ATS(Applicant Tracking System)とは、求人の作成から応募者管理、面接の日程調整、選考の進捗管理までを一つのシステムで一元管理できる採用管理システムです。
本記事では、ATSの基本機能や注目される理由、解決できる採用課題、自社に合った選び方、主要5サービスの比較、導入事例まで解説します。
ATSの全体像を把握し、自社の採用課題に合った仕組みづくりの参考にしてください。
なお、ATSの選定とあわせて採用戦略の設計や候補者のサーチからプロの力を借りたい場合は、DX/IT・CXO・HR領域特化・完全成功報酬型の人材紹介サービス「coachee Agent Pro」もあわせて検討してみてください。
ATS(採用管理システム)とは?
ATS(Applicant Tracking System)とは、求人の作成から応募者の管理、面接の日程調整、選考の進捗管理、内定者のフォローまでを一つのシステムで一元管理できる採用管理システムです。日本語では「採用管理システム」と呼ばれています。
多くのATSはクラウド型で提供されており、インターネット環境があればどこからでも操作できます。複数の求人媒体やエージェントからの応募情報を自動で取り込み、候補者ごとの選考状況をリアルタイムで把握できるのが特徴です。
なお、以下のような状況に該当する企業は、特にATSの導入効果が大きいといえます。
- 年間の採用人数が17名以上
- 複数の求人媒体・エージェントを併用
- 採用のスピード感が求められている
1つでも該当する場合は、無料トライアルや無料デモで使い勝手を確認してみることをおすすめします。
ATSが注目される3つの理由
ATSの国内市場規模は2024年度に約280億円に達し、2027年度には約350億円へと成長する見込みです。毎年市場が拡大しており、ATSは一時的なトレンドではなく採用インフラとして定着しつつあります。

