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年収・キャリア

不動産営業とは?売買・賃貸・投資用の違いと年収、宅建、キャリアパス

公開日 2026.10.16

髙橋 秀誓

この記事の監修者

髙橋 秀誓coachee株式会社 代表取締役

パーソルキャリア(旧インテリジェンス)等で求人広告・人材紹介・人材派遣の提案や事業統括に従事したのち、coachee株式会社を設立。メーカー・コンサル・ITなど、10年以上にわたり幅広い業界・年代の転職を支援。

不動産営業とは?売買・賃貸・投資用の違いと年収、宅建、キャリアパス

「不動産営業は稼げると聞くけれど、ノルマや休日の不規則さが心配」「売買仲介、賃貸、投資用と求人がたくさんあって違いがよく分からない」。不動産業界の営業職を検討している方からは、こうした声をよく聞きます。同じ不動産営業でも、扱う商材やお客さまによって仕事内容も給与の仕組みも働き方も大きく変わります。

この記事では、不動産営業を「売買仲介・賃貸仲介・開発(用地仕入れ)・投資用・法人向け」の5つに分けて違いを整理し、インセンティブの仕組み、宅建(宅地建物取引士)の必要性、きついと言われる理由とやりがい、その後のキャリアパスまでを解説します。自分に合う不動産営業の種類を見極め、入社後のギャップを減らすための材料にしてください。

不動産営業の全体像:5つの種類と違い

不動産営業と一口に言っても、「誰に」「何を」売るかで仕事はまったく別物です。まずは代表的な5つの種類を一覧で確認しましょう。

種類 主なお客さま 扱うもの 仕事の特徴
売買仲介 個人(家を買いたい人・売りたい人) 中古住宅・マンション・土地 売主から物件を預かる「売却側」と、購入希望者を案内する「購入側」がある。一件あたりの金額が大きく、検討期間も長い
賃貸仲介 個人(部屋を借りたい人)、オーナー 賃貸マンション・アパート・店舗 来店した方への物件提案と内見案内が中心。件数が多く、引っ越しシーズンに業務が集中しやすい
開発・用地仕入れ 土地オーナー、仲介会社 マンション・戸建・商業施設の用地 自社で建てる建物のために土地を探して買い付ける。権利関係の調整や社内の事業計画づくりにも関わる
投資用不動産 個人投資家、富裕層 投資用マンション・一棟アパートなど 家賃収入や資産形成を目的としたお客さまに提案する。電話や紹介による新規開拓の比重が大きい会社もある
法人向け 企業の総務・経営企画など オフィス・店舗・倉庫・事業用地、CRE(企業不動産) 移転や拠点戦略など企業の経営課題に関わる。BtoBならではの関係者調整と長期の検討期間が特徴

売買仲介:人生の大きな決断に伴走する

売買仲介は、住まいを売りたい人と買いたい人の間に立ち、条件交渉から契約、引き渡しまでを進める仕事です。お客さまにとっては人生で数回あるかどうかの大きな買い物なので、住宅ローンや税金、物件の法的な制限まで幅広い説明が求められます。売却側では査定や販売活動の提案、購入側では資金計画の相談から内見案内までが主な業務です。

賃貸仲介:スピードと件数で経験を積む

賃貸仲介は、部屋探しをしている方の希望を聞き、物件を提案して内見に案内し、申し込みと契約手続きまでを担当します。一件あたりの金額は売買より小さい一方、接客数が多く、短期間で提案や接客の場数を踏めるのが特徴です。不動産業界の入り口として選ばれることも多い職種です。

開発・用地仕入れ:会社の事業の起点をつくる

デベロッパーや住宅会社の用地仕入れは、マンションや戸建を建てるための土地を探し、地主や仲介会社と交渉して購入する仕事です。お客さまに「売る」というより、会社の代わりに「買う」営業である点が大きな違いです。法規制を踏まえてどのような建物が建てられるかを考えたり、事業として利益が出るかを社内で検討したりと、企画的な要素も含まれます。

投資用不動産:金融商品に近い提案力が問われる

投資用不動産の営業は、マンションやアパートを資産運用の手段として提案します。お客さまは会社員から経営者、富裕層まで幅広く、ローンの組み方や将来の収支シミュレーションなど、金融商品に近い知識が必要です。新規開拓の比重が大きい会社では、行動量が強く求められる傾向があります。

法人向け:企業の経営課題に関わるBtoB営業

法人向けの不動産営業は、オフィス移転や店舗出店、倉庫・工場用地の確保、保有不動産の売却や活用などを企業に提案します。担当者だけでなく経営層や複数部署が関わるため、合意形成を進める力が身につきます。個人向けに比べて土日休みの会社が多い点も特徴の一つです。法人営業そのものの進め方は「法人営業への転職ガイド」でも詳しく解説しています。

