「求人媒体に掲載しているのに、自社の魅力がなかなか求職者に伝わらない」
「IT・DX・管理職など専門性の高いポジションの採用が思うように進まない」
こうした課題の解決策として近年注目されているのが、採用オウンドメディアです。自社で運営するメディアを通じて情報発信することで、潜在層へのアプローチや採用ブランディングの強化につながります。
本記事では、採用オウンドメディアの定義やメリット・デメリット、成功事例、始め方まで網羅的に解説します。ぜひ最後までお読みください。
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採用オウンドメディアとは?
採用オウンドメディアとは、企業が自社で運営するメディアを通じて、求職者や転職潜在層に向けて情報発信を行う採用手法です。社員インタビューや企業カルチャーの紹介、働く環境のリアルな情報などを継続的に発信することで、求職者の認知・共感を獲得することを目的としています。
求人票や採用ページのように「応募を促す」媒体とは異なり、採用オウンドメディアは「まだ転職を考えていない潜在層」や「自社を知らなかった優秀な人材」に対して、長期的に接点をつくるための手段です。
採用サイトとの違い
採用サイトと採用オウンドメディアは混同されがちですが、目的と役割が異なります。
| 項目 | 採用サイト | 採用オウンドメディア |
|---|---|---|
| 主な目的 | 応募促進 | 認知・共感形成 |
| ターゲット | 転職顕在層 | 転職潜在層〜顕在層 |
| コンテンツ | 求人情報・会社概要 | 社員インタビュー・カルチャー記事など |
| 更新頻度 | 不定期(求人に合わせて) | 定期的(継続的な発信が前提) |
| 効果が出るまで | 比較的短期 | 中長期(6ヶ月〜) |
採用サイトは「応募したい人が訪れる場所」であるのに対し、採用オウンドメディアは「まだ応募を考えていない人が自然にたどり着く場所」として機能します。両者を組み合わせることで、採用活動の幅が大きく広がります。
求人媒体・人材紹介との違い
採用オウンドメディアは、求人媒体や人材紹介とも異なるアプローチを持っています。
| 項目 | 採用オウンドメディア | 求人媒体 | 人材紹介 |
|---|---|---|---|
| 費用構造 | 初期・運用コスト(固定) | 掲載費用(都度) | 成功報酬型 |
| リーチ範囲 | SEO・SNS経由で広く | 媒体ユーザーのみ | エージェント保有候補者 |
| 潜在層へのアプローチ | ○ | △ | △ |
| コンテンツ資産の蓄積 | ○ | × | × |
| 採用ブランディング効果 | ○ | △ | × |
求人媒体や人材紹介は即効性がある一方、コストが都度発生し、コンテンツが資産として残りません。採用オウンドメディアは立ち上げに時間がかかりますが、長期的には自社の採用基盤として機能します。
関連記事:人材紹介サービスとは?仕組みやメリット・選び方をわかりやすく解説
採用オウンドメディアの種類
採用オウンドメディアには、主に以下の3種類があります。
- 採用ブログ・採用記事サイト
- SNS(X・Instagram・LinkedInなど)
- 動画(YouTubeなど)
採用ブログでは、社員インタビューや職場環境、企業カルチャーを記事形式で発信します。SEO効果が高く、潜在層へのリーチに適しており、企業規模問わず取り組みやすい施策です。
SNSは日常的な社内の雰囲気や採用情報をカジュアルに発信できるツールです。拡散力が高く、若年層へのアプローチに有効です。運用コストが低い反面、フォロワー獲得に時間がかかるといったデメリットもあります。
また近年は、YouTubeなどのプラットフォームを通じて社内ツアーや社員インタビューを動画で発信する施策を行っている企業もあります。視覚的に情報を伝えられるため、視聴者からの信頼感・親近感を醸成しやすい点がメリットです。制作コストは高めですが、大手企業を中心に活用が広がっています。
関連記事:【採用担当必見】YOUTRUSTとは?機能や特徴、料金相場を解説
採用オウンドメディアが必要とされている理由
採用オウンドメディアが注目される背景には、下記のような採用環境の構造的な変化があります。
- 労働人口の減少と採用競争の激化
- Z世代の情報収集行動の変化
- 潜在層へのアプローチが採用の主戦場になっている
厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析(労働経済白書)」によると、少子高齢化による労働力人口の継続的な減少と、深刻化する人手不足が指摘されています。求人数が増え続ける一方で求職者数は減少しており、企業にとって「選ばれる側」としての発信力がこれまで以上に重要になっています。
参考:令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-|厚生労働省
またZ世代をはじめとする若手は、求人票に書かれた条件だけでなく「この会社はどんな人が働いているのか」「自分がここで活躍できそうか」といった情報を入社前に確認したいと考える人がいます。そのため、求人票には書ききれない「生の声」を届ける手段として、オウンドメディアでの情報発信が注目されているのです。