出典:株式会社日本能率協会総合研究所 マーケティング・データ・バンク「採用管理システム市場2027年に350億円規模へ」
注目される理由は主に3つあります。
| 理由 | 背景 |
| 採用難易度の上昇 | 労働人口の減少と人材流動化で企業間の獲得競争が激化し、手作業の管理ではスピードが追いつかない |
| Excel・スプレッドシート管理の限界 | 複数媒体・エージェントを併用する企業が増え、候補者情報が分散。全体の選考状況を把握できないケースが多発している |
| データに基づく採用判断へのニーズ | 「どの媒体が成果につながるか」「どの段階で辞退が多いか」を数字で把握し、改善サイクルを回したい企業が増えている |
ATSには応募経路別の通過率や採用単価を自動で集計するレポート機能が備わっており、経験と勘に頼らないデータドリブンな採用活動を実現できます。
ATSの主要機能
ATSに搭載されている代表的な機能を以下の表に整理しました。
| 機能カテゴリ | 機能名 | 概要 |
|---|---|---|
| 求人管理 | 求人票の作成・公開 | テンプレートを使い、自社サイトや求人媒体に掲載する求人票を作成・管理する |
| 応募者管理 | 候補者データベース | 複数の媒体やエージェントからの応募者情報を自動で取り込み、一覧で管理する |
| 選考管理 | 選考ステップの設定・進捗管理 | 書類選考→一次面接→最終面接→内定など、選考フローを設定し、各候補者の進捗をリアルタイムで把握する |
| 日程調整 | 面接日程の自動調整 | Googleカレンダー等と連携し、面接官・候補者の空き時間を確認して調整する |
| コミュニケーション | メール・LINE連絡 | テンプレートを活用した一括送信や、LINE連携による候補者への連絡に対応する |
| エージェント管理 | 人材紹介会社との連携 | エージェントに候補者の推薦・選考状況の共有を行う専用画面を提供する |
| 分析・レポート | 採用データの可視化 | 応募経路別の通過率、選考ステップごとの歩留まり、採用単価などを自動集計・グラフ化する |
| 内定者管理 | 内定通知・入社手続き | 内定通知書の作成や入社前の情報収集を一元管理する |
多くのATSではこれらの機能がクラウド上で提供されており、インターネット環境があればどこからでも操作できます。
自社の採用規模や課題に応じて、どの機能が必要かを整理しておくと、サービス選定がスムーズに進みます。
ATSで解決できる課題|導入メリットを解説
ここでは、ATSで解決できる課題と導入メリットを解説します。
1. 媒体ごとに分散した応募者情報を一画面に集約できる
複数の求人媒体やエージェントを併用していると、応募者の情報が媒体ごとに分散します。
Excelに手作業で転記する運用では、入力漏れや重複登録が発生しやすく「この候補者は今どの選考段階にいるのか」が即座にわからない状態になりがちです。
ATSは各媒体からの応募情報を自動で取り込み、一つの画面で候補者を一覧管理します。重複チェック機能も備わっているため、同一候補者が複数の媒体から応募した場合にも対応できます。
2. 面接官のカレンダーと連動して日程調整を自動化できる
面接の日程調整は、面接官と候補者の双方の空き時間をメールや電話で個別に確認する必要があり、1件あたり15〜30分の工数がかかります。面接官が複数いる場合はさらに時間がかかるでしょう。
ATSはGoogleカレンダーやOutlookと連携し、面接官の空き時間を自動で抽出して候補者に提示できます。候補者が日程を選択すると自動で確定通知が送られるため、調整のやり取りを大幅に減らせます。
3. 合否連絡やリマインドを自動送信して候補者の離脱を防げる
書類選考の結果通知や面接のリマインドが遅れると、候補者は「この企業は対応が遅い」と感じ、選考辞退につながります。
ATSのテンプレートメール機能や自動送信機能を使えば、選考結果の通知、面接前日のリマインド、内定後のフォロー連絡を漏れなく・素早く送信可能です。実際に、ATSツールであるハーモス採用の導入企業の90%が「選考スピードが上がった」と回答しており、対応速度は候補者体験に直結しています。
4. 応募経路別の通過率・採用単価を自動で集計・比較できる
「どの媒体から優秀な人材が集まるのか」「この媒体は応募数は多いが通過率が低い」といった分析は、Excelなどでは手作業で集計する必要があり、忙しい採用担当者には手が回りません。
ATSは応募経路別の通過率、採用単価、選考ステップごとの歩留まりを自動で集計・グラフ化します。データをもとに「費用対効果の低い媒体への出稿を減らし、成果の高いチャネルに予算を集中させる」といった判断が可能になります。
5. 面接官ごとの評価傾向を可視化して選考の質を揃えられる
面接官によって評価基準がバラバラだと「Aさんは通過させたがBさんは不合格にした」といった判断のブレが生じます。選考の質が安定しないと、入社後のミスマッチにもつながりかねません。
ATSでは面接官ごとの通過率や評価傾向をレポートで確認できるため、評価基準のバラつきを数字で把握できます。評価シートのテンプレート機能を使えば、ポジションごとに「必須要件」「歓迎要件」を明文化し、面接官全員が同じ基準で選考を進められる仕組みを作れます。