不動産営業の年収とインセンティブの仕組み

不動産営業の年収を考えるときは、平均値だけでなく「給与の組み立て方」を見ることが大切です。

公開データで見る不動産営業の年収

転職サービスdodaの「平均年収ランキング(2025年版、集計期間2024年9月〜2025年8月)」では、「営業−建設/不動産」の平均年収は450万円で、営業系全体の平均476万円をやや下回っています。一方、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、「住宅・不動産営業」の賃金(年収)は660.7万円と掲載されています(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)。

この差は、調査対象や集計方法の違いによるものです。doda は転職サービスに登録した人のデータ、job tag は国の賃金統計をもとにしており、job tag は対応する職業分類の数値であるため、不動産営業だけの値を示すものではない点に注意が必要です。どちらの数字も「目安」として受け止め、実際は応募先の給与体系で判断しましょう。営業職全体の年収比較は「営業職の年収ランキング」にまとめています。

インセンティブ(歩合給)の主なパターン

job tag の「住宅・不動産営業」の説明でも、基本給のほかに売上に応じた歩合給がつく場合があるとされています。不動産営業の給与体系は、おおむね次のような組み合わせです。

  • 固定給中心型:基本給と賞与が中心で、成果は賞与や昇給に反映される。収入が安定しやすい
  • 固定給+インセンティブ型:基本給に加え、契約件数や仲介手数料などの売上に応じて歩合が上乗せされる。多くの仲介会社で見られる形
  • 歩合比率が高い型:基本給を抑え、成果に応じた支給の割合を大きくする。成果が出れば大きく伸びるが、収入の振れ幅も大きい

求人票で「年収○○万円可能」と書かれていても、それがインセンティブ込みの上限に近い数字なのか、平均的な社員の水準なのかは分かりません。面接では「固定給と変動給の内訳」「インセンティブの計算方法(売上の何に対して何%か)」「入社1〜2年目の社員の実際の年収の幅」を確認しておくと安心です。

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宅建(宅地建物取引士)は必要か

不動産営業を目指すなら、宅建(宅地建物取引士)は避けて通れない資格です。入社時点で必須とする会社ばかりではありませんが、持っていると評価されやすく、入社後に取得を求められることも多くあります。

宅建が重視される理由

宅地建物取引業法では、契約前の重要事項の説明や、重要事項説明書・契約書面への記名は宅地建物取引士が行うこととされています。また、事務所ごとに一定数以上の専任の宅地建物取引士を置くことが義務づけられています。つまり、不動産会社にとって宅建士は事業を続けるうえで欠かせない存在です。

そのため、資格手当を設けている会社が多く、昇進の条件に宅建取得を含めている会社もあります。営業として自分で重要事項説明まで行えると、お客さまへの説明が一貫し、信頼にもつながります。

未経験から目指す場合の考え方

未経験から不動産営業に転職する場合、入社前に宅建を取得していると意欲や基礎知識を示す材料になります。ただし、選考では資格よりも「お客さまとの信頼関係をつくれるか」「目標に向けて行動を続けられるか」が重視されることも多いです。学習中であれば、その事実と勉強の進め方を伝えるだけでも印象は変わります。未経験からの営業転職全般については「未経験から営業職に転職する方法」も参考にしてください。

不動産営業がきついと言われる理由

不動産営業は「きつい」と言われることの多い仕事です。どこがきついのかを具体的に知っておくと、会社選びの段階で避けられるものもあります。

  • 休日が土日に取りにくい:個人のお客さまは週末に動くことが多いため、個人向けの仲介では平日休みが一般的です。job tag でも、日曜・祝日の訪問や案内があり、休日は平日が多いと説明されています
  • 数字の目標が明確で、成果が収入に直結する:インセンティブの比率が高い会社ほど、成果が出ない時期の精神的な負担は大きくなります
  • 新規開拓の負担:投資用不動産などでは、電話やDMでの新規開拓の比重が大きい会社があります
  • 扱う金額が大きく、責任が重い:契約内容の説明不足や手続きのミスが、お客さまの生活や資産に大きく影響します
  • 繁忙期の業務量:賃貸仲介では引っ越しが集中する時期に来店や手続きが重なりやすくなります

ただし、これらは種類や会社によって大きく異なります。法人向けや開発系では土日休みの会社も多く、仲介でも反響営業(問い合わせ対応)が中心で新規の飛び込みや電話がほとんどない会社もあります。「不動産営業だからきつい」と一括りにせず、営業スタイルと評価制度を個別に確認することが大切です。

