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DEI(ディーイーアイ)とは?意味・必要な理由や戦略、事例をわかりやすく解説

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coachee 広報チーム
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「DEIって聞いたことはあるけど、具体的に何を指すの?」
「多様性推進が叫ばれる中、自社でも取り組みたいけど何から始めれば…」

このような悩みを抱えていませんか?

DEI(ディーイーアイ)とは、多様性・公平性・包括性の頭文字を取った言葉で、企業の競争力強化や人材確保に必要な経営戦略として注目を集めています。本記事では、DEIとは何かや日本企業の取り組み事例、成功戦略まで詳しく解説します。

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 DEI(ディーイーアイ)とは、Diversity(多様性)・Equity(公平性)・Inclusion(包括性)の頭文字を取った言葉

DEIとは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字で構成される言葉です。互いの違いを尊重しながら、誰もが能力を発揮しやすい状態を整える取り組みを指します。単に「女性活躍」など特定の層に焦点を置く取り組みではなく、多様な背景を持つすべての人が働きやすい組織づくりを目指す点が特徴です。

多様な人材が力を出しやすい環境づくりは、SDGsが掲げる「ジェンダー平等」「働きがい」「不平等の解消」などの領域ともつながり、企業の社会的評価にも影響します。

参考:日本ユニセフ協会「SDGs17の目標

また、日本能率協会の調査では、85.7%の企業が「DEIに取り組んでいる」と回答しており、組織運営の基盤として欠かせない要素です。

出典:株式会社日本能率協会マネジメントセンター「DEIの取り組みは85%以上だが「社内全体に浸透」はわずか7.8% 『柔軟な働き方』推進の裏で、DEIの取り組みは社員に届いていない?企業の現実

 Diversity(多様性)の意味

Diversity(多様性)とは、個人や集団の間に、背景や特性の違いが存在する状態のことです。

性別や年齢、文化、言語、価値観、身体的条件、経験の有無など、人はそれぞれ異なる要素を持っています。DEIにおける多様性は、こうした違いを「障壁」ではなく「価値」として捉えます。

多様性を受け入れる職場では、異なる視点が尊重され、柔軟な発想や斬新な意見が出やすくなります。実際、異文化や異なる専門性を持つ人が集まることで、創造性や問題解決力が高まり、組織としての競争力も向上するでしょう。

 Equity(公平性)の意味

Equity(公平性)とは、一人ひとりの背景やニーズに応じて、必要な支援や環境を調整し、誰もが実力を発揮しやすい状態をつくる考え方です。

DEIにおける公平性は「すべての人に同じものを与える平等(Equality)」とは異なり、異なる条件にある人に対して“それぞれの状況に適したサポート”を行うことを重視します。

例えば、子育て中の社員には柔軟な勤務時間の提供、高齢者には身体的負担の軽減措置の実施など、それぞれが力を出せるよう環境を整える工夫が求められます。

Inclusion(包括性)の意味

Inclusion(包括性)とは、多様な背景を持つすべての従業員が、職場で受け入れられ、自分の存在や意見が尊重されていると感じられる環境を指します。

DEIの包括性は「ただ在籍している」だけではなく「その場にいて意見が反映される状態」に重きを置いています。

具体的には、職位や年齢に関係なく自由に意見を述べられる会議、周囲が傾聴する雰囲気、対話を通じて意思決定に関われる体制などが挙げられます。

 DEIはなぜ必要?

この章では、DEIが必要な理由を解説します。

 1.労働力不足に対応し、多様な人材を活かすため

日本では、今後ますます労働人口の減少が進むと見込まれているため、DEIを推進して多様な人材を活用できる組織づくりが重要です。

例えば、独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した推計によれば、労働力人口は2022年の 6,902万人から、2030年に 6,556万人に減少すると予測されています。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023 年度版 労働力需給の推計(速報)

こうした人手不足に対応するためには、DEIを推進して、これまで十分に活用されてこなかった人材(女性、高齢者、外国籍人材、障がいのある方など)を含め、誰もが能力を発揮できる環境づくりが欠かせません。

さらに、多様な背景を持つ人々が集まることで、組織内に異なる価値観や経験が持ち込まれ、新しい発想やアイデアの創出にもつながります。これは、イノベーションの促進にも効果をもたらします。

 2.働き方や価値観の多様化に対応し、企業の魅力を高めるため

DEIが必要とされるもう一つの理由は、変化する社会の価値観に対応し、選ばれる企業としての魅力を高めるためです。

現代では、仕事選びの基準が「給与や安定」だけでなく「自分らしく働けるか」「公平に評価されるか」といった価値観へとシフトしています。

実際に、以下のようなニーズを持つ求職者が増えています。

  • ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方(リモート、時短など)
  • 副業や兼業によるキャリアの自律
  • 心理的安全性が確保された職場環境

