転職潜在層は何で動くのか|面談48件で見た「情報収集段階」14名中12名(85.7%)が求めた2つの条件|coachee株式会社の画像
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転職潜在層は何で動くのか|面談48件で見た「情報収集段階」14名中12名(85.7%)が求めた2つの条件

hidechika-takahashi
coachee 広報チーム
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「スカウトを送っても、今すぐ動くつもりはないと言われる」「カジュアル面談までは進むのに、応募につながらない」。IT・DX人材やハイクラス層の採用で、こうした声を人事の方からよく伺います。

いま転職市場で出会う候補者の多くは、すでに活動を始めている「顕在層」だけではありません。良い機会があれば検討したいが、急いではいない「転職潜在層」が一定数を占めています。そして転職潜在層は、顕在層と同じ訴求では動きにくい層でもあります。

本記事では、coachee株式会社が直近3か月に実施した候補者面談48件の記録を交差集計し、転職潜在層が何を判断軸にしているのかを数字で整理しました。結論を先に述べると、情報収集段階の候補者14名のうち12名(85.7%)は、「役割が広がるか」または「長く働けるか」を転職の判断軸にしていました。年収の低さを第一動機に挙げた人は0名です。

転職潜在層とは|面談48件のうち29.2%が「情報収集段階」だった

転職潜在層とは、転職の意思が固まっておらず、具体的な応募や選考には進んでいないものの、条件や機会次第で転職を検討する層を指します。すでに応募・選考を進めている「転職顕在層」と対になる言葉です。

今回の面談データでは、48名中14名(29.2%)が「時期は決めていない」「良いところがあれば」「まずは市場価値を知りたい」といった情報収集段階にありました。面談に来た候補者のおよそ3人に1人が転職潜在層ということになります。

転職潜在層は競合との奪い合いが起きにくい一方で、求人票やスカウト文面が響かなければ、そのまま現職に残る選択をします。母集団を広げたい企業にとっては、アプローチの設計次第で成果が大きく変わる層です。潜在層を中長期でつなぎとめる仕組みについては、タレントプールの作り方もあわせてご覧ください。

調査概要|面談58件から除外10件、48名を分析

面談48件の集計から見た転職潜在層の主要数値3項目(29.2%・85.7%・0%)のハイライト
  • 対象:coachee株式会社のキャリアアドバイザーが実施した候補者との初回面談・フォロー面談の記録
  • 期間:2026年6月30日〜2026年9月24日(直近約3か月)
  • 母数:面談メモ58件から、同一候補者の重複2件、議事録本文が生成されていない・判定材料がないもの8件(会話量不足・通信トラブル等)を除外し、48名(n=48)を分析
  • 主な対象層:PM/PMO、ITコンサル、社内SE・情報システム、開発・インフラエンジニア、IT部門の管理職・経営層など、IT/DX領域のミドル〜ハイクラス人材
  • 方法:各候補者の発言内容を18の判定軸(年収動機、勤務地・リモート条件、役割拡大志向、年齢・長期就業の論点化、他社選考の並行、転職時期など)でY/N判定し、交差集計

※個人が特定されないよう、実名・企業名・部署名は記載せず、数値は件数と比率のみで示しています。

転職潜在層14名中12名(85.7%)が求めたのは「役割」か「長く働けるか」

転職潜在層14名のうち役割拡大6名と長期就業6名の計12名(85.7%)を示す重なり図

情報収集段階にあった転職潜在層14名の転職理由を分解すると、次の2つにきれいに分かれました。

  • 役割・裁量の拡大を求める:6名(42.9%)|上流工程に関わりたい、PM・PLの経験を積みたい、より大きな責任と権限を持ちたい など
  • 長く働けるかを論点にしている:6名(42.9%)|定年後の処遇、何歳まで働けるか、会社の将来性 など

この2つの重複は0名で、合計12名(85.7%)が「役割」か「長く働けるか」のどちらかを判断軸にしていました。残る2名も、働き方の良さや現職でのやり残しを理由に挙げており、年収そのものを動機にした人はいません。

