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年収・キャリア

金融・保険業界の営業とは?銀行・証券・生保・損保の違いと転職での評価

公開日 2026.10.16

髙橋 秀誓

この記事の監修者

髙橋 秀誓coachee株式会社 代表取締役

パーソルキャリア(旧インテリジェンス)等で求人広告・人材紹介・人材派遣の提案や事業統括に従事したのち、coachee株式会社を設立。メーカー・コンサル・ITなど、10年以上にわたり幅広い業界・年代の転職を支援。

金融・保険業界の営業とは?銀行・証券・生保・損保の違いと転職での評価

「銀行の法人営業と証券会社のリテール営業は何が違うのか」「生命保険の営業は個人の努力次第と聞くけれど、実際はどうなのか」。金融・保険業界の営業職は求人の数が多い一方で、業態ごとに仕事内容や評価の仕組みが大きく異なり、外からは違いが見えにくい業界です。また、すでに金融業界で働いている方からは「金融の営業経験は、ほかの業界でどう評価されるのか」という相談もよくいただきます。

この記事では、銀行・証券・生命保険・損害保険・リースの5つの業態について営業の違いを整理し、年収の目安、取得しておきたい資格、身につく力を解説します。後半では、金融・保険業界の営業から異業界へ転職するときに評価されやすいポイントと、伝え方の注意点も紹介します。

金融・保険業界の営業の全体像

金融・保険業界の営業は、「お金そのもの」や「将来のリスクへの備え」という目に見えない商品を扱う点が共通しています。そのうえで、業態ごとにお客さまや商品、求められる知識が異なります。

業態 主なお客さま 主な商品・サービス 営業の特徴
銀行 個人、中小企業から大企業まで 融資、預金、投資信託、保険、事業承継・M&A支援など 取引先との長期的な関係が前提。法人営業では財務分析をもとにした融資判断と課題提案が中心
証券 個人投資家、富裕層、事業法人、機関投資家 株式、債券、投資信託、資金調達(引受)など 市況に合わせた提案力が問われる。リテール営業は預かり資産や手数料などの数字で評価されやすい
生命保険 個人、法人(福利厚生・事業保障) 死亡保障、医療保険、年金保険など ライフプランに沿ったコンサルティング型の提案。営業職員型、代理店型、法人営業など働き方が多様
損害保険 代理店、企業、個人 自動車保険、火災保険、企業向けの賠償責任保険など 損保会社の営業は代理店の支援・育成が中心になることが多い。企業向けではリスクの洗い出しから提案する
リース 企業(製造業、医療機関、小売など) 設備・機械・IT機器・車両などのリース、割賦 設備投資の資金調達手段を提案する。メーカーや販売会社と組んで案件をつくる「ベンダー営業」も多い

業態ごとの営業の仕事内容

銀行:取引先の経営に長く寄り添う

銀行の営業は、個人向けのリテール営業と、企業向けの法人営業に大きく分かれます。法人営業では、取引先の決算書や事業計画を読み込み、運転資金や設備資金の融資を提案します。近年は融資だけでなく、事業承継、M&A、ビジネスマッチングなど、取引先の経営課題そのものに関わる提案も重視されています。融資の判断には稟議という社内手続きがあり、取引先と社内の両方を納得させる説明力が求められます。

証券:市場と向き合い、資産運用を提案する

証券会社のリテール営業は、個人や企業オーナーに株式や債券、投資信託などを提案し、資産運用をサポートする仕事です。市況が日々変わるため、情報収集とスピード感のある提案が欠かせません。法人向けでは、企業の資金調達や資本政策を支援する投資銀行部門の業務もあります。

生命保険:人生設計に合わせて保障を組み立てる

生命保険の営業は、お客さまの家族構成や将来設計を聞き取り、必要な保障を組み立てて提案する仕事です。保険会社に所属する営業職員、複数社の商品を扱う乗合代理店の募集人、企業の福利厚生や経営者の事業保障を扱う法人営業など、働き方が多様なのが特徴です。会社によっては成果に応じた給与の比率が高く、収入の振れ幅が大きいこともあります。

