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内部通報制度とは?企業側のメリットや導入・運用のポイントを解説

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coachee 広報チーム
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「内部通報制度とは何だろう」
「自社でも導入しなければいけないのだろうか」

このように悩んでいる企業担当者の方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、内部通報制度の概要や導入するメリット、うまく運用するためのポイントなどを紹介します。

事業規模によっては内部通報制度の導入が義務になっていたり、企業の不祥事が外部に流出しやすくなったりする、といったリスクがあります。適切に内部通報制度を導入・運用して、社員を守るための仕組みを作りましょう。

内部通報制度をはじめとした人事・労務管理に不安のある企業担当者の方は、この機会に人事のプロに相談してみませんか?coachee人事シェアでは、人事・労務に精通したプロ人材が多く在籍しています。必要に応じてスポットで仕事を依頼できるため、ぜひチェックしてみてください。

内部通報制度とは?

内部通報制度とは、企業の中で発生した不具合や不祥事を早期に発見して、企業及び社員を守る仕組みのことです。

一定の条件を満たした企業は、社内に内部通報の専用窓口を設ける必要があります。通報を受けた場合、企業側は通報した人に対して不利益な扱いをしてはいけません。たとえば通報した人を減給・降格したり解雇したりするのは、公益通報者保護法に違反する可能性があります。

さらに専用窓口の担当者には守秘義務が課されており、通報した人を特定できるような情報を口外してはいけません。秘密を漏らした場合、30万円以下の罰金が科される恐れがあります。

(公益通報対応業務従事者の義務)第十二条 公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者は、正当な理由がなく、その公益通報対応業務に関して知り得た事項であって公益通報者を特定させるものを漏らしてはならない。
(中略)
第二十一条 第十二条の規定に違反して同条に規定する事項を漏らした者は、三十万円以下の罰金に処する。

引用:公益通報者保護法|e-Gov

内部通報の対象となる行為

公益通報者保護法によると、内部通報の対象となる事実について下記のように記載されています。

3 この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)

引用:公益通報者保護法|e-Gov

つまり下記のような犯罪行為を行った場合は、内部通報の対象となります。

  • 社員が資金を横領している
  • 不正な会計処理を行っている
  • 社員が性犯罪に該当する行為を行っている
  • 安全検査の結果をごまかしている
  • 労災を隠している
  • 残業代の不払いをごまかしている
  • 商品に掲載する内容をごまかしている
  • 行政に対して虚偽の届け出をしている など

参考:組織の不正をストップ!従業員と企業を守る「内部通報制度」を活用しよう|政府広報オンライン

内部通報制度が生まれた背景

内部通報制度ができる以前にも、企業による不正やそれを目撃した社員による暴露といった事例が過去にありました。しかし内部通報した人が解雇されたり左遷されたりといった不当な扱いを受けるケースがあり、不利益な扱いを受けることが問題となっていたのです。

たとえば内部通報制度がないと「告発を行ったところで自分が会社を辞めざるを得なくなるリスクがあるから、見て見ぬふりをしよう」といったことを考えやすくなるでしょう。

そこで政府は2006年に内部通報制度を導入、2022年に改正を重ねて、内部通報者を守るための仕組みを整えました。

内部通報制度の導入対象となる企業

アルバイトや契約社員、派遣社員などを含めて従業員が300人を超える企業は、内部通報制度を導入しなければいけません。なお従業員数が300人以下の企業については、内部通報制度の導入は努力義務となっています。

3 常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。

引用:公益通報者保護法|e-Gov

内部通報を行える対象となる人

内部通報を行える対象者は、その企業で働いている社員全員です。正社員(役員含む)だけでなく派遣社員やアルバイト、業務委託の人も対象となります。民間企業だけでなく公務員も対象です。

また、既に退職した人も1年以内であれば内部通報を行える対象者となります。

内部通報制度を導入しない場合のペナルティ

社員300人を超える企業規模にもかかわらず内部通報制度を導入・整備しない場合、消費者庁から行政措置を受けるリスクがあります。悪質な場合は企業名が公開されたり20万円以下の科料を科されたりする場合もあります。

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)第十五条 内閣総理大臣は、第十一条第一項及び第二項(これらの規定を同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
(中略)
第二十二条 第十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。

引用:公益通報者保護法|e-Gov

このように300人を超える企業は、内部通報制度を適切に導入・運用しないとペナルティを課されるリスクがあります。内部通報制度の導入や運用方法にお悩みの方は、この機会にcoachee人事シェアを活用して、人事・労務のプロ人材に相談してみてはいかがでしょうか?

