「労使協定って、結局いくつ種類があるのか把握できていない」
「この協定は労働基準監督署に届け出が必要なのか、毎回調べ直している」
「就業規則と労使協定、どちらに何を書けばよいのか整理できていない」
労務管理を担当されている方であれば、一度は迷ったことがあるのではないでしょうか。労使協定は労働基準法のあちこちに散らばって規定されており、届出の要否も協定ごとに異なります。届出を忘れたまま制度を運用していた場合、その制度自体が無効と扱われるリスクもあります。
本記事では、労使協定の基本的な性質である「免罰効果」から、労働基準法上の種類と届出要否の一覧、過半数代表者の選出要件、実務でとくに使う協定のポイント、労働協約・就業規則との違い、違反時の罰則までを、条文と厚生労働省の資料にもとづいて整理します。自社の協定台帳を点検する際のチェックリストとしてお使いいただけるでしょう。
労使協定とは?法律上の義務を免れるための書面による取り決め
労使協定とは、事業場の使用者と労働者側の代表とが、書面によって締結する取り決めのことです。労働基準法は労働時間や賃金について強行的なルールを定めていますが、一定の事項については労使協定を結ぶことで、そのルールを外れた取り扱いが認められます。
労働基準法の各条文は、締結の相手方を次のように定めています。
当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定
この文言は、貯蓄金の管理(18条2項)から時間外・休日労働(36条1項)まで、労使協定を要求するすべての条文に共通しています。
労使協定の効果は「免罰効果」
労使協定を理解するうえで最も重要なのが、その効果は原則として「免罰効果」にとどまるという点です。厚生労働省の事業者向けサイト「スタートアップ労働条件」では、36協定について次のように説明されています。
出典:厚生労働省「スタートアップ労働条件|36協定について」
同サイトの説明によれば、36協定は従業員に時間外労働や休日労働をする義務を課すものではなく、法定労働時間を超えて労働させても労働基準法違反に問われないという効果を持つにすぎません。残業を命じる根拠は、労働契約または就業規則に別途定めておく必要があります。
つまり、労使協定は「刑事罰を免れるための鍵」であり、「労働者に義務を負わせる根拠」ではないということです。ここを取り違えると、協定は結んだのに就業規則に規定がなく、制度が機能しないという事態が起こります。
労使協定と就業規則はセットで整備する

奈良労働局の資料でも、労使協定は労働に関する命令を下すものではなく、使用者が労働者に命令権を確保するのは就業規則であるとしたうえで、労使協定の内容を就業規則に反映しなければならないと説明されています。
出典:厚生労働省 奈良労働局 監督課「労使協定とは」(2025年1月20日)
実際、厚生労働省のフレックスタイム制の手引きでも、導入要件は「就業規則等への規定」と「労使協定で所定の事項を定めること」の2点とされています。専門業務型裁量労働制の解説パンフレットでも、導入プロセスのなかに個別の労働契約や就業規則等の整備が明記されています。
就業規則そのものの位置づけについては、就業規則と労働基準法の関係|優先順位・記載事項と違反する7つのケースを解説で詳しく解説しています。
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労使協定を締結できる相手方と過半数代表者の要件
労使協定は誰と結んでもよいわけではありません。締結の相手方を誤ると、協定そのものが無効になります。
締結相手は、次の順序で決まります。
- 事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合|その労働組合
- 過半数労働組合がない場合|労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)
ここでいう「労働者」には、パートタイマー・アルバイト・契約社員も含まれます。管理監督者も母数には含まれる点に注意してください。
過半数代表者の2つの要件
過半数代表者の要件は、労働基準法施行規則6条の2に定められています。次の2つをいずれも満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 管理監督者でないこと | 労働基準法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと |
| 適正な手続で選出されたこと | 協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと |
同条3項では過半数代表者であることなどを理由とする不利益取扱いが禁止され、4項では使用者に対し、過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう必要な配慮を行う義務が定められています。