ATS導入で採用課題を改善した事例
ATSの導入効果を具体的にイメージできるように、コネヒト株式会社の事例を紹介します。
同社のコーポレート部採用チームは、エンジニアやプロダクトマネージャーなどの中途採用を中心に活動しており
導入前の課題は、採用の進捗管理はできていたものの、定量的なデータに基づくPDCAサイクルが回せていなかった点です。
ATSの導入後、同社は応募概要レポートで各選考プロセスの通過率や応募状況を定量分析しました。
たとえば内定承諾率が低下した時期には、データ分析と入社者ヒアリングを掛け合わせて原因を特定し、1次・2次面接の設計を改善しています。
並行して、母集団形成を人材紹介会社中心からダイレクトリクルーティング中心に切り替え、スカウト型サービスの比率を全体の7割まで引き上げました。
定量データと定性ヒアリングの両面から課題を抽出し、施策に落とし込んだ事例です。
参考:データ分析による課題抽出で、ダイレクトリクルーティング比率が全体の7割に。選考途中の離脱数は3分の1に、内定承諾率は約2倍に向上!
自社に合ったATSの選び方【5つのチェックポイント】
ここでは、ATSの選び方を紹介します。
1. 新卒・中途・アルバイトなど自社の採用区分に対応しているか
ATSには新卒採用に特化したもの、中途採用向けのもの、新卒・中途の両方を一元管理できるものがあります。
新卒と中途を同時に進行している企業であれば、1つのシステムで管理できるサービスが適しています。アルバイト・パート採用が中心の企業は、シフト管理との連携に対応したATSを選ぶのがおすすめです。
2. 利用中の求人媒体・エージェントと連携できるか
自社が利用している求人媒体やエージェントとの連携可否は、ATS選定で重要な確認事項です。
連携が取れない媒体があると、応募者情報を手作業で転記する必要が残り、導入効果が減ってしまいます。
自社が使っている媒体名をリストアップし、候補のATSがどこまで対応しているかを確認してください。
3. 面接官や現場マネージャーが評価入力しやすい設計か
ATSを導入しても、採用に関わる全員が使いやすくなければ定着しません。確認すべきは「候補者への連絡手段」と「面接官の評価入力のしやすさ」の両面です。
候補者側では、LINE・メール・マイページなど複数チャネルでの連絡が可能かどうかを確認します。特に新卒採用ではLINEでの返信率が高く、LINEと連携できるシステムを選ぶと辞退防止や内定承諾率の向上につながります。
面接官側では、SlackやChatworkなどのビジネスチャットと連携して評価入力や日程調整を完結できるシステムが便利です。面接官がATSへの新たなログインを求められると入力が後回しになりやすく、選考スピードの低下を招きます。現場のメンバーが使い慣れたツール上で完結できる設計を選ぶことが、組織全体への浸透率を高めるポイントです。
4. セキュリティ対策(Pマーク・ISMS認証)が整っているか
ATSには応募者の氏名・住所・職歴など大量の個人情報が集まります。情報漏洩は企業の信頼失墜に直結するため、導入前にセキュリティの確認は必須です。
主なチェックポイントは以下の3つです。
- Pマーク(プライバシーマーク)またはISMS(ISO27001)の認証を取得しているか
- 役割ごとにアクセス権限を設定できるか
- 二段階認証やIPアドレス制限などの不正ログイン対策があるか
クラウド型ATSは利便性が高い反面、外部からのアクセスリスクも伴います。コストや機能だけでなくセキュリティ仕様も比較基準に加えてください。
5. 採用データの分析・改善提案まで含めた運用支援があるか
ATSを「管理ツール」で終わらせないためには、データ分析機能と導入後のサポート体制が重要です。
確認すべき分析機能は以下のとおりです。
- 媒体別・求人別の応募数・通過率・採用単価
- 選考フロー別の歩留まり率(辞退・不合格のボトルネック特定)
- 面接官別の通過率(評価の偏りを可視化)
「データを見ても改善策がわからない」という場合は、専任のカスタマーサクセスが改善提案まで行うサービスを選ぶと安心です。採用成果の向上まで伴走してくれるかどうかも、選定の比較軸に加えましょう。
主要ATS5選|特徴と料金を比較
ここでは、中堅企業の採用担当者が検討しやすい主要ATSサービスを紹介します。
| サービス名 | 料金目安 | 特徴 |
| ハーモス採用 | 個別見積もり | AI搭載の分析機能が充実。大手〜中堅企業の実績が豊富 |
| sonar ATS | 月額22,000円〜(初期費用0円) | 新卒・中途を一つのシステムで一元管理できる |
| ジョブカン採用管理 | 月額8,500円〜(初期費用0円) | 業界最安クラス。無料プランあり。ジョブカンシリーズとの連携が可能 |
| Talentio | 個別見積もり(無料プランあり) | 採用フローをノーコードで柔軟に設計できる。スタートアップから中堅企業まで対応 |
| HERP Hire | 個別見積もり(年間応募300名以下は無料) | 現場社員を巻き込みやすい設計。AI機能とSlack連携が充実 |
1. ハーモス採用|ビズリーチのAIとノウハウを採用管理に活かした総合型ATS