内部通報制度を導入する企業側のメリット

内部通報制度を導入すると、企業側にどのようなメリットがあるのか紹介します。

問題を早期に発見・対処できる

組織内で不正が発生した場合、内部通報制度を導入していれば早期に問題を察知して対処しやすいです。

たとえば社内で検査結果を不正に改ざんしていた場合、内部通報制度がないと「どこに相談したら良いのかわからない」「関係者に告発した内容を漏らされないだろうか」と不安になってしまい、なかなか告発しにくいです。

しかし内部通報制度を導入していれば、専門窓口があるうえに相談した内容は秘密にしてもらえるため、安心して不正を告発しやすいです。その結果、社内で問題を隠蔽されるリスクが減り、健全な組織運営を行いやすくなります。

自浄作用のある組織として認識されやすい

内部通報制度を導入・運用することで投資家をはじめとした外部の人から「自浄作用のある組織」と認識されやすくなります。

もし自浄作用のない組織だと、社内の不正が改善されず続いてしまったり、外部の報道機関に直接通報されてしまったりするリスクが高くなります。自浄作用がなく不正が続いてしまうと、何かのきっかけで不正がばれたときに、企業の存続を揺るがすほど大きなインパクトとなりかねません。

企業側としては、内部通報制度を導入することで自浄作用を高め、不正の発生リスクを低減したり何か問題が発生しても問題が大きくならないうちに改善したりできます。また投資家からも「内部通報制度をうまく運用している」と評価され、企業価値の向上にもつながる可能性があります。

関連記事:労務コンプライアンス15のチェックリスト!違反事例や作成の流れを解説 

取引先から信頼を得やすくなる

内部通報制度を導入・整備することで、取引先からの信頼を得やすくなります。

実際に内部通報制度を導入している事業者に対してアンケートを行ったところ、取引先の選定にあたって内部通報制度の整備・運用状況を「十分に考慮している(3.8%)」「ある程度は考慮している(25.5%)」となっています。

平成28年(2016年)の7〜9月に実施された調査のため少し古いデータではありますが、現在も内部通報制度の導入状況を取引先の選定時にチェックしている企業は一定数あるでしょう。

参考:平成 28 年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査 報告書|消費者庁

内部通報制度を導入する流れ

これから内部通報制度を導入する企業は、下記の流れで導入を進めましょう。

  1. 担当する部署・窓口を選定する
  2. 担当者の選定を行う
  3. 担当者への研修を行う
  4. ルールを言語化してマニュアルにまとめる
  5. 社員全体に周知徹底する

各工程でどのようなことをするのか解説します。

参考: 公益通報者保護法をご存じですか?|消費者庁

担当する部署・窓口を選定する

内部通報制度の導入が決まったら、担当する部署と窓口を選定しましょう。

通報する人が相談しやすい部署や担当者を選ぶことをおすすめします。通報窓口は、企業の外部にも設置でき、ハラスメント窓口との兼用も可能です。

上層部からの妨害や不正といったリスクを低減するためにも、通報内容は社外の取締役や監査役に報告する体制とするのも良いでしょう。

担当者の選定を行う

担当部署が決定したら、次は担当者を選定しましょう。

内部通報を受け付ける窓口の人は守秘義務を負うため、約束を守れる人や口の硬い人を選定するのがおすすめです。

担当者への研修を行う

本人の資質に頼るだけでなく、担当者への研修を実施することも重要です。

消費者庁が公開している「内部通報制度導入支援キット」には、通報窓口の担当者が理解しておきたい情報をまとめた動画やパンフレットなどが公開されています。これから内部通報制度を導入する企業は、ぜひチェックしておきましょう。

関連記事:【保存版】オンボーディングの成功事例10選!施策のポイントや実施の流れを解説 

ルールを言語化してマニュアルにまとめる

担当者への研修が終わったら、次は運用のルールをまとめてマニュアルを作成しましょう。マニュアルを作成することで、担当者が変わったり判断に迷ったりした時も正しい行動を取りやすくなります。

マニュアルを作成する際は「内部通報制度導入支援キット」の「内部規定例」ファイルも参考になるのでぜひチェックしてみてください。

社員全体に周知徹底する

内部通報制度の導入準備が整ったら、最後は社員全体に「内部通報制度を導入した」ことを周知徹底しましょう。内部通報制度を導入した企業でも「導入されていたことを知らなかった」「どのように通報すれば良いのかわからない」と、形骸化しているケースも珍しくありません。

