておくと、採用活動や制度設計の判断材料になるでしょう。
そもそも年間休日とは?
年間休日とは、企業が就業規則や労働協約で定めた1年間の休日の合計日数を指します。具体的には、週休日(土曜・日曜など会社が指定する休日)と、週休日以外の休日(祝日、年末年始、夏季休暇、会社記念日など)を合算したものです。
求人票に記載される「年間休日120日」といった数字は、この合計日数にあたります。ただし、年次有給休暇や育児休業などは年間休日には含まれません。
年間休日と休暇・休業の違い
休暇は、年次有給休暇や慶弔休暇など、労働者からの申し出によって会社が労働義務を免除するものです。
休業は、経営上の理由によるものと法的制度によるものの2種類があります。事業規模の縮小や経営悪化による一時的な休業は経営側の都合にあたり、産前産後休業や育児休業、介護休業は法律に基づく制度として位置づけられています。
いずれも年間休日とは別の扱いです。
法律で定められた年間休日の最低ラインは105日
労働基準法には「年間休日は最低105日」と明記されているわけではありません。しかし、同法で定められた2つのルールをもとに計算すると、105日という数字が導き出されます。
労働基準法が定める原則は以下の2点です。
- 労働時間は1日8時間、週40時間を超えてはならない(第32条)
- 毎週少なくとも1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない(第35条)
この原則に基づいて計算すると、以下のようになります。
- 1年間の週数:365日 ÷ 7日 ≒ 52.14週
- 年間の総労働時間:52.14週 × 40時間 ≒ 2,085時間
- 年間の労働日数:2,085時間 ÷ 8時間 ≒ 260日
- 年間休日の最低ライン:365日 − 260日 = 105日
つまり、1日8時間のフルタイム勤務を前提とした場合、年間休日は最低でも105日でなければ、法定労働時間の上限を超えてしまいます。
参考:労働基準法|e-Gov
年間休日が105日を下回っても違法にならないケース
以下のようなケースでは、年間休日が105日を下回っても直ちに違法とはなりません。
- 1日の所定労働時間が8時間未満の場合
- 変形労働時間制を導入している場合
- 36協定を締結している場合
1日7時間勤務であれば、週5日でも労働時間は35時間にとどまり、週40時間の上限内で休日を少なく設定できます。変形労働時間制では、一定期間の平均が週40時間以内であれば繁忙期と閑散期で労働時間を調整できるため、105日を下回る場合もあります。
36協定の締結により月45時間・年360時間の範囲で時間外労働も認められますが、法定休日(毎週1日または4週4日以上)は確保しなければなりません。いずれも就業規則の整備や届出が前提となるため、自社の制度に不安がある場合は労務管理の専門家への相談をおすすめします。
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年間平均休日の目安と採用市場における見え方
求人票に記載された年間休日の日数は、求職者が企業を比較する際に注目する項目の1つです。同じ職種や給与水準であっても、年間休日の多寡によって応募数に差が出るケースは珍しくありません。
求人票でよく見かける日数帯ごとに、求職者からどのような印象をもたれやすいのかを整理します。
年間休日125日以上
年間休日125日以上は、他社と差別化を図りやすい水準です。
完全週休2日制(土日休み)に加えてすべての祝日が休みになると、それだけで年間118日前後の休日を確保できます。ここに年末年始やお盆の長期休暇が加わることで、125日以上に達する計算です。
この水準の企業は、求職者から「ワークライフバランスが整っている」と評価されやすく、採用活動においても有利に働く傾向があります。特に20〜30代の若手層はプライベートの時間を重視する方が増えており、休日の充実度は応募先を選ぶうえで判断材料となっています。
年間休日120日
年間休日120日は、多くの求職者が「ホワイト企業かどうか」を判断する際の1つの目安とされています。
完全週休2日制で土日が休みとなり、さらに祝日も休みであれば、いわゆる「カレンダーどおり」の働き方にあたります。2024年の場合、土日の合計は104日、祝日のうち土日に重ならない日数を加えると概ね120日前後です。
年末年始やお盆の長期休暇が別途用意されていれば、実質的に125日以上の休みを確保しているケースもあります。求人票で「年間休日120日」と記載があれば、求職者にとって安心材料になりやすいです。
年間休日110日
年間休日110日は、全企業の平均(112.4日)に近い水準です。
完全週休2日制ではあるものの、祝日がすべて休みにはならないケースが該当します。月に1〜2回ほど土曜出勤が発生する、あるいは祝日は通常出勤で、代わりに年末年始やお盆にまとまった休暇を設ける、といった働き方が一般的です。
求職者によって評価は分かれるところですが、平均的な水準であるため「特別少ない」という印象はもたれにくいでしょう。ただし、年間休日120日以上を希望する求職者が増えているなかでは、他の条件(給与、福利厚生、働き方の柔軟さなど)で自社の魅力を補完する工夫が求められます。
年間休日105日
年間休日105日は、1日8時間労働を前提とした法定の最低ラインにあたる水準です。
週休2日は確保されるものの、祝日や長期休暇はほぼ設定されていない計算になります。ゴールデンウィークや年末年始も通常出勤となるケースが多く、求職者からは体力面での負担を懸念されやすい傾向にあります。