転職潜在層と顕在層の比較

転職潜在層14名と顕在層34名の比較。役割・長期就業85.7%対61.8%、勤務地条件21.4%対52.9%、並行選考14.3%対52.9%、年収ダウン許容7.1%対23.5%

同じ判定軸で、すでに活動中の転職顕在層34名と比べると、違いがはっきり表れます。

判定軸転職潜在層(14名)転職顕在層(34名)
役割拡大または長期就業を判断軸にしている85.7%(12名)61.8%(21名)
勤務地・リモート可否を条件にしている21.4%(3名)52.9%(18名)
他社の選考が並行して進んでいる14.3%(2名)52.9%(18名)
条件次第で年収ダウンを許容すると明言7.1%(1名)23.5%(8名)
年収の低さが第一動機0%(0名)5.9%(2名)

顕在層は「勤務地・リモート」や「他社との比較」といった条件面で動いているのに対し、転職潜在層は条件面への言及が少なく、「その会社で自分の役割がどう変わるか」「その会社で長く働けるか」という中身を見ている傾向が読み取れます。また、転職潜在層は年収を下げてまで動く人がほとんどおらず、年収は「維持できれば良い」前提条件として扱われていました。

なお、今回の48名全体でも年収の低さを第一動機にした人は2名(4.2%)にとどまります。年収以外の動機については、以前の調査記事「年収では動かない44名」でも詳しく整理しています。

なぜ転職潜在層には年収や条件の訴求が届きにくいのか

理由1:比較相手が「他社」ではなく「現職に残る選択」だから

顕在層は複数社を並べて比較するため、年収や勤務条件の差が決め手になりやすくなります。一方、転職潜在層の約86%は他社選考を並行していません。比べているのは「今の会社に残った場合の自分」です。現職に大きな不満がない人ほど、多少の条件差では動く理由になりません。現職と比べて明確に違うもの、つまり役割の広がりや長期的な安心感が示されて、はじめて検討の土俵に上がります。

理由2:急いでいないため、情報が不足すると「保留」を選ぶから

転職潜在層は、判断材料がそろわない求人に対して無理に応募する必要がありません。「入社後にどの案件を任されるのか」「60歳以降の処遇はどうなるのか」が分からない段階では、検討を先送りにします。面談の中でも、市場価値や選択肢を知ったうえで、社内異動と社外転職を比較したいという声が複数ありました。

理由3:役割と長期就業は、求人票に書かれていないことが多いから

多くの求人票は、年収レンジ・勤務地・リモート可否・福利厚生といった条件面は丁寧に書かれています。しかし、転職潜在層が知りたい「入社後1年で担う役割」「決裁権限の範囲」「定年・継続雇用の上限」「同年代の在籍状況」は、記載が薄いか、面接で聞かないと分からないケースが少なくありません。潜在層が見ている情報と、企業が発信している情報がずれていることが、スカウト返信率やカジュアル面談後の応募率の低さにつながっていると考えられます。

転職潜在層へのアプローチ|役割と長期就業を先に示す5つの打ち手

転職潜在層へのスカウト文面をNG(条件のみ)とOK(役割と長期就業を先に示す)で対比した図

ここからは、面談データから見えた判断軸をもとに、転職潜在層へのアプローチで企業側が取り組める打ち手を整理します。記載例はいずれも例示であり、自社の制度・体制に合わせて調整してください。

打ち手1:スカウト文面の冒頭で「任せる役割」を具体的に書く

転職潜在層のうち6名は、役割・裁量の拡大を判断軸にしていました。スカウトの冒頭を年収や福利厚生で始めるのではなく、「どの案件で、どの工程を、どの権限で担うのか」から書くことで、現職との違いが伝わりやすくなります。

  • NG(例示):「年収900万円〜/フルリモート可/ご経験を活かせるポジションです」
  • OK(例示):「入社後は基幹システム刷新(体制15名)の要件定義からPMとして参画いただき、ベンダー選定の決裁にも関わっていただく想定です」