出典:ハーモス採用
ハーモス採用は、株式会社ビズリーチが提供するクラウド型ATSで、求人作成から書類選考・採用分析まで一つのシステムで完結できるのが特徴です。
ビズリーチが独自開発した「ビズリーチAI」を搭載しています。AIによる「求人文案の自動生成」と、応募書類と求人要件のマッチ度を判定する「書類判定アシスト」に対応しています。
2.sonar ATS by HRMOS|新卒・中途を一元管理できる

sonar ATSは、Thinkings株式会社が提供する採用管理システムで、新卒採用と中途採用などを一つのシステムで一元管理できる点が特徴です。
ノーコードで複雑な採用フローを設計できるため、新卒特有の多段階選考や複数ポジションの中途採用フローにも柔軟に対応できます。
業界最大級とするHRサービスとの連携実績を持ち、各種求人媒体・適性検査・Webカレンダーツールとの接続も容易です。
3. ジョブカン採用管理|無料プランから試せる業界最安クラスの採用管理システム

出典:ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理は、株式会社DONUTSが提供する採用管理システムで、業界最安クラスの料金設定とシンプルな操作画面が特徴です。
IndeedやGoogleしごと検索への自動掲載、候補者とのLINEメッセージ連携、カレンダー連携による日程調整機能を備えています。ジョブカン勤怠管理やジョブカン労務HRなど同シリーズとの連携で、バックオフィス業務の一元管理にも対応します。
4. Talentio|採用フローの柔軟な設計とデータ分析に強い採用管理システム

出典:Talentio
Talentioは、株式会社タレンティオが提供する採用管理システムで、採用フローの細かなカスタマイズと分析機能の高さが特徴です。
ノーコードで採用フローを自由に設計でき、評価フォームや選考ステップのテンプレートとして保存が可能です。
応募状況・選考通過率・評価者ごとの傾向など、採用データを多角的に把握できる分析機能も備えています。スケジュール自動調整やSlack・Googleカレンダーなど各種ツールとの連携にも対応しています。
5. HERP Hire|AI機能とSlack連携で現場を採用に巻き込めるATS

出典:HERP Hire
HERP Hireは、株式会社HERPが提供する採用管理システムで、現場のエンジニアや各部門メンバーを採用活動に巻き込みやすい設計と、AI機能の充実が特徴です。
Slack上で書類確認・面接評価・コメント入力まで完結できるSlack連携が強みで、現場メンバーがHERP Hireを直接操作せずに採用に参加できる仕組みです。
AIリクルーター機能では書類スクリーニング・面接の自動書き起こしと要約・メール文案生成などに対応しています。
ATS導入までの流れ
ATSを導入する際は以下のステップで進めましょう。
| ステップ | 内容 | ポイント |
| ①課題の特定 | 最も時間がかかっている採用業務を具体的に言語化する | 「面接調整に週3時間」「CSV転記に1日30分」など工数を数値化する |
| ②既存フローの整理 | 現行の選考ステップ・メールテンプレート・評価項目をドキュメント化する | 事前整理なしで契約すると初期設定に手間取る。準備済みなら2〜4週間で運用開始が可能 |
| ③サービスの選定 | 自社の採用区分・利用媒体・セキュリティ要件に合うATSを2〜3社に絞り、無料トライアルやデモで比較する | 面接官にも操作画面を触ってもらい「使えそう」の合意を取る |
| ④稟議・契約 | 現状の工数と損失を金額換算して経営層に提案する | 「候補者辞退が年○件」「面接調整の人件費が月○万円」など数字で説得力を高める |
| ⑤初期設定・運用開始 | 選考フロー・権限・メールテンプレートをATSに設定し、運用を開始する | まず1ポジションで小さく始め、運用を回してから全社展開すると定着しやすい |
なお、ATSの選定と並行して「そもそも採用戦略の設計や候補者のサーチからプロの力を借りたい」という場合は、DX/IT・CXO・HR領域に特化した人材紹介サービス「coachee Agent Pro」を検討してみてください。
完全成功報酬型のため、入社が決まるまで費用は発生しません。
ATS導入前に確認したい注意点とデメリット
ATSを導入する前に、以下の注意点も押さえておきましょう。
| 注意点 | 失敗例 | 対策 |
| ①多機能すぎて使いこなせない | 「将来使うかも」で高機能なシステムを選び、操作習得で手一杯になる | 今すぐ解決したい課題を1つ決め、その機能が確実に使えるシステムを選ぶ |
| ②安さ優先で連携機能が足りない | 媒体連携やカレンダー連携がオプション扱いで、導入後に「やりたいことができない」と判明する | 利用中の媒体・エージェントとの連携可否を契約前に確認する |
| ③現場が使ってくれない | 人事目線だけで選び、面接官がスマホで入力しにくい・ログインが手間で放置される | 導入前に面接官にも画面を触らせ、Slack等との連携も確認する |
ATSを活用して採用管理を仕組み化しよう
ATSを導入すれば、応募者管理・選考進捗・データ分析を一元化し、採用業務の工数を大幅に削減できます。まずは無料トライアルで操作感を確かめ、現場の声も取り入れて自社に合うサービスを選んでください。
ATSで採用プロセスを効率化しても「そもそも自社に合う候補者が集まらない」「採用戦略の設計から見直したいが、社内にノウハウがない」といった課題はシステムだけでは解決しにくい部分です。
そのような場合は、人材紹介サービスcoachee Agent Proもご検討ください。
coachee Agent Proは、DX/IT・CXO・HR領域に特化した完全成功報酬型の人材紹介サービスです。

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