インターネット上では「年間休日105日はやめとけ」といった声も見受けられ、求職者がネガティブな印象をもちやすい日数帯です。この水準で求人を出す場合は、給与や福利厚生、有給休暇の取得率など、休日以外の魅力を丁寧に伝える工夫が必要になるでしょう。
年間休日96日以下
年間休日が96日以下の場合、採用活動において注意が必要です。
この日数は、1日の所定労働時間が8時間未満の企業や変形労働時間制を導入している企業で見られます。たとえば1日7時間勤務で週6日働く場合、週の労働時間は42時間となりますが、変形労働時間制の適用により法定範囲内に収まるケースがあります。
なお、労働基準法第35条が定める法定休日の最低ラインは「毎週1日」であるため、年間では52日が法律上の下限です。ただし、年間休日が96日以下という数字は求職者から敬遠されやすく、応募そのものが集まりにくい傾向があります。
自社の年間休日が少ない場合の対策
休日の増加が難しい企業でも採用力を維持・向上させるための具体的な対策を紹介します。
年間休日を増やせないか検討する
年間休日そのものを増やす余地がないかを検討してみましょう。休日を増やすには、現在の業務量を維持しながら1人あたりの労働時間を減らす仕組みづくりが求められます。
検討の方向性としては、以下のようなものが考えられます。
- 人員を増やす
- 機械やシステムを導入する
- 業務フローを見直す
- 事業構造を見直す
いずれも売上を維持もしくは拡大しながら、働きやすさの向上を目指すアプローチです。ただし、すぐに実行に移せるものばかりではなく、投資やコストの判断が必要になる場合もあります。
有給休暇の取得率向上や柔軟な働き方を導入する
年間休日の日数を変えなくても、実質的な「休みやすさ」を向上させる方法があります。
まず取り組みやすいのが、有給休暇の取得率を高める施策です。厚生労働省の調査によると、有給休暇の取得率は66.9%にとどまっています。また、働き方の柔軟性を高める取り組みもおすすめです。
- リモートワークを導入する
- フレックスタイム制を活用する
- 時間単位の有給休暇制度を導入する
求人票に「有給取得率80%以上」「リモートワーク可」といった情報を記載できれば、年間休日の日数だけでは伝わらない働きやすさを求職者に訴求できます。
参考:令和7(2025)年「就労条件総合調査」の結果を公表します|厚生労働省
求人票で自社の魅力や働きやすさを適切にアピールする
年間休日の日数が他社と比較して少ない場合でも、求人票の書き方次第で求職者への印象は変わります。たとえば、以下のような情報は求職者へのアピール材料になります。
- 資格取得支援制度や研修制度の充実度
- 住宅手当や家族手当などの福利厚生
- 社員の平均勤続年数や離職率
- 育児・介護との両立を支援する制度の有無
- 月平均の残業時間
休日数を変えられなくても「この会社で働いてみたい」と思ってもらえる情報発信を心がけましょう。
採用力を強化したい人事担当者が取り組むべきこと
採用力を強化するために、人事担当者が意識すべきポイントを紹介します。
求職者が求める年間平均休日の水準を把握する
採用活動を進めるうえで重要なのは、求職者がどの程度の年間休日を求めているか把握することです。
前述のとおり、厚生労働省の調査では年間休日120〜129日の企業が全体の37.3%と最も多い割合を占めています。自社の年間休日が120日に届いていない場合、求職者の検索条件から外れてしまい、そもそも求人を見てもらえない可能性があります。
より優秀な人材を採用するなら、年間休日を増やせないか検討してみましょう。
休日数や柔軟な働き方を求人でアピールする
下記のような、自社の休日数や働き方に関する情報をアピールすることも大切です。
- 有給休暇の平均取得日数や取得率
- リモートワークやフレックスタイム制の導入状況
- 時間単位の有給休暇制度の有無
- 残業時間の月平均実績
求職者は複数の求人を比較しながら応募先を選んでいます。数字や制度を具体的に提示することで、他社との違いを印象づけましょう。
人事制度や採用の課題はプロに相談する
「休日制度を見直したいが、どこから手をつければよいかわからない」といった課題を抱えている場合は、外部のプロ人材に相談するのもおすすめです。
人事制度の設計や採用戦略の立案には、労務管理の知識に加えて採用市場のトレンドを踏まえた判断が求められます。社内にこうした知見をもつ人材が十分にいない場合、自社だけで対応しようとすると時間やコストがかさみ、成果にもつながりにくくなりがちです。
年間平均休日など働き方を改善するならプロに相談してみよう
「制度を変えたいが社内にノウハウがない」「何から着手すればよいかわからない」といった課題を抱えている場合は、人事のプロに相談することで解決の糸口が見つかりやすくなります。
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関連記事:製造業における働き方改革の推進と人事労務オペレーションの高度化
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関連記事:物流大手におけるグループ人事改革と人材開発体系の再構築
自社の年間休日を適切に設定して採用活動を成功に導こう
年間平均休日は、求職者にとって企業を選ぶ際の判断材料であり、企業にとっては採用力を左右する指標の1つです。
年間休日をすぐに増やすことが難しい場合でも、有給休暇の取得促進や柔軟な勤務制度の導入、求人票での適切なアピールなど、取り組める施策はさまざまあります。
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