実務でよくある誤りは、次の3つです。
- 社長が指名した|使用者の意向に基づく選出にあたり、無効となります
- 親睦会の代表者を自動的に充てた|協定締結者を選ぶ目的を明らかにした手続を経ていないため不適正です
- 課長が代表になった|管理監督者に該当する場合は要件を満たしません
なお同条2項により、非管理監督者が事業場にいない場合には、貯蓄金の管理・賃金の一部控除・年次有給休暇関係・就業規則の意見聴取に限って、手続要件のみを満たせば足りるとされています。ただし36協定はこの緩和の対象外です。
厚生労働省も、不適正な手続で選出された過半数代表者と締結した36協定は無効になると注意喚起しています。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件|時間外労働・休日労働」
労使協定の種類一覧|届出が必要なもの・不要なもの

ここからは、労働基準法および育児・介護休業法上の労使協定を一覧で整理します。届出の要否は協定ごとに異なるため、根拠条文とあわせてご確認ください。
| # | 労使協定の種類 | 根拠条文 | 労基署への届出 | 様式 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 貯蓄金の管理(社内預金) | 労基法18条2項 | 必要 | 様式第1号 |
| 2 | 賃金の一部控除 | 労基法24条1項ただし書 | 不要 | ー |
| 3 | 1か月単位の変形労働時間制 | 労基法32条の2 | 必要 | 様式第3号の2 |
| 4 | フレックスタイム制 | 労基法32条の3 | 清算期間1か月以内は不要/1か月超は必要 | 様式第3号の3 |
| 5 | 1年単位の変形労働時間制 | 労基法32条の4 | 必要 | 様式第4号 |
| 6 | 1週間単位の非定型的変形労働時間制 | 労基法32条の5 | 必要 | 様式第5号 |
| 7 | 一斉休憩の適用除外 | 労基法34条2項ただし書 | 不要 | ー |
| 8 | 時間外・休日労働(36協定) | 労基法36条1項 | 必要 | 様式第9号ほか |
| 9 | 月60時間超の割増賃金に代わる代替休暇 | 労基法37条3項 | 不要 | ー |
| 10 | 事業場外みなし労働時間制 | 労基法38条の2 | 原則必要/協定の時間が法定労働時間以下なら不要 | 様式第12号 |
| 11 | 専門業務型裁量労働制 | 労基法38条の3 | 必要 | 様式第13号 |
| 12 | 企画業務型裁量労働制(労使委員会決議) | 労基法38条の4 | 必要(決議届+定期報告) | 様式第13号の2 |
| 13 | 時間単位年休 | 労基法39条4項 | 不要 | ー |
| 14 | 年次有給休暇の計画的付与 | 労基法39条6項 | 不要 | ー |
| 15 | 年休中の賃金を標準報酬に基づき支払う場合 | 労基法39条9項ただし書 | 不要 | ー |
| 16 | 育児休業・介護休業等の適用除外 | 育介法6条1項ただし書ほか | 不要 | ー |
一覧から読み取れる原則は、労働時間の枠組みを法定の原則から動かす協定は届出が必要で、賃金の支払方法や休暇の与え方を調整する協定は届出が不要という傾向です。ただしフレックスタイム制と事業場外みなし労働時間制には条件付きの例外があるため、個別に確認してください。
届出が必要な協定で注意したい2つの例外
フレックスタイム制については、労働基準法32条の3第4項ただし書が「清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない」と定めており、清算期間1か月以内であれば届出は不要です。2019年の法改正で清算期間の上限が3か月に延長されたため、1か月を超える設定にする場合は届出が必要になります。あわせて、清算期間が1か月を超える場合は協定に有効期間を定める必要があります(労働基準法施行規則12条の3第1項4号)。
制度設計の具体例は、スーパーフレックス制度とは?導入のメリット・デメリットや手順を解説でご確認いただけます。
事業場外みなし労働時間制については、労働基準法施行規則24条の2第3項ただし書により、協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には届出が不要とされています。また同条4項により、36協定届に付記して届け出ることも認められています。
有効期間の定めが必要な協定
すべての労使協定に有効期間が必要なわけではありません。奈良労働局の資料によれば、有効期間の定めが求められるのは次の協定です。
- 1か月単位の変形労働時間制
- 1年単位の変形労働時間制
- 36協定
- 事業場外みなし労働時間制