損害保険:代理店とともに市場を広げる

損害保険会社の営業は、自動車ディーラーや不動産会社、保険専業の代理店などを担当し、代理店の販売を支援する役割が中心です。自分で直接お客さまに売るより、代理店の経営や販売体制づくりを支援する「パートナー営業」に近い仕事です。企業向けの営業では、工場や物流、サイバー攻撃などのリスクを洗い出し、保険で備える仕組みを提案します。

リース:設備投資のパートナーになる

リース会社の営業は、企業が機械や設備、IT機器などを導入するときに、購入ではなくリースや割賦で調達する方法を提案します。メーカーや販売店と連携して案件を獲得するケースが多く、金融の知識に加えて、扱う設備の業界理解も必要です。顧客企業の財務状況を見ながら与信判断に関わる点では、銀行の法人営業と近い面もあります。

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金融・保険業界の営業の年収の目安

金融・保険業界は、全業種のなかでも平均給与が高い業界です。国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は全体で487万円、業種別では「金融業,保険業」が726万円で、「電気・ガス・熱供給・水道業」の854万円に次いで2番目に高い水準でした。ただし、これは営業職に限らず業界で働く人全体の数値です。

営業職に絞った公開データも見てみましょう。dodaの「平均年収ランキング(2025年版、集計期間2024年9月〜2025年8月)」では、営業系の職種別平均年収として次の数字が公表されています。

  • 営業−クレジット/信販:512万円
  • 営業−銀行:493万円
  • 営業−保険:438万円
  • 営業−保険代理店:397万円
  • (参考)営業系全体:476万円

また、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、令和7年賃金構造基本統計調査の結果をもとに、「銀行・信用金庫渉外担当」の賃金(年収)が674.4万円、「証券外務員」が664.5万円、「保険営業(生命保険、損害保険)」が540.6万円と掲載されています。job tag の数値は対応する職業分類の統計であり、その職業だけの値ではない点に注意してください。

同じ業界でも、会社の規模、職種(総合職か地域限定か)、成果給の比率によって年収は大きく変わります。営業職全体の年収比較や年収を上げる考え方は「営業職の年収ランキング」で詳しく解説しています。

金融・保険営業に必要な資格・取っておきたい資格

金融・保険業界は、法律で資格や登録が求められる業務が多い業界です。多くの場合、入社後に会社の研修を受けて取得します。

  • 証券外務員(一種・二種):日本証券業協会の資格。証券会社や銀行で株式や投資信託などの金融商品を勧誘・販売するには、外務員としての登録が必要です
  • 生命保険募集人:生命保険協会の一般課程試験に合格し、登録を受けることで生命保険の募集ができるようになります。変額保険や外貨建保険を扱うには追加の試験があります
  • 損害保険募集人:日本損害保険協会の損害保険募集人一般試験に合格し、登録を受けることで損害保険の募集ができます
  • ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士):国家資格。家計、税金、保険、不動産、相続まで横断的な知識を証明でき、業態を問わず提案の土台になります
  • 銀行業務検定:銀行員の実務知識を測る検定試験。法務、財務、税務などの科目があり、昇格要件に組み込む金融機関もあります
  • 宅地建物取引士:不動産担保融資や不動産を含む資産運用の提案で役立ちます

未経験から転職する場合、入社前に必須とされる資格は多くありません。それでもFP技能士の勉強を始めておくと、業界への関心と基礎知識の両方を示せます。

金融・保険営業で身につく力

金融・保険業界の営業経験は、ほかの業界から見ても価値のある力を育ててくれます。

  • 無形商材の提案力:目に見えない商品の価値を、お客さまの状況に合わせて言葉で伝える力
  • 数字を読む力:決算書、資金繰り、運用の収支など、数字をもとに課題を見つけて説明する力
  • 信頼構築力:資産や将来のリスクという、お客さまにとって繊細なテーマを扱うための誠実さと継続的な関係づくり
  • コンプライアンス意識:説明義務や適合性の原則など、厳格なルールのもとで営業してきた経験
  • 経営層との対話経験:特に法人営業では、社長や財務責任者と直接話す機会が多い
  • 目標管理と行動量:明確な数字目標に対して計画的に行動を積み上げる習慣