こうした多様な価値観を受け入れる姿勢は、企業の採用ブランディングを強化し、優秀な人材の確保と定着に直結します。

また、多様性を尊重する文化は、対外的な企業イメージの向上だけでなく、既存社員のエンゲージメント(貢献意欲)も高めます。

 DEIを設計・見直す際の4つの成功戦略

ここでは、DEIを設計・見直す際の戦略を解説します。

1.自社の課題・困りごとをヒアリングし、ボトムアップで制度を設計

実効性のあるDEIを推進するためには、経営層主導のトップダウンではなく、現場の声を吸い上げる「ボトムアップ型」での制度設計が成功のカギです。

上から一方的に与えられた目標や制度は、現場の実情と乖離しやすく、形骸化するリスクがあります。だからこそ「介護との両立が不安」「女性管理職の前例がなくイメージが湧かない」といった、現場のリアルな「困りごと」をヒアリングすることから始めましょう。

例えば、ある企業では「男性の育児休業取得率100%」という実績を支えるため、単なる制度整備ではなく、社員の声を反映した設計プロセスに力を入れました。育休を希望する男性社員が不安なく取得できるよう、上司・同僚との丁寧な対話の場を設け、収入面の不安を払拭するためのシミュレーション支援も実施しています。

その結果、制度は単なる「制度」としてではなく「誰もが使える仕組み」として根づいていきました。

このように、制度の中身だけでなく、どう作るかというプロセスそのものが、社員の納得感と当事者意識を高めます。

2. 属性だけでなく公平な機会・制度を与える

DEIを考えるうえで欠かせないのが、特定の属性に限定せず、すべての人が力を発揮できる機会を用意することです。

特定の属性だけに注目した施策は、他の視点を見落とすリスクがあります。日本では、性別や年齢など“見えやすい”属性に焦点を当てた制度が中心になりやすい傾向にあります。一方で、キャリアや家庭状況、働き方の志向といった“見えにくい”多様性が十分に考慮されないことが課題です。

そのため「誰が対象か」よりも「誰でも使えるか」という視点で制度を設計することが重要です。

誰もが活用できる例として、勤務時間や雇用形態に関係なく、社員一人ひとりが商品企画から販売までを担当できる「プロダクトオーナー制度」を導入している企業もあります。この仕組みにより、育児や介護との両立などでフルタイム勤務が難しい人でも、主担当として挑戦できる環境が整っています。

3.無意識の偏見を払拭する仕組みを作る

組織の公平性を保つためには、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を自覚し、影響を減らす仕組みづくりが欠かせません。

人は誰しも、育った環境や経験によって無意識の思い込みを持っています。しかし、これが採用や評価の場面で働くと、本人の能力とは無関係な理由で不公平な扱いをしてしまう原因になります。

対策として有効なのが、ワークショップなどの研修です。自身の判断の癖を客観的に振り返ることで「リーダーには男性が向いている」といった隠れた偏見に気づくきっかけになります。

個人の意識変革に加え、評価基準のチェックリスト化といった「仕組み」での対策も重要です。多角的なアプローチでバイアスの影響を抑えることが、誰もが公平なチャンスを得られる企業文化につながります。

4.心理的安全性を高める

心理的安全性とは、メンバーが「自分の意見を言っても否定されない」「質問をしても咎められない」と確信できる状態のことです。

DEI推進において、この土台作りは欠かせません。どれだけ多様な人材を集めても、本音で話せない環境では、新しいアイデアや視点が埋もれてしまうからです。

実践例として、リーダーが率先して自身の失敗談を共有する方法があります。「リーダーでも失敗する」という姿を見せることで、メンバーは「失敗を報告しても大丈夫だ」と安心し、率直な意見交換ができるようになります。

 日本企業(coachee株式会社)のDEIの取り組み事例・具体例を解説

弊社coachee株式会社では、自社制度の設計・運用に加え、クライアント企業への支援を通じて、さまざまなDEI施策を実践してきました。

本章では、coacheeが取り組むDEI事例を「自社での制度構築」と「顧客企業への支援事例」という2つの側面から紹介します。

働き方・価値観の多様性を尊重する制度設計

coachee株式会社では、従業員の多様なライフスタイルやキャリア観に対応した、以下のような制度を整えています。

取り組み例内容
フルリモート勤務・柔軟な勤務時間の導入育児や介護など、個々の生活事情に応じた働き方を実現
複業・兼業の推奨社外での挑戦を通じて、個人の成長と視野拡大を後押し
個人主導の目標設定上司からのトップダウンではなく、社員自身が自ら目標を設計
“義務と権利”を明確に分けた目標設計制度最低ラインの“義務”と「どこまで挑戦するか」という“裁量”部分を分けて定義。各自が自分のペースで挑戦できる設計