打ち手2:定年・継続雇用・60歳以降の処遇を求人票に明記する

もう半数の6名は「長く働けるか」を判断軸にしていました。定年年齢、継続雇用の上限、役職定年の有無、60歳以降の給与水準の考え方などは、候補者が面接で聞きにくい項目です。求人票やカジュアル面談の資料に先に書いておくことで、潜在層が検討を先送りにする理由を一つ減らせます。

打ち手3:カジュアル面談を「選考」ではなく「判断材料の提供」の場にする

転職潜在層は、他社と比較しているのではなく、現職に残るかどうかを考えている段階です。カジュアル面談で志望動機を確認するよりも、配属予定チームの体制、直近の案件、入社1年後の役割イメージを具体的に伝えるほうが、次のステップに進みやすくなります。進め方の基本はカジュアル面談の進め方・質問例で解説しています。

打ち手4:「今すぐでなくてよい」前提で接点を保つ

転職潜在層の並行選考率は14.3%にとどまり、比較検討のスピード勝負にはなりにくい層です。一度の接点で結論を求めず、半年後・1年後の再接触を前提に、案件や組織の変化を定期的に共有する運用が有効です。タイミングが合った瞬間に最初に思い出してもらえる関係をつくることが、潜在層採用の成果につながります。

打ち手5:条件面のアピールは「維持できる」ことの提示にとどめる

転職潜在層で年収ダウンを許容した人は1名のみで、多くは現年収の維持を前提にしていました。年収の上積み幅を強調するよりも、「現年収水準を維持したうえで、役割がこう広がる」という見せ方のほうが、潜在層の判断軸に沿ったメッセージになります。

転職潜在層の採用でよくある質問

Q. 転職潜在層はどのくらいの割合でいますか?

A. 今回の面談データでは、48名中14名(29.2%)が情報収集段階の転職潜在層でした。ただし母集団の集め方や職種によって割合は変わるため、自社のスカウト返信者やカジュアル面談参加者の内訳を確認することをおすすめします。

Q. 転職潜在層には年収を上げて提示すれば動きますか?

A. 今回のデータでは、転職潜在層で年収の低さを第一動機にした人は0名でした。年収の提示だけで動く可能性は高くないと考えられ、役割や長期就業に関する情報とあわせて提示することが重要です。

coachee Agent Proでできること

coacheeの人材紹介サービス「coachee Agent Pro」は、IT/DX人材・ミドル〜ハイクラス人材の採用を支援しています。キャリアアドバイザーが候補者一人ひとりと面談し、年収や勤務条件だけでなく「どんな役割を求めているか」「どのくらいの期間働きたいか」といった判断軸まで把握したうえで、企業様にご紹介します。

  • 転職潜在層を含む候補者との面談データをもとにした、求人票・スカウト文面の改善提案
  • 入社後の役割・長期就業に関する情報を、候補者の関心に合わせて事前にお伝えする橋渡し
  • すぐには動かない候補者との中長期的な関係づくりの支援

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まとめ|転職潜在層には「役割」と「長く働けるか」を先に示す

  • 面談48件のうち、14名(29.2%)が情報収集段階の転職潜在層だった
  • 転職潜在層14名中12名(85.7%)は、「役割拡大」か「長く働けるか」を判断軸にしていた
  • 勤務地条件(21.4%)や他社選考の並行(14.3%)は顕在層(ともに52.9%)より大幅に少なく、年収を第一動機にした人は0名だった
  • スカウトや求人票では、任せる役割と長期就業に関する情報を条件面より先に示すことが、潜在層へのアプローチの起点になる

「スカウトの返信はあるのに応募につながらない」「潜在層にどうアプローチすればよいか分からない」という企業様は、ぜひcoacheeにご相談ください。

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記事を書いた人
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国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
皆様に採用や人事業務に役立つ情報を提供します。

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