業界内でのキャリアの広げ方

金融・保険業界の中にも、営業経験を土台にしたキャリアの選択肢が多くあります。たとえば、銀行のリテール営業から法人営業へ、さらに事業承継やM&A、ストラクチャードファイナンスなどの専門部署へ進む道があります。証券会社では、リテール営業から富裕層向けのプライベートバンキングや、法人向けの部門へ移るケースがあります。保険業界では、営業職員から営業所長などのマネジメント職、代理店営業から本社の商品企画や営業企画へ進む道もあります。

どの道を選ぶにしても、「どの顧客層に」「どんな専門性で」価値を出したいのかを早めに考えておくと、配属希望や資格取得の優先順位が決めやすくなります。業界内でのステップアップと異業界への転職、どちらが自分に合うかを比べながら検討するのがおすすめです。

異業界への転職でどう評価されるか

金融・保険業界から別の業界に営業として転職するケースは少なくありません。ここでは、評価されやすい点と、注意したい点を整理します。

評価されやすいポイント

  • 法人営業・経営層との折衝経験:銀行の法人営業や損保の企業営業など、経営者と課題について話してきた経験は、SaaSやコンサルティング、人材業界の法人営業でも高く評価されやすいです
  • 財務・数字への強さ:顧客の財務状況を理解したうえで提案できることは、高単価のBtoB商材を扱う企業にとって大きな強みです
  • 無形商材の営業経験:形のないサービスの価値を伝える経験は、ITサービスや人材サービス、広告などの無形商材と共通しています
  • ルールを守る誠実さ:厳格な規制のもとで仕事をしてきたことは、信頼性の面でプラスに働きます

伝え方で注意したいポイント

  • 「商品を売った」ではなく「課題を解決した」と伝える:異業界の面接官は金融商品の詳細を知りません。「どのような課題を持つお客さまに、何を提案し、どんな変化があったか」で語りましょう
  • 業界用語を言い換える:「預かり資産」「稟議」「代理店支援」などは、相手の業界の言葉に置き換えると伝わりやすくなります
  • 成果の再現性を示す:会社の看板やブランドで売れたのではなく、自分の工夫で成果を出したことを、行動と結果のセットで説明します
  • 年収の考え方を整理する:金融業界は給与水準が高い傾向があるため、異業界への転職で一時的に年収が下がるケースもあります。何を優先するのかを事前に決めておきましょう

相性の良い転職先の例

金融・保険業界の経験と相性が良い転職先には、フィンテック企業や金融機関向けのSaaS企業、不動産業界、M&A仲介やコンサルティング会社、人材業界の法人営業などがあります。IT業界への転職を考えている方は「SaaS・IT業界の営業の仕事と特徴」、高額商材つながりで不動産業界を検討している方は「不動産業界の営業の種類と違い」も参考にしてください。

金融・保険業界の営業に転職するときのポイント

反対に、ほかの業界から金融・保険業界の営業を目指す場合は、次の点を確認しておきましょう。

  • 評価制度と給与体系:固定給中心か、成果給の比率が高いか。特に保険営業では会社によって大きく異なります
  • 営業スタイル:既存顧客の深耕が中心か、新規開拓が中心か。法人か個人か
  • 研修と資格取得の支援:入社後に必要な資格を取るまでの研修期間やサポート体制
  • 転勤の有無:銀行や保険会社では、総合職に全国転勤があることも多いため、勤務地の条件を確認しておきます

志望動機では、「なぜ金融なのか」「なぜその業態なのか」を、自分の経験と結びつけて説明できることが重要です。志望動機の組み立て方は、「営業職の志望動機の例文」も参考にしてください。

まとめ:業態の違いを理解し、経験を「課題解決」の言葉で語る

金融・保険業界の営業は、銀行・証券・生命保険・損害保険・リースで、お客さまも商品も求められる力も異なります。公開データでは業界全体の平均給与が高い一方で、営業職の年収は会社や給与体系によって幅があります。資格は入社後に取得するものが多く、未経験でもFPなどの学習で意欲を示すことができます。

金融・保険営業で培った数字への強さや無形商材の提案力、経営層との対話経験は、異業界でも評価される力です。大切なのは、その経験を業界の外の人にも伝わる「課題解決」の言葉で語ることです。金融業界への挑戦や、金融業界からのキャリアチェンジで迷ったときは、営業職専門の転職エージェント coachee Agent for sales にご相談ください。経験の棚卸しから、あなたに合う業界・企業選びまで一緒に考えます。

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