これらの制度におけるポイントは、会社が一方的に管理するのではなく、社員の「自律」を尊重している点です。

たとえば「義務と権利を分けた目標設計」は、個々のキャリアフェーズや家庭の状況に合わせて、挑戦のハードルを自分で調整できる仕組みです。これにより、一律の基準では評価されにくかった人材にも、公平な成長機会(Equity)を提供できます。

【coacheeの働き方】ーもっと人は自由に創造的にはたらけるー

多面評価制度の導入により、社員のモチベーション向上

DEIを推進するうえで重要なのが、現場の実態に即した公平な評価制度を構築することです。coacheeでは、自社だけでなくクライアント企業に対しても、DEIの観点を取り入れた制度設計を支援しています。

例えば、ある請負・人材サービス業の企業では、離職率の高さが課題でした。そこで、現場担当者による多面評価を基軸とした評価制度を導入し、スタッフ一人ひとりの働きぶりを多角的に把握できる仕組みへと再構築しました。

具体的には、評価項目を5つに絞り、スマートフォンなどから簡単に入力できるシステムを整備しています。さらに、評価結果に連動した昇給制度も併せて導入し、パフォーマンスの高いスタッフに正当に報いる設計としました。

その結果、評価に対する納得感が現場全体に浸透し、協力体制やモチベーションが高まっただけでなく、離職率の改善にもつながりました。

関連記事:請負業界における多面評価制度導入と離職率低下への貢献

 DEIに関するよくある質問(Q&A)

ここでは、DEIに関して寄せられる2つの質問と回答を紹介します。

Q1.DEIとD&Iの違いは?

違いは「公平性(Equity)」が含まれる点です。D&Iが多様な人材の受け入れを目指すのに対し、DEIは個々の事情に応じた支援までを重視します。

Q2.DEIが失敗する理由は?

主な原因は、現場の理解不足による「制度の形骸化」です。上層部だけでルールを作っても、現場の実情に合わなければ活用されません。

形だけの運用を防ぐには、社員の声を反映した制度設計と継続的な対話が不可欠です。

本記事で紹介した「DEIを設計・見直す際の4つの成功戦略」を参考に、現場が納得できる運用を目指しましょう。

DEIは採用戦略にも活用できる

採用の現場において「多様性(Diversity)」「公平性(Equity)」「包括性(Inclusion)」の視点を加えることで、これまでリーチできなかった人材層へのアクセスが広がり、優秀な人材の採用につながります。

以下では、多様な人材の採用につながる3つの具体的なアプローチを整理しました。

項目概要具体例・
多様な人材が応募しやすい採用設計スキルや経験だけでなく、キャリアチェンジ希望者やブランクのある人も視野に入れた募集枠の設定採用条件の見直しやチャネルの多様化により、幅広い層の人材にアプローチ
偏りのない選考プロセスの構築応募者が自分らしさを示せるよう、公平な選考環境を整える面接官へのアンコンシャスバイアス研修、事前に評価基準を開示するなどの施策が有効
入社後を見据えた魅力づけ多様な働き方やサポート制度を採用段階から明確に伝えることで、応募動機や入社後の期待を高める柔軟な勤務制度、育児・介護支援、キャリア支援体制の紹介などが採用段階での安心感につながる

coachee人事シェアでは、上記の採用戦略を推進できる人材紹介が可能です。数百名・数千名の採用に関わってきたプロの人事がDEIも考慮した採用戦略を設計しますので、気になる方はまずはご相談ください。

関連記事:採用戦略の立て方とは?得られる3つのメリットや注意点も徹底解説

関連記事:人事顧問とは?採用戦略を成功させるためのポイントを解説

 DEIを推進できる人材の採用ならcoachee人事シェア

DEIとは、多様性・公平性・包括性の頭文字を取った言葉です。

DEIを推進することで、イノベーションの創出や優秀な人材の獲得、企業価値の向上といったメリットが得られます。本記事で紹介した成功戦略や事例を参考に、自社の状況に合わせたDEI施策を検討してみてはいかがでしょうか。

DEI推進においては、採用段階から多様な人材を受け入れる体制を構築することが必要です。しかし「DEIを意識した採用戦略の立案方法がわからない」「公平な評価基準の設計に課題がある」といった悩みを抱えている方もいるでしょう。

こうした採用課題の解決には、専門知識を持つ人事のプロフェッショナルに相談するのも有効な選択肢です。

「coachee人事シェア」には、採用戦略の立案から実行までを熟知したプロフェッショナルが多数在籍しています。

多様な人材の採用戦略でお悩みの方は、採用支援の専門家が在籍する「coachee人事シェア」のサービス内容をご確認ください。

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記事を書いた人
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coachee 広報チーム

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国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

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