また人手不足が深刻化しているため、自社の採用ニーズを満たすためには転職意向がまだ顕在化していない「潜在層」へのリーチが重要になっています。求人媒体は「今すぐ転職したい人」にしかリーチできませんが、採用オウンドメディアはSEOやSNSを通じて、潜在層に継続的に情報を届けることができます。
採用オウンドメディアを持つメリット
採用オウンドメディアを導入することで得られる主なメリットは、以下の5つです。
- 採用ブランディングの強化およびファンの形成
- 潜在層・転職検討層へのアプローチ
- 入社後のミスマッチ・早期離職の防止
- 資産となる採用コンテンツの蓄積
- 長期的な採用コストの削減
たとえばショート動画で継続的に情報発信を行うことで、転職を考えていない人にも自社の情報を届けられるうえ、ファンを形成できるため将来的に転職を考えたときに応募してもらえる可能性があります。
また、職場のリアルも伝えられるため、自社への理解を深めた状態で入社してもらえ、早期離職を防ぐ効果が期待できるでしょう。さらにコンテンツは資産として残り続けるため、うまく活用すれば過去に投稿したコンテンツが継続的に候補者を集める仕組みをつくれます。
このように採用オウンドメディアの立ち上げには初期費用がかかりますが、コンテンツが蓄積されるほど採用媒体への依存度を下げられ、中長期的に見ると採用単価の改善につながります。
関連記事:新入社員の離職を防止するには?具体的な施策やおすすめサービスなどを紹介
採用オウンドメディアを持つデメリットと対処法
採用オウンドメディアにはメリットが多い一方、導入前に理解しておきたいデメリットもあります。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- コンテンツ制作・運用のリソースが必要
- すぐに直接応募につながるとは限らない
採用オウンドメディアは、公開すればすぐに多くの人が見て応募につながるわけではありません。たとえばSEO記事の場合、成果が出始めるまで1年ほどかかる場合もあります。SNSでも、フォロワーを形成するには地道な発信が欠かせません。
またコンテンツを作成するには、リソースが必要です。近年はAIの登場によりコンテンツ生成のハードルは下がりましたが、AI任せにしてしまうと不適切な情報を発信してしまったり、フォロワーの形成につながらない発信を行ってしまったりするため、ある程度は人の手が必要になります。
このような理由から、採用オウンドメディアは中長期的な目線をもってじっくりと取り組む必要があります。すぐに人材を採用したい場合は、最初は採用媒体の併用も考えてみてもよいでしょう。
採用オウンドメディアを成功させるためのポイント
採用オウンドメディアは「なんとなく」で運用しても成功しにくいです。採用オウンドメディアを成功させるにはどうすればよいか、ポイントを解説します。
ターゲットペルソナを明確にする
まずは「誰に読んでほしいか」を最初に定義することが大切です。想定読者(ペルソナ)が曖昧なままだと、記事のトーンや切り口がバラバラになり、読者に刺さるコンテンツが生まれません。
たとえば「30代のエンジニアで、大手からスタートアップへの転職を検討している」といった具体的なペルソナを設定することで、制作すべきコンテンツの方向性が定まります。
自社の「らしさ」が伝わるコンテンツを設計する
差別化の鍵は、他社には出せない「自社固有の情報」を発信することです。効果的なコンテンツ例を以下に示します。
- 社員インタビュー(入社理由・仕事のやりがい・職場の雰囲気など)
- 社長インタビュー(創業したきっかけ、会社に対する思いなど)
- 他社にはない自社の強みの紹介
- 社内制度・福利厚生の活用事例
- 仕事の失敗談や会社の課題 など
自社をアピールする内容はもちろん、現状の課題や失敗談など「キレイではない本音の情報」を投稿することで、採用オウンドメディアを見ている人からの共感を得やすくなります。
SEO・SNS拡散を意識した発信設計を行う
SEO対策とは、検索エンジンに表示されるよう意識したコンテンツを投稿することです。コラムやインタビューとは異なる独特の書き方があり、うまくいけば検索から読者が自社メディアに流入してくれます。
SNSも同様、アルゴリズムを意識した発信を行うことで、より多くのユーザーの目に留まるようになります。情報をただ発信するだけでなく、より多くの人の目に触れるよう意識することが、採用オウンドメディアを成功させるうえで重要です。
KPIを設計し、継続的に改善する
成果を可視化するために、フェーズごとのKPIを設計しましょう。
| フェーズ | KPI例 |
|---|---|
| 認知 | 月間PV数・ユニークユーザー数・SNSフォロワー数 |
| 共感 | 平均滞在時間・直帰率・記事シェア数 |
| 行動 | 採用ページへの遷移率・応募数・面接設定率 |
月次でデータを確認し、反応の良い記事の傾向を分析して次のコンテンツに活かすPDCAサイクルを回すことが、長期的な成果につながります。
関連記事:採用戦略を成功させるにはKPI設定が必須!主な指標や設定方法を紹介
参考にしたい採用オウンドメディアの成功事例