- 専門業務型裁量労働制
- 企画業務型裁量労働制の決議
- フレックスタイム制(清算期間が1か月を超える場合)
一方、賃金の一部控除や年次有給休暇の計画的付与などは、有効期間を定めなくても差し支えありません。もっとも実務上は、制度の見直し時期を明確にするため、すべての協定に有効期間を設ける運用が管理しやすいでしょう。
実務で使う頻度が高い労使協定4つのポイント
種類は多くても、多くの企業で実際に締結されるのは限られています。ここでは頻度の高い4つを取り上げます。
36協定|上限規制の数字を正確に押さえる
36協定は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や、法定休日の労働をさせるために必要な協定です。労働基準法36条に上限規制が定められています。
| 区分 | 上限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 原則の限度時間 | 月45時間・年360時間 | 36条3項・4項 |
| 1年単位の変形労働時間制(対象期間3か月超)の限度時間 | 月42時間・年320時間 | 36条4項かっこ書 |
| 特別条項:1年の時間外労働 | 720時間以内 | 36条5項 |
| 特別条項:月45時間超が可能な月数 | 年6か月以内 | 36条5項 |
| 実労働の絶対上限:時間外+休日労働 | 月100時間未満 | 36条6項2号 |
| 実労働の絶対上限:2〜6か月平均 | 80時間以内 | 36条6項3号 |
なお、新たな技術・商品または役務の研究開発に係る業務については、36条11項により上限規制の一部が適用除外とされています。時間外労働に対する割増賃金の計算方法は、【人事担当者向け】残業代の計算方法を徹底解説!計算式や注意点も紹介をご覧ください。
変形労働時間制|届出漏れが制度の無効に直結する
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、変形労働時間制がある企業の割合は60.2%でした。種類別では1年単位が30.3%、1か月単位が26.4%、フレックスタイム制が8.3%、1週間単位の非定型的変形労働時間制が1.1%となっています。適用を受ける労働者の割合は50.5%です。
企業規模別に見ると、1,000人以上が68.1%、30〜99人が55.3%と、規模が大きいほど採用率が高い傾向にあります。
1年単位の変形労働時間制は届出が必須であり、届出を欠いたまま運用していると、変形制の適用が認められず法定労働時間を超えた分がすべて時間外労働として扱われるおそれがあります。
裁量労働制|2024年4月から本人同意が必要に
裁量労働制は2024年4月1日施行の改正により、労使協定・決議に定める事項が追加されました。専門業務型で追加された主な項目は次のとおりです。
- 制度の適用にあたって労働者本人の同意を得なければならないこと
- 同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと
- 制度の適用に関する同意の撤回の手続き
- 労働時間の状況、健康・福祉確保措置および苦情処理措置の実施状況、同意および同意の撤回についての労働者ごとの記録の保存
記録の保存期間は労働基準法施行規則の本則では5年間ですが、附則の経過措置により当分の間は3年間とされています。
あわせて対象業務にも追加があり、「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務」(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)が加わりました。ここでいう銀行・証券会社は銀行法2条1項の銀行と、金融商品取引法上の第一種金融商品取引業を営む証券会社を指し、信用金庫等は含まれません。また「調査又は分析」と「考案及び助言」の両方を行う業務が対象であり、いずれか一方のみでは対象外です。
企画業務型でも、同意の撤回手続きや、賃金・評価制度を変更する場合に労使委員会へ変更内容を説明することなどが追加され、労使委員会の開催頻度は6か月以内ごとに1回とすることが求められています。
出典:厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」(2024年3月)
年次有給休暇の計画的付与|届出は不要でも就業規則の定めは必要
年次有給休暇の計画的付与は、付与日数のうち5日を超える部分について、労使協定で計画的に取得日を決められる制度です(労働基準法39条6項)。届出は不要ですが、就業規則への規定が前提となります。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査では、計画的付与制度がある企業の割合は40.8%でした。計画的付与日数は「5〜6日」が71.6%と最も多くなっています。