何かあった時に社員が内部通報しやすいよう、導入したタイミングはもちろん定期的に社内報で取り上げるなど、周知徹底を心がけましょう。

内部通報制度をうまく運用するためのポイント

最後に内部通報制度をうまく運用するためのポイントをご紹介します。

  • 秘密保持を徹底する
  • 独立した通報窓口を設置する
  • 通報窓口を整備する
  • 通報者探しは厳禁とする
  • 通報者に対する不当な扱いも厳禁とする
  • 通報を受けた場合は調査を実施しなければならない
  • 公平な調査を行わなければならない
  • 調査後に適切な対応を行う

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

秘密保持を徹底する

内部通報を受けた場合、通報された内容は守秘義務の対象となります。情報を誰に・どこまで共有するかは、内部通報規定で明確に定義しておきましょう。

あわせて、秘密保持が破られた場合の処分をどのように行うか決めることも大切です。悪質な場合は懲戒処分を行うなど、適切な措置を実施することが求められます。

独立した通報窓口を設置する

経営陣から独立した通報窓口を設置することも重要です。大きな社内不正は経営幹部が関わっているケースも珍しくありません。そのため、総務や経理に通報窓口を設けてしまうと、経営陣からの妨害に遭うリスクが高まります。

不正を握りつぶされてしまわないよう、社外窓口の設置も検討してみましょう。たとえば、外部の弁護士や法律事務所が窓口になってくれる場合があります。

通報窓口を整備する

プライバシーが担保される方法で通報できるなど、通報窓口の運用方法を整備することも大切です。

たとえば対面で通報する場合、誰が部屋に入ったか第三者に分かってしまうような状況では、誰が告発したのか予想できてしまいます。電話で対応する場合も、担当者の会話内容が他の人に筒抜けになってしまうような状況は不適切です。

通報者が誰かわからないような環境を整備し、告発した人が守られるようにしましょう。

通報者探しは厳禁とする

告発があった場合でも、通報者を探し出すことは禁止としましょう。内部通報が行われて社内調査が始まった場合、当事者は「誰が告発したんだ」「犯人を見つけて報復してやる」といった感情を持ちやすいです。

通報窓口の担当者としては、そもそも通報があったことを秘密にして調査を行うこと、通報者の身元特定につながるような情報を共有しないこと、などといった対処法を取りましょう。

通報者に対する不当な扱いも厳禁とする

内部通報制度を導入する際は、通報者に対して不利益な対応を行わないよう明確に定めましょう。

「通報すると報復人事が行われる恐れがある」
「会社に居づらくなって退職を余儀なくされてしまうのではないか」

このような不安感を与えてしまうと、不正を発見しても通報されなくなるリスクが高まります。安心して通報できるよう、通報者に対する不利益な扱いを行わないことを明確に宣言しましょう。

通報を受けた場合は調査を実施しなければならない

内部通報を受けた場合は、対応が必要かどうか精査を行い、必要があれば適切な対応を取らなければなりません。

「通報を見逃していた」
「仕事が忙しくて報告を怠ってしまった」

このようなずさんな対応を行ってしまわないよう、通報を見逃さない仕組みづくりが大切です。

公平な調査を行わなければならない

通報を受けて調査を行う場合は、公平な姿勢で行わなければなりません。経営陣に配慮した調査を行ったり通報者の属性を見て態度を変えたりすると、不正を見逃してしまうリスクが高まります。

調査が後手に回ったり不公平な調査が行われたりすると、不信感を持った通報者が第三者機関(メディアや官公庁など)に告発を行ってしまいかねません。

調査はあくまでも公平な目線で行いましょう。必要があれば第三者機関をまじえることもおすすめです。

調査後に適切な対応を行う

調査が終わって違反行為が明らかになった場合は、速やかに適切な対応をとりましょう。違反者に対して是正措置を行ったり、通報者に対して対応内容を通知したりすることが大切です。

調査の結果特に問題はなければ、その旨を通報者に伝えましょう。

内部通報制度を適切に運用してクリーンな組織を目指そう

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本記事では内部通報制度について、制度の概要や導入するメリット、うまく運用するポイントについて解説しました。社員が300人を超える企業の場合は、内部通報制度の導入が必須です。300人以下の企業でも健全な企業運営を行うために、内部通報制度の導入を前向きに検討してみませんか。

とはいえ、内部通報制度を適切に導入・運用したいと考えている事業担当者の中には「うまく導入できるのだろうか」「適切に運用できているのか分からない」といった悩みを抱えている方もいるかと思います。このように悩んでいる方は、coachee人事シェアを活用してみませんか?

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記事を書いた人
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国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ高橋秀誓と、採用責任者、人事責任者などの豊富な経験を持つスタッフが率いるcoacheeの広報チーム。
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