実際に採用オウンドメディアを運営している企業の事例を5つ紹介します。自社の運営スタイルを検討する際の参考にしてください。
メルカリ「mercan」|社員のリアルな声で文化を伝える
メルカリが運営する「mercan(メルカン)」は、社員インタビューを中心に会社の”内側”を発信する採用メディアです。職種・部署を問わず幅広い社員が登場し、「どんな仕事をしているのか」を伝えることを意識した、会社の文化に対して理解が深まるようなコンテンツを発信しています。
参考:mercan(メルカン)
DeNA「フルスイング」|挑戦する姿勢をリアルに発信
DeNAの「フルスイング」は、「人」と「挑戦」を伝えることをコンセプトにした採用メディアです。プロジェクトの舞台裏や困難を乗り越えたストーリーを中心に、DeNAならではの挑戦するカルチャーを体感できる構成になっています。読み手が「自分もここで挑戦したい」と感じるような記事設計が参考になります。
サイボウズ「サイボウズ式」|多様性と共感をテーマに
サイボウズの「サイボウズ式」は、「新しい価値を生み出すチームのメディア」として、働き方の多様性や組織づくりをテーマに発信しています。採用目的に特化せず、チームワークや働き方に関心を持つ幅広い層に読まれるメディアに育てることで、潜在層の共感獲得に成功している事例です。
参考:サイボウズ式
マネーフォワード「#タイムズマネフォ」|等身大の採用広報
マネーフォワードが運営する「#タイムズマネフォ」は、社員の日常や想いをありのままに届けるスタイルが特徴です。飾らない等身大の発信が親近感を生み、「マネーフォワードで働くリアル」が伝わるメディアとして機能しています。コンテンツのトーンをカジュアルに保つことで、硬くなりがちな採用情報を読みやすく届けている点が参考になります。
参考:#タイムズマネフォ
Sansan「mimi」|働く人のインタビューメディア
Sansanの「mimi」は、社員一人ひとりの人物にフォーカスしたインタビューメディアです。仕事内容や経歴だけでなく、価値観やキャリア観まで深く掘り下げた記事が並んでいます。読んだ候補者が「こんな人たちと一緒に働きたい」と感じるような設計になっており、採用への自然な導線となっています。
参考:mimi
採用オウンドメディアの運用は外部のプロ人材と連携するのがおすすめ
採用オウンドメディアの立ち上げ・運用と、並行して採用戦略を推進するのは、社内リソースだけでは限界があることも多いでしょう。コンテンツ設計・媒体ごとの検索アルゴリズム対策・採用ターゲットの選定・候補者へのアプローチと、必要な仕事の内容は多岐にわたります。
こうした場合、外部のプロ人材と連携することで、ノウハウの補完とリソース不足の解消を同時に実現できます。採用ブランディングの設計から候補者へのアプローチまで一気通貫で支援できるパートナーを選ぶことが、採用成功への近道です。
採用オウンドメディアをはじめとした採用活動にお悩みであれば「coachee Agent Pro」を活用してみませんか?人事・採用のプロ人材が、貴社の採用課題の解決に向けて伴走させていただきます。
coacheeが企業の採用活動を支援した事例
最後に、coacheeの支援事例を紹介します。coacheeに仕事を依頼した場合、どのような支援を受けられるのか、参考になれば幸いです。
事例1|トヨタコネクティッド株式会社
トヨタコネクティッド株式会社は、モビリティサービス・ITソリューションを展開する企業です。人事担当者が複数部署を兼務しており、面接対応の負担が大きく、採用戦略の立案やPDCAの実施が困難な状態にありました。
そこでcoacheeでは、面接代行やスカウト品質の向上を中心に支援し、採用プロセスごとの歩留まりを可視化。人事担当者の相談役として心理的サポートも実施しました。その結果、カジュアル面談数が3ヶ月で140%増加し、人事戦略策定とPDCAサイクルの実施が可能な体制を実現しました。
関連記事:トヨタコネクティッド株式会社における採用プロセス最適化と戦略的リソース支援
事例2|大手自動車メーカーグループ DX事業部
新たなモビリティサービスの創出を目的に急成長中のDX事業部では、採用ノウハウが社内になく、採用の仕組み自体が未整備の状態でした。ターゲット人材の獲得に向けた体制構築が急務とされていました。
そこでcoacheeでは、採用フロー全体の可視化・業務プロセスの整理から着手し、ボトルネック特定・募集要項策定・スカウト戦略分析・半年間の採用計画策定まで包括的に支援。週次ミーティングによる継続的なサポートで、持続可能な採用基盤の確立とターゲット人材の獲得率向上を実現しました。
関連記事:大手自動車メーカーグループにおけるDX事業部の採用基盤構築支援
事例3|大手通信キャリア
通信・ITインフラ事業を展開する従業員1万名以上の大手企業で、300名規模の大量採用を推進するにあたり、幅広い職種での効率的な採用体制の構築が求められていました。特にデザイナー職など専門職種の採用が1年半以上にわたって難航していました。
そこでcoacheeは、現場管理職との要件調整・求人票作成・転職エージェント各社との連携・スカウトテンプレート作成・特集記事提案による母集団形成を一気通貫で支援。300名の採用枠を全て充足し、1年半採用できなかったデザイナー職の採用も2名成功させました。