労使協定・労働協約・就業規則の違い
3つはいずれも労働条件を規律する文書ですが、締結相手も効力も異なります。混同しやすい部分なので、表で整理します。
| 観点 | 労使協定 | 労働協約 | 就業規則 |
|---|---|---|---|
| 相手方 | 過半数労働組合または過半数代表者 | 労働組合と使用者またはその団体 | 使用者が作成 |
| 根拠法 | 労働基準法の各条文 | 労働組合法14条 | 労働基準法89条・90条 |
| 成立要件 | 書面による協定(協定により届出) | 書面に作成し、両当事者が署名または記名押印 | 意見書を添えて労基署長へ届出+周知 |
| 主な効力 | 免罰効果(法定義務の免除) | 規範的効力(労働組合法16条) | 最低基準効(労働契約法12条) |
| 適用範囲 | 事業場の全労働者 | 原則として労働組合員 | 事業場の全労働者 |
| 有効期間 | 協定の種類により定めが必要 | 3年を超える定めはできない(労働組合法15条) | 定めなし |
効力の強さの順序も押さえておきましょう。労働基準法92条により、就業規則は法令および労働協約に反してはなりません。また労働契約法12条により、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、就業規則の基準によることになります。
労務全体の管理体制については、労務管理とは?仕事内容や勤怠管理・人事管理との違いを簡単に紹介もあわせてご確認ください。
労使協定に違反した場合の罰則
労使協定を締結せずに時間外労働をさせた場合、労働基準法32条(労働時間)または35条(休日)の違反となります。この場合の罰則は労働基準法119条1号により、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。36条6項の上限規制に違反した場合も同じ条項が適用されます。
ここで注意していただきたいのが刑名の変更です。刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)等により懲役・禁錮が廃止されて拘禁刑が創設され、2025年6月1日に施行されました。そのため2026年時点の労働基準法の条文は「拘禁刑」と規定されています。厚生労働省や労働局のリーフレットには「懲役」表記のまま更新されていないものが残っているため、社内資料を作成する際は条文を確認してください。
また、1か月単位の変形労働時間制などの届出義務違反は労働基準法120条により30万円以下の罰金の対象です。121条には両罰規定が置かれており、違反行為をした行為者だけでなく事業主にも罰金刑が科されます。
自社の労務リスクを点検する際は、労務コンプライアンス15のチェックリスト!違反事例や作成の流れを解説を活用すると漏れを防ぎやすくなるでしょう。
労使協定を締結する5つのステップ

最後に、実際の締結手順を整理します。
- 締結相手を確定する|過半数労働組合の有無を確認し、なければ過半数代表者の選出手続に進みます
- 過半数代表者を適正に選出する|協定締結者を選ぶ目的を明示し、投票・挙手等の民主的な方法で選出します。選出の記録を残しておきましょう
- 協定書を作成する|労働基準法は「書面による協定」を要求しています。協定事項は協定ごとに施行規則で定められているため、様式や記載例を確認します
- 必要な協定は労働基準監督署へ届け出る|36協定は届出が効力要件です。届出前の時間外労働は違反となります
- 就業規則に反映し、労働者へ周知する|労働基準法106条1項により、主要な労使協定は周知義務の対象です
なお、押印の取り扱いについては注意が必要です。2021年4月1日以降、届出書における使用者や労働者の押印・署名は不要となり、記名のみで届出が可能になりました。ただし厚生労働省は、協定書そのものにおける押印・署名の取り扱いは労使慣行や労使合意によるものであり、引き続き記名押印または署名など労使双方の合意がなされたことが明らかとなる方法で締結するよう求めています。
出典:厚生労働省労働基準局「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令に関するQ&A ~行政手続における押印原則の見直し~」
あわせて、36協定届などの様式には2つのチェックボックスが設けられています。過半数代表者と締結した場合は両方にチェックがないと形式上の要件に適合しません。届出前に必ず確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 労使協定を結べば、社員に残業を命じられるようになりますか。