不動産営業のやりがいと身につく力

きつさがある一方で、不動産営業ならではのやりがいもはっきりしています。

やりがい

  • お客さまの人生の節目に立ち会える:結婚、出産、転勤、相続など、住まいの選択は人生の転機と結びついています。引き渡しの日に感謝の言葉をもらえることは大きな励みになります
  • 成果が目に見えて評価される:契約という明確な成果があり、インセンティブや昇進に反映されやすい仕組みの会社が多くあります
  • 街づくりに関われる:開発や用地仕入れでは、自分が関わった土地に建物が建ち、人が暮らし始める過程を見届けられます

身につく力

  • 高額商材のクロージング力:大きな決断を後押しするための、不安の解消と意思決定の支援
  • 専門知識:法令、税金、住宅ローン、建築、相続など、不動産を取り巻く幅広い知識
  • 調整力:売主・買主・金融機関・司法書士・管理会社など、多くの関係者をまとめて取引を完了させる力
  • 行動量と自己管理:目標から逆算して日々の行動を組み立てる習慣

これらは不動産業界の外でも通用するスキルです。特に「高額・長期検討の商材を扱った経験」と「多くの関係者をまとめた経験」は、法人営業やコンサルティング寄りの営業職への転職でも評価されやすい要素です。

不動産営業のキャリアパスと転職先

不動産営業の経験を積んだあとの道は、大きく「業界内でのステップアップ」と「異業界への転職」に分かれます。

業界内でのキャリアパス

  • 賃貸仲介から売買仲介へ:接客経験と宅建を武器に、より高額な取引へステップアップする
  • 仲介から開発・用地仕入れへ:取引の知識や地域の情報網を活かし、デベロッパー側へ移る
  • 個人向けから法人向けへ:オフィス仲介や事業用不動産、CRE提案などBtoB領域へ広げる
  • 管理職・店長:チームの目標管理や育成を担う
  • 関連領域:アセットマネジメント、プロパティマネジメント、不動産テック企業など

異業界への転職

不動産営業の経験は、高額商材を扱う営業職と相性が良いです。たとえば、金融・保険業界の営業、住宅設備や建材メーカーの営業、不動産業界向けのSaaS企業の営業などは、知識や顧客理解をそのまま活かしやすい転職先です。金融・保険業界の営業については「金融・保険業界の営業の違いと転職での評価」で解説しています。

異業界に転職する際は、「契約件数」や「達成率」などの成果に加え、「どのようなお客さまの、どんな不安をどう解消して契約に至ったか」というプロセスを言語化しておくと、業界が変わっても再現性のある力として伝わりやすくなります。

不動産営業に向いている人・会社選びのポイント

向いている人

  • 成果が数字で見え、それが収入に反映される環境にやりがいを感じる人
  • 人の話をじっくり聞き、相手の不安に寄り添うことが苦にならない人
  • 法律や税金など専門知識の勉強を続けられる人
  • 平日休みなど、一般的な会社員と異なる勤務形態にも柔軟に対応できる人

会社選びで確認したいこと

  • 営業スタイル:反響営業中心か、新規開拓中心か
  • 給与体系:固定給と歩合の比率、インセンティブの計算方法
  • 休日と勤務時間:定休日、繁忙期の働き方、残業の実態
  • 教育体制:同行やロールプレイなどの育成の仕組み、宅建取得の支援制度
  • キャリアの選択肢:賃貸から売買、個人から法人などの異動の実績があるか

同じ「不動産営業」という求人でも、これらの条件によって働き方は大きく変わります。求人票だけで判断せず、面接や職場見学の機会を使って具体的に確認しましょう。

まとめ:不動産営業は「種類」と「給与の仕組み」で選ぶ

不動産営業は、売買仲介・賃貸仲介・開発(用地仕入れ)・投資用・法人向けで、お客さまも働き方も大きく異なります。年収は公開データの平均だけで判断せず、固定給とインセンティブの内訳を確認することが大切です。宅建は多くの会社で評価され、キャリアの選択肢を広げてくれる資格です。

きつさとやりがいの両方を理解したうえで、自分が長く力を発揮できる種類と会社を選べば、不動産営業は高額商材の提案力や専門知識を身につけられる仕事になります。「自分にはどの種類が合うのか」「今の経験で不動産業界に挑戦できるか」と迷ったときは、営業職専門の転職エージェント coachee Agent for sales に気軽にご相談ください。これまでの経験を整理しながら、あなたに合う選択肢を一緒に考えます。

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