なりません。労使協定の効果は免罰効果にとどまり、残業を命じる根拠は労働契約または就業規則に別途定める必要があります。厚生労働省も、36協定は従業員に時間外労働の義務を課すものではないと明示しています。協定と就業規則はセットで整備してください。
Q2. 事業場が複数ある場合、労使協定は本社で一括して結べますか。
労使協定は原則として事業場単位で締結します。支店や工場それぞれで過半数代表者を選出し、その事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出るのが原則です。ただし36協定については、本社と各事業場の協定内容が同一であるなど一定の要件を満たす場合に、本社一括届出が認められています。
Q3. 過半数代表者に管理職を選んでしまいました。協定は有効ですか。
労働基準法41条2号の管理監督者に該当する場合、その者を過半数代表者とした協定は無効となります。労働基準法施行規則6条の2第1項1号の要件を満たさないためです。速やかに適正な手続で選出し直し、締結・届出をやり直してください。なお「課長」などの役職名ではなく、職務内容・権限・待遇の実態で判断されます。
Q4. 労使協定に有効期間を書かなくてもよい場合はありますか。
あります。賃金の一部控除、一斉休憩の適用除外、年次有給休暇の計画的付与、時間単位年休などは、有効期間の定めが法令上求められていません。一方、36協定や変形労働時間制、裁量労働制などは有効期間の定めが必要です。管理のしやすさを考えると、すべての協定に有効期間を設けて更新時期をそろえる運用も有効でしょう。
Q5. 36協定の届出を忘れて残業させていました。どう対応すべきですか。
まず速やかに適正な手続で協定を締結し、労働基準監督署へ届け出てください。36協定の届出は効力要件であり、届出前の時間外労働は労働基準法32条違反として6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります。あわせて、未払いの割増賃金が発生していないかを確認し、必要に応じて精算します。再発防止のため、協定の有効期間と更新時期を一覧管理する仕組みを整えましょう。
Q6. 労使協定は電子データで締結してもよいですか。
行政手続としての届出については、2021年4月1日以降、押印・署名が不要となり、e-Govによる電子申請では電子署名や電子証明書の添付も不要です。ただし協定書そのものの締結方法について、厚生労働省は労使双方の合意がなされたことが明らかとなる方法で締結するよう求めるにとどめており、電子署名による締結を正面から認めた通達等は確認できません。運用を電子化する場合は、合意の事実を後から立証できる形で記録を残してください。
まとめ|労使協定は「一覧管理」で漏れを防ぐ
労使協定は労働基準法の複数の条文に分散して規定されており、届出の要否も協定ごとに異なります。本記事で整理したポイントを改めて確認しましょう。
- 労使協定の効果は免罰効果であり、労働者に義務を負わせるには就業規則等の定めが別途必要
- 過半数代表者は管理監督者でないこと、適正な手続で選出されたことの2要件を満たす必要がある
- 労働時間の枠組みを動かす協定は届出が必要、賃金の支払方法や休暇の与え方を調整する協定は届出が不要という傾向がある
- 36協定の届出漏れは6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になりうる
- 裁量労働制は2024年4月から本人同意と同意撤回手続きの定めが必要になった
協定の種類・根拠条文・届出要否・有効期間・更新時期を一覧化した台帳をつくり、年1回は点検する運用を整えることをおすすめします。
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- 求人を出しても、実務経験のある候補者からの応募が集まらない
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監修者
高橋 秀誓(たかはし ひでちか)/coachee株式会社 代表取締役・情報管理責任者
国家資格キャリアコンサルタント、プロティアン認定ファシリテーター、人的資本開示国際規格 ISO30414 リードコンサルタント。有料職業紹介免許 14-ユ-302056。パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務し、求人広告・人材紹介・人材派遣・SESのソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。人材業界歴約10年。キャリア相談実績3,500人以上。エグゼクティブ・Web・IT・SI・HR領域でのリクルーティングおよびキャリア形成支援を行う。
※本記事は2026年9月1日時点の法令にもとづいて作成しています。個別の事案については、所轄の労働基準監督署または社会保険労務士へご確認ください。
執筆|coachee 広報チーム